2023.06.01
プレスリリース

スペクティ、日本気象協会と道路の吹雪視程の判定をAIで自動化し、約9割の精度で判定に成功~自動運転技術への応用や吹雪予測の精度向上へ~

株式会社Spectee(本社:東京都千代田区、代表取締役:村上建治郎、以下「スペクティ」)は、一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田太、以下「日本気象協会」)とともに行った、道路上に設置されたカメラで得られた画像を基にAI解析を用いて視程(※1)を判定する技術開発において、人間による目視での読み取り結果との合致率が約90%と高精度な判定に成功しましたので、ご報告いたします。
今後は、道路の安全や防災に関わる事業者などに活用いただき、自動運転技術への応用や吹雪視程予測への精度向上、吹雪による視程障害状況解析などへの貢献も目指します。

(↑視程検知のイメージ)

■技術開発の背景
降雪や吹雪による視程の悪化やホワイトアウトによる視程障害は、重大な交通事故や大規模車両滞留に繋がる恐れがあります。
これまで道路の視程検知は、視程計の設置や、道路上に設置したカメラ画像を人が監視することによって行っており、大雪や吹雪による視程障害が毎年発生する中、道路管理者によるカメラ画像の目視による監視に頼らざるを得ませんでした。また、目視による判定結果は人によって異なるという課題もあります。
こうした課題を解決するために、スペクティと日本気象協会は2019年から協力し、カメラ映像に注目して、AI技術を活用した視程判定の実証実験やサービス開発に取り組んでいます

■技術開発の概要
吹雪によるホワイトアウトが発生しやすい東北・北海道を中心に7台のカメラから得られた画像をAIが解析し、階級別視程(※2)として判定。日本気象協会の職員による目視での読み取り結果と照らし合わせて精度を検証しました。

■技術開発の結果
2022年度冬期に、7箇所でおこなったAIによる視程判定の結果、人間による目視での読み取り結果との合致率が全体で88%と高精度に判定できることが確認できました。50m未満と100m未満のように1階級の誤差を許容すれば合致率は99%の高精度となります。
また、降雪時や吹雪時だけでなく、濃霧発生時も良好な精度で視程を検知できることが確認できました。
この技術を活用することで、広域的な道路の視程状況を短時間で把握することができ、より網羅的な状況把握や適切な注意喚起が可能になると考えます。
今後も、サービス化に向けて精度を高め、より正確かつ迅速な情報の提供を目指していきます。

■関係者コメント
株式会社Spectee 取締役CDO Spectee AI 研究所 所長 岩井 清彦コメント
少子高齢化が進み、人手不足が深刻な問題となるなか、AIによる業務効率化や労働力不足の解消は喫緊の課題です。今回の技術開発は、MaaS領域の改良や、自動運転、地域防災などさまざまな場面での活用が期待されます。さらなる精度向上を図りながら今後も社会課題の解決にスペクティの高精度なAI技術を駆使して積極的に取り組んでまいります。

一般財団法人 日本気象協会 北海道支社 統括主幹 丹治和博コメント
降雪や吹雪による視程障害は局地性が強く、時間変動が激しいことが特徴です。そのため、道路管理者が視程障害の発生箇所を的確に把握し、適切な対応を行うことが困難となっています。今回の技術開発によるカメラ画像からのAIによる視程判別技術は、降雪や吹雪による詳細な視程予測にも応用でき、予測精度の向上が期待できます。この技術の精度向上を図るとともに、降雪や吹雪に関わる気象予測技術の開発を進め、積雪寒冷地が抱える課題解決に精力的に取り組みます。

※1 視程とは
気象用語で大気の混濁の度合いを示し、水平方向における見通せる最大の距離のこと。
※2 階級別視程とは
見通せる距離を50m未満、100m未満、200m未満、300m未満、300m以上と分けた視程を「階級別視程」としました。

■Spectee(スペクティ)について
スペクティは、「危機を可視化する」をミッションに、SNSや気象データ、カーナビ情報や道路カメラなどのデータから災害・リスク情報を解析し、被害状況の可視化や予測を行っています。
国内トップシェアを誇るAI危機管理ソリューション『Spectee Pro』は、災害や事故などのリスク情報をリアルタイムに配信するほか、SNSや河川・道路カメラ、カーナビ情報、人工衛星データなどをもとにAIで被害のシミュレーションや予測などさまざまな角度から被害状況を”可視化”することで、自治体の災害対応や企業の危機管理、物流やサプライチェーンのリスク管理などの目的に導入が進んでいます。

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