【Webセミナー】東日本大震災から11年、AIが防災をどう変えたか【2022年3月23日開催】

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2022年3月23日、スペクティでは「東日本大震災から11年、AIが防災をどう変えたか~最新のテクノロジーで挑む防災・危機管理の最前線~」とのテーマでオンラインセミナーを開催させていただきました。本レポートでは、そのダイジェストをお届けいたします。


東日本大震災から今月で11年が経過しました。その間に様々なテクノロジーが開発され、進化してきています。「Web3」や「メタバース」というような言葉を最近よくお聞きになるようになったのではないでしょうか。本日のセミナーではそうした新しい技術たちに脚光を当てて、それらが防災にどのように使われているのか、また、将来的に使われるようになる可能性があるのかについてお話ししたいと思います。

Web3、またはWeb3.0という言葉が最近よく取り上げられるようになってきました。

インターネットの初期段階はWeb1.0と言われ、ウェブサイトを作ることで情報発信をし、情報の受け手は検索をした上でそのウェブサイトを見に行くという世界でした。それが2000年に入り、Web2.0に移行していきます。FacebookやTwitterといったSNSが登場し、Wikipediaのような色々な人がアクセスして編集するようなサイトも出てきます。これはクラウド型・双方型のコミュニケーション、情報のやり取りの世界です。また、情報を集約するプラットフォーマーが登場する時代でもありました。GooleやAmazonといった会社が大量のデータを集め、中央集権的に管理する世界と言えます。

これに対し、Web3というのは分散型ネットワークの世界です。どこか一か所に情報が集約されるわけではなく、 P2P(ピアツーピア)、つまり人から人に情報が伝わる世界です。GAFA+Mと言われるプラットフォーマーが巨大化して情報を寡占するのではなく、データの所有権は個人個人に帰属し、社会は自律分散型になります。そうした社会はよりデータ駆動型、つまり色々なところに存在するデータを吸い上げて、それを元に判断することで指示系統を動かすようなモデルの社会になっていくことが見込まれています。

Web 3の世界において重要なテクノロジーがいくつかあります。

まずNFT。これはデジタル上のモノを唯一無二のものであることを証明する技術です。 これまではデジタルでの著作物は基本的にコピーし放題でしたが、こうした技術が普及すれば、アートやゲームのアイテムだけでなく、色々な対象への応用が期待できます。スペクティでは日々技術と人でSNS上の情報のファクトチェックを行っていますが、例えばインターネット上の画像や動画が確実にオリジナルであると見つけられるようになることは大変望ましい変化です。

次にデジタルツイン。これは防災の世界でも非常に重要なものです。IoTデバイスや、設置されているカメラ、人々が身に着けるウェアラブル端末などからデータを取り、それをもとに現実世界をサイバー空間に再現しようというものです。現在すでに製造工程の最適化や問題の発見などに活用されていますが、防災に当てはめると、例えばサイバー空間で津波を起こし、その対応をシミュレーションしてみるというようなことが可能になります。

そしてメタバース。最近、フェイスブック社が社名をメタに変えたことが話題になりましたが、それだけメタバースが将来のビジネスに大きなインパクトがあると考えてのことでしょう。これからはどんどん生活の場がバーチャルリアリティの世界に移行していき、その中で人がコミュニケーションをしたり、表現活動をしたりということが多くなっていくと考えられています。新型コロナウイルスの流行でこの流れには拍車がかかっています。

昨年5月、スペクティはデジタルツイン的な試みとして、水害の発生時にどこが浸水したのかを推定する「3D浸水推定図」を公開しました。発災時に瞬時に状況を仮想の3D上に表現することで、自治体が避難指示をどこに出すか、どこに避難をさせるのかなどの意思決定に役立てることができるものです。

また、国土交通省はPLATEAUというプラットフォームを公開しています。日本の様々な都市が3Dモデル化されており、色々な情報をここに流し込むことでシミュレーションなどが行えるものとなっています。このように様々なテクノロジーの進化と取り組みが進んでいます。

一方、やはり東日本大震災からの11年を考えると、AIの進化は非常に大きな変化で、革命的なインパクトを持っていると言えます。

その間にスマートフォンが爆発的に普及、誰もSNSで気軽に情報を発信したり受け取ったりできるようになり、データ通信の量も飛躍的に増大してきています。一方で、膨大なSNSの情報を活用する際の課題としては、「投稿量が膨大で、デマや誤情報が含まれるので、真偽確認が非常に難しい」という点があります。本当に必要な情報が埋もれてしまうという問題です。

この問題を解決する意味で技術として有効なのが、情報を大量に処理をして答えを出していくAIという技術です。Specteeもそのサービスを提供する中で、自然言語分析や画像解析といったAI技術を活用しています。

シンギュラリティ(技術的特異点)という概念が少し前に提唱されました。テクノロジーの進化が指数関数的に続く中で、AIが「人間の知能を大幅に凌駕する」時点を指す言葉です。その技術的な実現可能性は学者の間でも是非が分かれるところですが、世界の経営者たちはシンギュラリティを明確な目標としてとらえ、その方向に一斉に舵を切っています

少し前には「AIが囲碁で人間を負かすには50年必要」と言われていましたが、実際には20年で実現してしまいました。以前のAIは、人が打ち手を覚えさせ、その中から状況に合わせて最善の手を選ぶというものでしたが、最新のAIは、人が覚えさせるのではなく、AIが自分自身で学習して強くなっていくことができます。シンギュラリティの世界も近いのではないかと思わせます。

また、ドローンの進化スピードもすさまじく、災害時には人間に代わって危険な場所に入っていて状況を確認したり、物資を運搬したりということはすぐに実現することができるはずです。


このように発展していくテクノロジーは、防災の世界を大きく様変わりさせる可能性を秘めています。スペクティでは引き続きそれらテクノロジーを取り込み、社会に実装していく努力を続けていきます。

(根来 諭)
April 27, 2022


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