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担当者1,011名に訊いた「サプライチェーン・リスクマネジメントについての意識調査」【独自】

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昨今、半導体不足やサイバー攻撃などを原因として、サプライチェーンが阻害される事象が多く発生しています。

私達が日常で目にするさまざまな商品が生産者から消費者まで品物がスムーズに届くのは、モノの供給の連鎖が最適化されているからですが、自然災害などでたった1社のサプライヤーが操業停止しただけでも、サプライチェーン全体が混乱したり、途絶するケースが生じ得ます。2007年7月に発生した新潟県中越沖地震では、とある自動車部品メーカーの工場が被災したために、国内の主要自動車メーカーが軒並み操業停止する憂き目にあいました。また世界に目を向ければ、自然災害だけでなく感染症・紛争・金融危機などさまざまな危機が存在し、サプライチェーンに影響を与えています。実際にミャンマーにて2021年に起きたクーデターでは、繊維産業の下請け工場が大きな影響を受けたことで、日本のアパレル企業も対応に追われました。

不透明で将来予測が難しいこれからの時代、企業にとって事業継続計画(BCP)の重要性が高まると考えられています。効率化・最適化に加えて、サプライチェーンの「リスク・マネジメント」の要素がより大切になるのは明らかです。日本の企業は、サプライチェーンに存在するリスクをどのように管理し、また、どのような課題を抱えているのでしょうか。

今回、AI防災・危機管理ソリューション『spectee Pro(スペクティープロ)』(https://spectee.co.jp/feature/)を手掛ける株式会社Spectee(スペクティ)は、製造業、小売業、物流企業のサプライチェーンに関わる業務の担当者を対象に、「サプライチェーン・リスクマネジメント」に関する調査を実施しました。


日本企業のサプライチェーン・リスク・マネジメントの現状とは?

はじめに、自社のサプライチェーンとそこあるリスクをどの程度把握しているのかについて訊きました。

「自社のサプライチェーンの全容と発生し得るリスクを把握していますか?」と質問したところ、『全容を把握している(17.7%)』『部分的だが把握はしている(47.6%)』『把握しきれていない(34.7%)』という結果になりました。

『全容を把握している』『部分的だが把握はしている』という回答を合計すると、約65%の方がサプライチェーンとリスクについてある程度把握していることが明らかになりました。一方で、『把握しきれていない』という回答も3割以上に達しており、なかなか思うようには詳細まで把握できていない現状が浮き彫りとなりました。

続いて、サプライチェーンにおいて実際に問題が生じた際の対応準備について聞いてみました。

「サプライチェーンにおいて何か問題が起きた際、どのように対応するのか、体制やマニュアルは整っていますか?」と質問したところ、『きちんと整っている(22.3%)』『ある程度整っている(50.4%)』『整っているとはいえない(27.3%)』という結果になりました。

『きちんと整っている』『ある程度整っている』を合わせると、7割以上の方が何らかの対応準備を行っていることがわかりました。しかし、何らかの課題を残しているであろう『ある程度』の準備であるとの回答がは5割を超えており、また『整っているとはいえない』という回答も3割に迫っていることから、日本企業の多くは、サプライチェーンにおけるリスク事象への対応について準備が決して万全とは言えないのではないでしょうか。

さて、リスク事象への対応においては、いかに迅速かつ正確に事故や災害などを覚知するかがカギとなります。各企業は、どのような手段で覚知しているのでしょうか。

「普段、サプライチェーンを阻害する事故や災害の覚知をどのような方法で行っていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『社員・取引先からの電話・FAX・メール(60.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『インターネットサイト(40.2%)』『テレビやラジオのニュース(32.3%)』と続きました。

『社員・取引先』という、ある意味で「身内」やそれに準ずる立場の人々からの直接的な情報が最多となりました。続いて、インターネットやテレビ・ラジオが情報ソースとして活用されていますが、速報性という面で新聞は一歩劣り、2割を切っています。「身内」からの情報は信頼性の高さが何よりのメリットですが、サプライチェーンが複雑化する中、どれだけ迅速に自社に情報が伝わるかはケースバイケースです。インターネットなどその他の情報ソースを組み合わせてカバーしているものと思われます。


事件・事故・災害の状況確認をする際の課題感とは?

上記設問で、サプライチェーンのリスクへの対応準備が必ずしも十分ではないと感じていること、リスク事象の覚知については色々な情報ソースを組み合わせていることがわかりました。ここからは、さらに具体的な質問に進んでいこうと思います。まずは、サプライチェーンにおける問題発生の経験について伺いました。

「これまでに、事故や災害などでサプライチェーンが阻害されて困った経験はありますか?」と質問したところ、4割以上の方が『ある(41.8%)』と回答しました。製造・小売・物流企業にとって、サプライチェーンは価値を顧客に届ける文字通り“生命線”となります。極めて重要なこの“生命線”の阻害を4割以上の企業が経験していることが判明しました。

問題が発生した際に必要不可欠なのは、上述した通り迅速かつ正確にそれを確認・把握することです。サプライチェーンの阻害を経験された方に、この部分に関する苦労について伺いました。

「事故や災害現場の状況を確認する際、どのようなことに困りましたか?(複数回答可)」と質問したところ、『現場の状況を知る人との連絡が取りにくかった(51.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『現場から伝わる情報が少なかった(41.1%)』『どのように現場の状況を確認すればよいかわからなかった(38.5%)』『現場から情報が伝わってくるのが遅かった(34.0%)』と続きました。

『現場の状況を知る人』との連絡に関する苦労が最多となっています。近年多発する自然災害などの現場では連絡手段が不通になることも十分に考えられ、情報収集を現場にいる自社や取引先関係者との連絡のみに頼るのは不安が残ります。また、情報の少なさや遅さについての回答も多く集まりました。一方、『どのように現場の状況を確認すればよいかわからなかった』という回答もかなりの数となりました。現場の状況確認について多くの方が課題感を残していることがわかります。

サプライチェーンの阻害を経験した方が、具体的に何に苦労したのかをお聞きしました。

▼サプライチェーンの阻害で苦労したこと

  • 通信手段が途絶えた(20代/女性/茨城県)
  • 雪害で道路が使えなくなり、運転手との連絡もつかなくなった(30代/男性/富山県)
  • 災害の詳細、規模が不明瞭で対応に苦慮した(40代/男性/千葉県)
  • いくつかの地名の発音が似ており、伝言ミスが起きた(40代/女性/愛知県)
  • 代替材への切り替えの際に在庫量の争奪があり苦労した(50代/男性/埼玉県)
  • 警察が介入したため、情報が入ってこなかった(50代/男性/千葉県)

海外での有事の際はどうしてる?

事故や災害の状況確認の難しさは、遠く離れた海外においてより一層顕著になります。次に、サプライチェーンが海外にも広がっているかどうかについて聞いてみました。

「自社のサプライチェーンは国内だけで完結していますか?海外も関わっていますか?」と質問したところ、『国内だけ(57.7%)』『一部、海外にも工場や支社がある(32.8%)』『拠点は海外にある(9.5%)』という結果になりました。

過半数の企業が『国内だけ』と回答した一方で、何らかの形で海外に自社のサプライチェーンを展開している企業が4割を超えるという結果となりました。しかし、自社だけでなく、サプライヤーの調達先なども含めると多くの会社が海外で発生する事故や災害から影響を受ける可能性があると思われます。

『一部、海外にも工場や支社がある』『拠点は海外にある』と回答された方に、海外でサプライチェーンを阻害する事象が発生した際に生じ得る課題について聞いてみました。

▼海外のサプライチェーンの阻害によって生じる課題とは?

  • 価格の高騰、納期遅延(20代/男性/栃木県)
  • 文化や習慣の違いにより意見のすれ違い(30代/男性/東京都)
  • 時差によるタイムラグ、通信阻害要因による情報の伝達不可(40代/男性/千葉県)
  • タイムリーに状況が把握できない(40代/男性/神奈川県)
  • 別ルートでの手配に時間を要する(50代/男性/愛知県)
  • 法律により対処がかわる(50代/男性/神奈川県)

言葉の違い、インフラの違い、時差やカルチャーギャップなどがあり、海外での発生事象を正確に把握するのは、国内に比べてぐっと難易度が高くなるのではないでしょうか。


これからのサプライチェーン・リスク・マネジメントとは?

最後に、サプライチェーン・リスク・マネジメントについての考えを伺いました。

「今後、サプライチェーン・リスク・マネジメントの重要性は上がると思いますか?」と質問したところ、全体の6割以上の方が『とても上がると思う(24.1%)』『ある程度上がると思う(39.4%)』と回答しました。

『とても上がると思う』という回答は4分の1近くに達し、『ある程度上がると思う』という回答は4割に迫っています。多くの方がサプライチェーン・リスク・マネジメントの重要性が今後ますます増大すると考えていることがわかります。

今後のサプライチェーン・リスク・マネジメントにおいて皆さんが重視するのは、どのような点なのでしょうか。そこで、「今後、サプライチェーン・リスク・マネジメントに求められるのは、どのようなことだと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『事前のサプライチェーンにおいて発生し得るリスクの精査と把握(40.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『事前のサプライチェーン全容把握(商品ごとのサプライヤー構造など)(38.5%)』と続きました。

昨今はサプライチェーンがグローバル化・複雑化しており、そのどこにどのようなリスクが潜んでいるのかを完璧に精査し、把握するのは簡単なことではなく、多くの方が課題と考えていることがわかりました。

『サプライヤーや取引先との連絡網の整備(29.3%)』『サプライチェーンを阻害する事象に関する情報を迅速に得ること(24.3%)』『サプライチェーンを阻害する事象に関する情報を 多く得ること(18.8%)』は、非常に重要ですが、その前段階としてサプライチェーンとそこにあるリスクの全容把握の部分がまだ十分にできていないと考える企業が多いと言えます。


【まとめ】これからの時代に必要なサプライチェーン・マネジメントとは

VUCAの時代と言われます。

VUCAは「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」のことを指し、世界を席巻した新型コロナウィルスの流行、気候危機により増加する自然災害、国際情勢の緊張の高まりなど、我々の将来はますます予測困難になってきています。

しかしそんな不安定な時代だからこそ、顧客に安定して商品を供給することは企業にとって重要な責務になります。サプライチェーンを途絶させないために、我々は意識を刷新し、リスクマネジメントを徹底させていく必要があるでしょう。

そのためにはまず、自社のサプライチェーンがどのように広がっているのかを可視化した上で、どこにどのようなリスクが潜んでいるかを見えるようにすることが大切です。そのうえで、何かリスク事象が発生した際には、それを正確かつ迅速に把握し、自社の川上・川下への連絡、代替ルートや代替生産の確保、復旧に向けた準備などの初動対応を的確に行っていくことが大変重要になります。

言うまでもなく、これは自社だけで完結できる作業ではありません。一つの商品を市場に届けるのにも数多くのプレイヤーが関係するいま、関わる全ての企業がサプライチェーンのリスク・マネジメントに対する意識を高め、生態系全体としてレジリエンスを上げることが必要になるでしょう。


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(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)

今回、「サプライチェーン・リスク・マネジメント」に関する調査を実施した株式会社Specteeが提供する防災・危機管理ソリューション『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、 多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能な防災・危機管理ソリューションです。

TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報や、気象データ、渋滞情報、停電情報、道路・河川カメラ映像など様々な情報をもとに、 自然災害、火災、事故の発生など、緊急性の高い情報を100以上のカテゴリーでリアルタイムに配信する他、市区町村、空港や駅、観光スポット、工場や商業施設、自社の設備や事業所周辺といった対象と組み合わせて地図で表示し、「どこで何が起きているか」 「被害状況や規模はどの程度か」 などを即座に確認できる、日本発の「RaaS(Resilience-as-a-Service)」として注目を集めており、 多くの企業や自治体、官公庁に採用されています。

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概要:「サプライチェーン・リスク・マネジメント」に関する調査

【調査期間】2021年12月10日(金)~2021年12月16日(木)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,011人
【調査対象】製造業、小売業、物流企業のサプライチェーンに携わる業務担当者
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ

March 23, 2022

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