レポート

【Webセミナーレポート】東日本大震災から10年。この10年で何が変わったか ~ テクノロジーから見る、防災技術の進化と未来 ~【2021年3月18日開催】


スペクティは3月18日、東日本大震災からの10年を考えるWebセミナーを開催いたしました。10年の間に何が変わったのか、社会環境やテクノロジーの面からご紹介し、防災の未来を提示したこのセミナー、本稿ではダイジェストでお伝えいたします。

変わった社会環境

この10年 で社会は大きく変わりましたが、特に大きかったと言えるのはスマートフォンの普及と言えるでしょう。スマートフォンの保有率は2011年1月に9.7%だったものが、2020年1月には83.4%に増加しました。10年前は10人に1人が持つにすぎなかったのが、今で若い人だけではなく、中高年を含めて皆がスマートフォンを持っているという状況になっています。

そして、そのスマートフォンの普及と足並みを揃えて広がったのがSNSです。Twitterアクティブユーザー数(月に1回以上ログインしたユーザーの数)は2011年3月の670万人から2018年10月4500万人と約7倍になり、Facebookは2011年2月の200万人から2019年7月2600万人と約13倍に拡大しています。

また、そのSNS上でやりとりされるコンテンツの質も大きく変わりました。東日本大震災の当時は、Twitterもまだ流行に敏感なアーリーアダプター層が使っている段階で、短いテキストベースのメッセージが多かったですが、

近年は画像や動画を中心とした情報共有にシフトしています。シスコシステムズの調査によると2017年から現在までのIP動画トラフィックは4倍に増加し、画像や動画などのマルチメディアがトラフィック全体の85%以上を占めるとのことです。それは国内のインターネット上でのデータ通信量がこの10年で約60倍になっていることからもわかると思います。

こうした「テキストから画像・動画へ」というトレンドの中で、災害時の被害状況がより正確に可視化されるようになった、というのが大きな違いで、現在では多くの自治体でスペクティを採用いただき、「災害をSNSで可視化する」ということが一般的になってきています。

しかし、膨大なデータが飛び交うということには負の側面もあります。大量の情報の中から有用な情報のみを引き出す、また、真偽を確認してデマや誤情報を排除する、ということは、データが多くなればなるほど困難になります。

AI

一方、テクノロジーの面で、この10年で起きている顕著な変化は、人工知能(AI)の台頭です。2010年にはIBMのAI「ワトソン」が米国のクイズ番組「ジェパディ!」で人間に勝利、2017年には米国DeepMind社が開発した人工知能の囲碁コンピュータ「AlfaGo」が当時世界ランキング1位だった棋士に3連勝するなど、着実にその能力を上げていき、実際に社会に実装されるようになってきました。

このことにより、大量のデータを解析して瞬時に答えを出すということが以前に比べてはるかに容易になりました。実際にスペクティは、SNSという大海から必要な情報を見つけだすこと、さらにはその中からデマや誤情報を判別するということをAI技術を活用して行い、「Spectee Pro」というソリューションを提供しています。

ドローン

また、無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機、いわゆるドローンも急速に発達しました。ラジコンや軍用の無人航空機は以前より存在していましたが、2010年にフランスのA.R.Drone社が民間用の自律飛行型航空機を発売したことで”ドローン”という言葉が広がり、2016年には日本で最初の本格的なドローンの展示会「Japan Drone」が幕張メッセで開催されました。現在では中国のDJI社を筆頭に数多くのドローンが開発・販売されています。

ドローンは上空から状況を俯瞰したり、探索したり、また人がなかなかな入れないような危険な場所に入っていくことができるという点で、災害時に活用できる可能性が大きく広がっています。スペクティも、ドローンとAI画像解析による上空からの被害判定や、ドローンからの多言語での避難呼びかけなどの実証実験を行い、社会実装に向けて準備を進めています。

ロボット

さらには災害用ロボットの分野も発達が著しいです。東北大学が開発した緊急災害対応ロボット「Quince」は、人間に代わって災害現場をはじめとした危険な環境の情報収集を担うことを目的としたロボットです。また、東京大学の「JAXON」は人型のヒューマノイドロボットで、人と同様の環境・装置・道具を利用できる身体構造を持ち、災害発生時に人が近づけない場所で人に替わって多様な対応をこなすことを目的として開発されました。アクティブリンク社の「パワーローダー」は少し毛色が異なり、人が装着するパワーアシストスーツです。重労働をサポートする意図で開発されたものですが、瓦礫の山から人を救出するような災害救助での活用も期待できます。

AIの防災への活用

AIの防災への活用もどんどん進んでいます。スペクティでは、河川水位のリアルタイム判定や被害予測に関する実証実験を各地で進めています。また、道路にも国交省や自治体が設置したカメラがあるので、そういったカメラの映像を解析して路面の状態を自動判定するプロジェクトも行っています。今年も雪によって車が立ち往生する事態が多く発生しました。雪が急激に大量に降った場合、人の目視で確認をしてから対応をするのではどうしても遅くなってしまいます。設置したカメラで確認するにしても、多くのカメラを人がずっと見ていることも難しいため、そこをAIによる自動判定に置き換えようという試みです。

その他にも、地震が発生した時に、ひび割れから建物の危険度を自動判定するような使い方もできます。自治体による対応や民間の保険会社による保険金の支払いなど、復興を迅速にスタートするために活用できると考えています。




日本は、言わずと知れた災害大国で、自然災害に関する損失額は国民一人当たりで世界で一番大きくなっています(22.5万円/人)。この損失を少しでも抑えるために、AI、ドローン、5G、IoT、イメージセンサーなど新しい技術をフルに活用し、①想定外への対応、②被害状況の早期把握、③災害対応の省力化・無人化を行っていくことが重要です。

スペクティ社内でよく話すケースとして、東日本大震災で宮城県南三陸町の職員の方が最後まで防災無線で町民に避難を呼びかけ続け、結果的に亡くなってしまった悲劇があります。こうした犠牲を二度と起こさないための技術開発に、スペクティは全力を傾けていきます。


(SN)
April 14, 2021

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