防災テックベンチャーのSpectee(本社:東京都千代田区、代表取締役:村上建治郎、以下「スペクティ」)による企画提案、「フィリピン国 SNS情報を活用したAIリアルタイム危機管理情報システムに係る案件化調査」が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の実施する2021年度第2回「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択されたことをご報告いたします。
◆JICA「中小企業・SDGs ビジネス支援事業」とは?
開発途上国の開発ニーズと日本の民間企業の有する優れた製品・技術等とのマッチングを行うことによって、将来的に開発途上国の課題の解決・SDGs達成と日本企業の海外事業展開との両立を図り、もって ODA(政府開発援助)を通じた二国間関係の強化や経済関係の一層の推進に資することを目的とした事業です。
本事業は基礎調査/案件化調査/普及・実証・ビジネス化事業の3事業があり、この度スペクティはフィリピンを対象として「SNS 情報を活用した AI リアルタイム危機管理情報システムにかかる案件化調査」を提案いたしました。
◆フィリピンの現状と課題
フィリピンはアジアで最も経済成長著しい国のひとつですが、日本と同じく、地震や水害など多くの自然災害に見舞われており、2018 年発表の各国の自然災害リスクをランクづけした「世界リスク・インデックス」では、世界で 3 番目にリスクが高いと評価されました。また、同国では 2005 年から 2014年までのあいだに、自然災害によってのべ 7500 万人が被災しているという統計もあります。
フィリピン政府は毎年台風などの災害に備えた予算を計上しているものの、その額は十分とは言えず、技術的イノベーションによる新しい防災対策が切実に求められています。
◆スペクティが提案した案件化調査の概要
スペクティは、日本国内において、SNSや気象データ、道路・河川カメラなどのデータを収集・解析したうえで危機管理情報を配信するサービス「Spectee Pro」を提供しており、多くの地方自治体・官公庁・民間企業において採用され、災害時の状況の可視化に貢献しています。このサービスをフィリピン向けにローカライズし、ファクトチェックチームを現地で組成した上で、ビジネスを展開することができるかどうかのフィージビリティ・スタディを行います。
フィリピンは英語が通じること、また、若年層が多くSNSを使用する一人あたりの時間も世界でトップレベルに長いことから、本サービスとの親和性は高く、ローカライズの実現可能性は高いと考えています。
一方、日本とフィリピンの関係は深く、これまでもODAを通じて地震計、気象レーダ、洪水監視システム、LRT監視システム、高速道路監視システム、ハザードマップなどの導入・開発について支援が行われてきました。
「Spectee Pro」にそれら多くのデータをつなぎこみ、災害情報に関するプラットフォームとして、様々な情報を一元管理できるようにすることで、これまで積み上げてきた支援の果実をより充実したものにすることができると考えています。
◆本提案がフィリピン及び日本にもたらす貢献可能性
Spectee Proをプラットフォームとして情報を一元化し、災害を可視化することで、フィリピンの政府・自治体が状況を迅速かつ正確に把握することをサポートし、一人でも多くの命を救うことが出来ればと考えています。
また、防災大国・日本発の技術を、フィリピンを足掛かりにASEANへ、アジアへ、欧米へと展開していくことで、防災対応の世界的なスタンダードを確立することを目指します。
【関連リンク】
(ニュースリリース)2021年度第二回「中小企業・SDGsビジネス支援事業」:地域金融機関との連携案件8件を含む24件採択決定
https://www.jica.go.jp/press/2021/20220331_10.html
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