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東京オリンピックで起きていた「危機事象」まとめ

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新型コロナウイルスの影響で1年の延期を経て開催された東京オリンピックは8月8日、19日間にわたるその日程を無事に終了しました(パラリンピックは8月24日から9月5日まで開催予定)。コロナ禍での開催については賛否が分かれたものの、全力を尽くす選手たちの頑張りに感動を覚えた方も多かったのではないでしょうか。

前例のない無観客開催のなか、マラソンや自転車のロードレースなどオープンな会場では人が集まってしまったり、オリンピック反対デモが頻繁に開催されたりと様々なことが起こりました。しかし、全体としては大きな事故やテロなどの発生はなく、安全に大会を終えることができたと言えるのではないでしょうか。運営や警備を担当されていた皆様の努力に敬意を表します。AI防災・危機管理ソリューションを提供するスペクティでは、オリンピック期間においても事件や事故につながる危機事象の情報を収集・解析していました。今回は特に、SNSに投稿された危機関連情報について分析してみましたのでご紹介いたします。




競技が開始された7月21日から、開会式のあった7月23日を経て、閉会した8月8日までの23日間、スペクティが危機関連事象として配信したSNS投稿は全部で579件。その内訳を内容別に示したのがこの円グラフです。

会場やその周辺、最寄りの駅などにおいて混雑が発生しているとするものが241件で、全体の42%を占めました。コロナ禍にも関わらず人が密集してしまっていることに懸念を表するもの、混雑を生活上の迷惑だとするものなどもありましたが、混雑しているという事実を淡々と投稿するものが多く見られました。それに次ぐのがオリンピック反対派による抗議デモで200件、全体の35%を占めました。駅前で行われた抗議デモでは大変な密集が発生し、警備員ともみ合いになるなど現場は大きく混乱しました。続くのが46件で会場やその近隣における渋滞でした。オリンピック期間中は交通規制が敷かれ、特に選手や大会関係者が移動する首都高の利用が制限されたことから、一般道の渋滞が発生し、それに対する不満の声が多くあがりました。

4番目に多かったのが、五輪関係者の外出や問題行動でした。オリンピックマークのついた名札をつけたまま飲食店を利用している様子や、選手らしきジャージ姿の一団が繁華街にいる様子など、コロナ禍で厳しく行動が規制されているなかで、選手村や会場から外出している人たちに対しては厳しい目が注がれ、SNSにも多くの投稿がありました。運営者側も恐らく厳格なルールを設けていたはずですが、世界中から様々な価値観を持った人が集まるオリンピックという場で、完璧に順守させるのは難しかったものと思われます。




次のグラフは、SNSに投稿のあった場所の内訳です。

メイン会場のある東京が最も多く、全体の約7割を占めたのは自然なことかと思われます。北海道が2番目に多かったのはなぜでしょうか。それは閉じられた競技場ではなく、オープンな会場で行われるマラソンや競歩が札幌で開催されたことが大きかったと思われます。なかなか生で見る機会のないオリンピック競技を一目見ようと、沿道には多くの人が集まってしまいました。また、マラソンや競歩はどうしても交通規制が必要となるため、それに対する不満の声も多く聞かれました。

3番目の神奈川県も似た理由で、オープン会場での競技である自転車ロードレースが行われたことから沿道で密が発生していました。4番目の埼玉県は、期間中に大宮駅で不審物が見つかったことや、高速道路で渋滞が発生したことなどが投稿されました。5番目の静岡県は、自転車ロードレースのゴールが富士スピードウェイであったこと、マウンテンバイクのコースが伊豆にあったことによると考えられます。




次のグラフは、配信がどの日にどれだけあったのかを示すものです。158件の配信があった7月23日が圧倒的に多かったことがわかります。開会式が行われた7月23日は、千駄ヶ谷のオリンピックススタジアムの周辺で反対派による大規模な抗議デモが行われ、警備関係者や警察と対峙して、大変な混雑と渋滞が発生しました。

最後に、200件あった反対派による抗議デモの分析です。行われた場所としてはやはり東京が圧倒的に多く、全体の86%を占める172件にのぼりました。7月23日の開会式の日に最も激しく抗議デモが行われ、その後いったん沈静化するものの、週末ごとにデモの開催があり、閉会式の行われた8月8日にもオリンピックスタジアム周辺に沢山の反対派が集まりました。



1年延期をし、新型コロナウイルス感染拡大が止まらない中でのオリンピック開催。運営担当者や警備関係者も何が起こるのだろうかと不安で迎えたものと想像します。結果として、いくらかの混乱はあったものの、大きな事件・事故がなく閉会を迎えられたことは素晴らしいことだと思います。また、新型コロナウイルスの感染が一刻も早く終息することを祈ります。

現場で何らかの事象が発生すると必ずSNSに投稿が上がるため、それを監視することでリアルタイムで危機関連情報を集めることができるのは、イベント時も平時も変わりません。スペクティは、SNS投稿のみならず、気象データや交通データ、カメラ映像など様々なソースから情報を収集・解析し、引き続き防災・危機管理の分野に活用してまいります。


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スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)

 


(根来 諭)
August 10, 2021


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