ページトップ

スペクティはこれまで年に2度セミナーを開催してまいりましたが、この度の新型コロナウイルス感染症の流行でオフラインでの開催は難しいと判断し、今後当面はWebセミナーの形で開催させていただきます。本レポートは2020年6月24日に「ウィズコロナ時代の防災・危機管理」とのテーマで、スペクティのオフィスからお話しさせていただいた内容の抜粋となります。


新型コロナウイルスの感染流行はいまだ終息が全く見えず、”コロナとともに生きていく”ことが求められる時代となっています。そんな中、我々の社会には下記のような変化が現在進行形で起こっています。ソーシャルディスタンスを取ることが当然となり、働き方の概念はこれまでと大きく変わります。また、コミュニケーションの仕方も、対面が当たり前だったものから、スクリーン越しに打ち合わせをや時には飲み会を行うことも日常となってきています。

ウィズコロナ時代の防災

そんなウィズコロナ時代の防災、特に災害が発生した後の対応でどんな困難が予想されるでしょうか?

スペクティが5月11日に既に自社推計によるレポートとして発表しておりますが、もし現在の状況で南海トラフ巨大地震が発生したら、最大避難者は約430万人。想定指定避難所の数は24,000か所ですので、避難所あたりの避難者数は約200人にのぼります。そして、東日本大震災での感染症患者発生データから推計すると、発生から4週間で約60万人の新型コロナウイルス感染者が発生する可能性があります。

避難所では、感染クラスター発生を防ぐためのソーシャルディスタンスを取る必要がありますが、平時の3倍の避難所数が必要となり、すぐに対応するのは非常に困難。また、消毒液や除菌スプレーなどの備品も十分に準備できているとは言い難い状況です。

(グラフ出典:https://mainichi.jp/articles/20200614/ddm/041/040/051000c(毎日新聞社))

そこで重要になるのが「在宅避難」という選択肢です。下記のポイントを確認の上、安全に過ごせると判断できれば、避難所に行かずに自宅において避難するべきと考えます。


自宅の場所は安全か?

ハザードマップを見て、水害や土砂崩れの危険性を確認する

自宅の耐震は大丈夫か?

現在の建築基準法に沿ったものであれば問題ないと考えられるが、念のため確認をする

必要な備蓄はあるか?

食料だけではなく、消毒液やマスクなどの備品も

——

2020年6月にNHKが千葉県内の自治体を対象に行った調査によると、約8割の自治体が「在宅避難の呼びかけが必要」と認識されていますが、一方で約6割が「在宅避難で住民の安全確保に不安がある」と回答されています。住民の居宅の安全確認は、自治体担当者が一軒一軒行うわけにいかず、住民自身の「自助」が求められます。自治体側としては、その「自助」を後押しする意味でも、安全確認の基準や指標を早急に整備すべきと考えます。

ウィズコロナ時代の企業の危機管理

一方、企業の危機管理という視点では「在宅勤務」が重要な要素になると思われます。

昨年、大型で非常に強い台風19号が日本列島を襲った際も日本人は通勤をあきらめず、海外からは驚きの声があがりました。しかし、コロナの流行においては様相が変わり、87%の企業が在宅勤務を導入、6月以降も一部または全部で在宅勤務を継続している企業が75%に及びます。

(出典:https://www.value-press.com/pressrelease/246167、キラメックス社プレスリリースより)

2011年の東日本大震災の際に在宅勤務を導入した企業が34%だった(2011年7月、IDC調べ)ことからすると、コロナがかなり強制的に日本人の在宅勤務に対する意識を変容させたのではないでしょうか。

ウェブ会議ツールなどの進化も要因としてありますが、なぜ東日本大震災のような自然災害ではそれほど進まなかった在宅勤務が、コロナを機に一気に普及したのでしょうか。それは下記に整理したように、自然災害と感染症の特性の違いに起因すると考えます。

コロナを機に一気に普及した在宅勤務ですが、各種調査では不満点も多く上がっています。
・通信状態が悪いときがある
・姿が見えず声掛けしづらい
・オンオフの切り替えがしづらい
・仕事専用のスペースがない
などなど・・・。

こうした声はあるものの、BCPの観点では、在宅勤務で事業を運営できる形にしておくのは非常に有効だと考えます。上記の不満点を解消するために、社員の自宅での就労環境を整備することと同時に、誰が在宅勤務態勢への移行を決めるのか、業務の指示をどのように出すのか、通勤費についてどうするのかなどの制度を事前にきっちりと決めておくことが重要だと考えます。また、完全に出社をゼロにできないのであれば、オフィスに出勤した社員がソーシャルディスタンスを維持できるような措置や、感染者が出た場合の対応も決めておくことが必要でしょう。



最後に参加者の皆様からいただいたアンケートへの回答の一部をご紹介します。

やはり、防災や災害対策が業務の柱である官庁/自治体の皆様については災害・危機管理対応への意識が非常に高い一方、民間企業やメディア業界においては、まだ意識が高いとは言えない企業様の割合も多いと見受けられます。

(SN)
July 3, 2020

参考情報

コロナ流行の今、もし南海トラフ巨大地震が発生したら【独自分析】(スペクティ、2020年5月11日)
https://spectee.co.jp/report/nankai_trough_earthquake_under_coronavirus_pandemic/

Share this with: