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2019.08.06 イベント情報

【セミナーレポート】ヤフー様、レスキューナウ様ご登壇、スペクティ主催『AI/IT活用 防災・減災セミナー』

2019年6月28日(金)に、品川フロントビルにて第2回目の開催となるSpectee(スペクティ)主催の「AI/IT活用 防災・減災セミナー」をおこない、100名以上の方にご参加いただきました。今回はゲストに、ヤフー株式会社様、株式会社レスキューナウ様をお呼びして、AIやITをつかった各社の取り組みについてお話していただきました。その様子をお届けします。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社からは、Yahoo!天気・災害サービスのデザイナー小野高志様より、「ヤフーの防災情報の取り組み」についてお話しいただきました。

Yahoo!天気・災害サービスは、1996年にYahoo! WEATHERとして、天気予報の提供から始まり、その後、国内で発生した数々の災害の経験を受けて、防災関連のコンテンツを拡充しながら現在の形になりました。

小野さんYahoo!天気・災害では、『災害に備える』『災害を知らせる』という大きく分けて2つのコンテンツを提供し、ユーザーが自ら判断して身を守る行動を取れることを目指しています。たとえば、「Yahoo!防災速報」は、スマートフォンアプリとメールで災害情報を通知する無料のサービスで、利用者数は1,600万を超えます。自宅・実家・勤務先など国内最大3地点と、位置情報を利用した現在地へ通知することができます。緊急地震速報やJアラートなど、さまざまな災害情報に対応しています」。

ほかにも、「災害カレンダー」、「防災トレーニング」、「防災手帳」などの防災に役立つコンテンツを提供。一方で、課題も感じているといいます。

小野さん「対応に限界があるので仕方がないと思うのですが、自治体から発表される単位では範囲が広すぎて、なかなか自分ごととして参考にしづらい場合もあるのではないかということです。そこで、Yahoo! JAPANだからこそ得られるデータを組み合わせて、ユーザーにとってより身近な、必要な情報を届けたいと思っています。本当にすぐ隣に危険が迫っているのか、少し危険なことが起こっているのか。身近な情報を知ることによって、より自分ごととして興味をもって避難行動につなげられるのではないかと考えています」。

災害情報をデザインで正しく伝える

デザイナーは、災害情報にどのように関わっているのでしょうか。

小野さん「災害は発生するごとに内容が違い、どんなことが起こるかわかりません。毎回新しい課題が浮かび上がってきます。そのたびに新しい課題解決策や表現が模索・提案されてきて、伝える側としては正しく理解・普及させる役割が求められていると感じています。

たとえば、津波警報の配色について、『紫より赤のほうが危険ぽくないですか』。という声もありますが、デザイナーとしてはすぐに変えますということにはできません。行政やほかメディアとの整合性がとれなくなってしまう。それによりユーザーに誤認されてしまい、ユーザーを危険にさらしてしまう可能性もあります」。

現在では、東日本大震災をきっかけに、検証をもとに統一に向けてメディアなどでも同一基準を使っているといいます。

小野さん「また、たとえ認知があがったとしても、避難しないという大きな問題もあります。新しい避難行動のUX(ユーザー体験)をデザインしていくことが今後必要だと考えています。今後もYahoo!天気・災害サービスは、災害の多い日本で、助けたい・助かりたいと思う人の願いを叶えたいという思いでコンテンツ開発をおこなってまいります」。とお話しされました。

ヤフー 株式会社

https://about.yahoo.co.jp/

株式会社レスキューナウ

危機管理情報を扱う株式会社レスキューナウから、代表取締役社長 朝倉一昌様にご登壇いただき、「危機管理情報の活用 その現状とレスキューナウの取り組み」についてお話しいただきました。

情報の一元化が難しい 災害情報の課題

朝倉さんは、データが統一される仕組みがある道路情報や、気象情報はと比べて、危機管理情報に関する現状の課題を指摘します。

朝倉さん「災害情報という観点でみると、道路情報、気象情報、危機管理情報というものをすべて横断的に使いたくても、道路と気象では異なる形でデータが整備されていますし、それ以外の分野の情報はデータ仕様の統一される仕組み自体ありません。災害という目的で一元的に活用しようとするとなかなかハードルがあるというのが現実と感じています」。

とはいえ、災害情報の現場は少しずつ変わりはじめているそう。

朝倉さん「政府が進めている防災情報共有システムSIP4Dでは、災害について、複数の組織の情報システムの連携をするためにハブのように間に入って、各システムを相互に連携するような役割も持ち、そこで入手した複数の災害情報を一つのデータとして統合して、そのまま処理できる環境の実現を目指しているシステムだそうです。ただシステムだけ作って終わりではなく、運用させるために汗をかかなくてはシステムが生きてこないという認識も出てきているようで、災害時には被災地に要員を派遣してデータ登録などもおこなっています」。

一つの基盤で災害情報を配信できるシステムを目指して

災害情報の現状の課題を踏まえたうえで、レスキューナウの情報配信サービス事業と、危機管理サービス事業についてご紹介いただきました。

朝倉さん「レスキューナウでは、国内2箇所に危機管理情報センターを設置して24時間365日専門スタッフがいる体勢で運営しています。さまざまな危機管理情報の収集、整理、加工を通じて一元的にデータ利用が可能になる、独自のリアルタイム危機管理データベースを構築・運用してきました。危機管理情報センターで集約して、オリジナルの仕様に加工したデータをメディアやサービス事業者に提供したり、自分たちでも行政や企業向けの危機管理サービスとして活用しています」。

リアルタイムの危機管理情報の配信は危機管理情報センターのオペレーションによって配信されるが年間約56万件、それ以外に気象データなど自動処理されるデータが加わります。「いつ・どこで・何が、どうなっている」という事実情報をデータにすることであらゆる企業が一元的に危機管理情報を活用できる仕組みです。

朝倉さん「あらゆるソースから情報を得たのち、事実確認を必ずおこなってから配信するため、収集から配信まで全自動ではなく、必ず人が介在する仕組みを作って運営しています。ただし、学習型解析エンジンなどを用いて一部のプロセスを自動化することで、効率よくマシンリーダブルのデータに加工していくのがわたしたちのスタンスです」。

今後は、危機管理情報専門企業として、自治体からの情報や道路・鉄道などの交通関連情報、気象関連情報、センサー観測データなどを一元的に取り扱い、一つの共通基盤で活用できるようなサービスの更なる強化を目指します。

株式会社レスキューナウ
https://www.rescuenow.co.jp/

株式会社スペクティ

スペクティからは、代表取締役の村上建治郎より、「災害時のAI活用の最新事例とデマ対策」について講演をしました。

災害時のデマにどう立ち向かうのか

スペクティでは、SNS速報サービス「スペクティ」というサービスを通じて、日々SNSの情報を解析し、お客様に向けて配信しています。SNSの解析を日々おこなうなかで、災害時にはとくにデマ情報や真偽が確かではない情報が出回るという点を指摘します。

村上「有名なところでいうと熊本地震のときにSNSで拡散された『ライオンが逃げた』、大阪の大阪府北部地震での『シマウマが逃げた』というデマ情報がありますが、災害時にはこういう投稿が必ずあがってきます。こういう投稿が見つかったときに『これは100%デマです』と言い切るのはなかなか難しいですが、ある程度スクリーニングは可能です。なので、われわれのアプローチとしては、デマの可能性が高いものに関しては、最終的には人が確認をするということをおこなっています」。

AI技術を活用した災害関連の取り組み

村上「防災の分野ほどAIが活躍できる分野はないと思っています。防災は、気象の情報や交通情報、SNSに上がってくる投稿などあらゆる情報を大量に集めて一度に解析しないといけませんが、すべて人間でおこなうのは難しいと考えています。巨大なコンピューターでビッグデータを解析していく必要がある」。

スペクティでは、AIの技術を使ってさまざまな防災の取り組みをしています。

村上「神戸市さんと、ドローンに無線でAIアナウンサー『荒木ゆい』の音声を送って、避難誘導をするという実証実験をしています。将来的にはドローンを使って画像認識で人が多く集まっているところにドローンが行って、避難誘導をしていくというようなこともできるのではないかと。なぜやっているかというと、東日本大震災のときに、防災無線で最後まで避難を呼びかけていた南三陸の職員の方が、そのまま津波に飲まれて亡くなってしまうということがあったので、そういう事態を防いでいきたい」。

スペクティではSIGNALというAI開発プラットフォームを今年の4月にリリースしました。これまでSNSの解析で培ってきたAI技術を使って、たとえば街のなかのカメラ映像など言語に頼らないあらゆる情報を解析し、多くの企業さまのニーズに答えることを目指しています。

村上「東京大学さん、広島大学さんと一緒に倒壊の危険性を画像解析する取り組みで、建物のひび割れの判定をしています。ほかにも、河川の水位や路面状態を判定するといったことにも取り組んでいます」。

スペクティは、世の中の危機管理情報を可視化し、その情報を瞬時に届けることをミッションに掲げていきます。