「サプライチェーン・リスクマネジメントについての意識調査」から見える、これからの危機管理のあり方と企業の運用事例【2022年5月18日開催】

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毎月様々なテーマで開催しているスペクティによるWebセミナーですが、5月18日には「サプライチェーン・リスクマネジメントについての意識調査」から見えてきたことについてお話をさせていただきました。本レポートではその内容を抜粋したものをお届けいたします。

多様化するリスク

サプライチェーン・マネジメントは、関わられている方は重々ご存じだと思いますが、関係者が多く、全体把握が難しいため、自社の努力だけではコントロールできないという特色があります。例えば完成品メーカーの場合、原材料や部品を様々なサプライヤーから調達しており、そのサプライヤーがさらに何層にも重なっています。

サプライチェーンを構成する工場や物流拠点、道路や鉄道や港湾といったインフラにおいて何かインシデントが発生した場合、サプライチェーン全体の流れが阻害されることになりますが、現在はそのようなリスクが多様化していると言えます。

世界で自然災害が多発化・激甚化しています。昨今言われているのは地球の温暖化が進むことで、大雨がよく降る、巨大な台風や山火事が発生しやすくなるということが言われています。また、サイバー攻撃も増加しており、日本企業が被害を受けたという報道も多く出ています。また、新型コロナウイルスの流行によって中国の港湾業務が滞ったり、ロシアのウクライナ侵攻によって工業品や原材料の供給が滞ったりといった事態が起きています。

世界が新しい局面に入りリスクが多様化している中、サプライチェーン・マネジメントの担当の方々は、試行錯誤しながら何とかリスクをコントロールしようと苦慮されているのではないでしょうか。

調査内容のご紹介

そうした担当の方々を対象に、スペクティでは外部の調査会社に委託し、アンケート調査を行いました。その結果をご紹介いたします。

「サプライチェーン・リスク・ マネジメント」に関する調査

  • 【調査期間】2021年12月10日(金)~2021年12月16日(木)
  • 【調査方法】インターネット調査
  • 【調査人数】1,011人
  • 【調査対象】製造業、小売業、物流企業のサプライチェーンに携わる業務担当者
  • 【モニター提供元】ゼネラルリサーチ社

まず、サプライチェーンに関わる被害を経験したことがあるか?という設問ですが、「ある」が41.8%、「ない」が58.2%という結果になりました。約4割の方が被害を受けていることになります。調査は昨年12月に行ったものですので、いま同じ調査を行ったら、ウクライナ危機や上海のロックダウンの影響で「ある」の割合は増えるのではないかと思われます。状況確認の面で困ったことについて尋ねると、一番多い回答は「現場の状況を知る人との連絡が取りにくかった」が半数を超え、2番目は「現場から伝わる情報が少なかった」となりました。

次の設問は、自社のサプライチェーンは国内だけで完結しているか・海外にも展開しているか、というものです。4割以上が海外にも展開しているという回答でした。しかし、担当者が「自社は国内だけ」と答えたケースでも、例えば原材料まで遡った場合、海外に全く関係ないというケースは少ないのではないかと思います。「海外のサプライチェーン阻害によって生じる課題」についての自由回答では、価格の高騰、納期の遅延、文化や習慣の違いによるすれ違い・・・などがありました。「時差によるタイムラグ」「タイムリーに状況が把握できない」というのは、海外のインシデントを日本国内の報道で把握しようとすると、必ず出てくる課題かと思われます。

サプライチェーン・リスクに関する情報を取得する手段は、6割が電話・ファックス・メールという旧来の手段、続いてインターネットサイトやテレビやラジオのニュースが挙げられました。サプライチェーン阻害で苦労したことについての自由回答では、通信手段が途絶えたり、連絡がとれない、情報伝達でミスが起きた、などがありました。「代替の部材の争奪があり苦労した」という回答もありましたが、これはよくあるケースで、インシデントの発生を他社より早く知ることが大切と言えます。

サプライチェーン・リスクマネジメントの重要性について尋ねると、6割以上がその重要性は上がるという回答でした。また、今後どのようなことが求められるかについては、「サプライチェーンの全貌を把握し、どこにリスクが潜んでいるかを精査すること」及び「インシデントの発生を迅速に知ること、サプライヤーや取引先との連絡網を整備すること」が挙げられました。

調査全体をまとめると、サプライチェーン・リスクマネジメントの重要性は高まっており、リスク事象の発生を正確かつ迅速に把握することが求められると言えるでしょう。他社に先駆けて状況を把握することで、代替品や代替輸送手段を確保するなどのアクションを打つことができ、競争力を高めることにつながります。

Spectee Proの使用例

Spectee Proは、ツイッターやインスタグラムといったSNSに投稿された情報、気象データ、道路・河川に設置されたカメラ映像、自動車から得られるプローブデータなど多くの情報を収集・分析することで、インシデントの発生を「リアルタイムに」「正確に」知ることができるソリューションです。さらに水害時の浸水推定のようなリスク予測も行っています。また、拠点を登録しておくことで、その周辺でインシデントが発生したときに担当者に連絡が行く機能などもあります。

例えば、工場火災や倉庫火災、また海外での輸送に関する事故(例:スエズ運河でのコンテナ船座礁など)を、テレビや新聞のニュースより圧倒的に早いスピード覚知することができますので、自社への影響の有無を確認し、影響がある場合のリカバリー策を他社に先駆けて打つことができます。

実際に、スペクティの顧客である自動車メーカー向けサプライヤー(Tier1)は、国内数千か所、海外数百か所の調達先を拠点登録機能で登録し、周辺でインシデントが発生した場合に直ちに把握できるような体制を敷いています。3月に発生した福島沖地震や、九州で発生した取引先の工場火災の際も、即座に反応して状況の確認ができたという声をいただいています。

サプライチェーン・リスクマネジメントの強化に取り組もうとされている方は、是非ともご連絡をください。無償トライアルのプランもご用意しています。

(根来 諭)
June 08, 2022


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スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)
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