レポート

【Webセミナーレポート】自治体×防災DX【2021年2月3日開催】

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スペクティは2月3日、阪神・淡路大震災の経験と教訓から様々な防災・減災の取り組みを行っている神戸市から小塚満幹様をお迎えして、「自治体×防災DX」と題するWebセミナーを開催させていただきました。防災のデジタルトランスフォーメーション(DX)とは具体的に何をするものなのか、またそれを自治体が推進するには何が大切なのか、学びの深いセミナーとなりましたので、その内容をダイジェストでお伝えいたします。


第1部:AIで変わる防災DXの未来と自治体での活用 / 株式会社Spectee 村上建治郎

自然災害による損失額は、国別にみると米国および中国が第1位・第2位となりますが、国民一人当たりにすると日本が最も大きく、22.5万円/人(2008-2017年、国際赤十字連盟のレポートより)となり、日本は紛れもなく災害大国ということができます。また、近年では災害の多発化・激甚化が進み、限られた予算の中でいかに有効な防災・減災を行うかが喫緊の課題となっています。

一方、災害を事前に予測することは大変難しく、自治体が作成したハザードマップの浸水想定区域外で大きな被害が出るケースも多くあります。しかしだからといって危険なエリアを広くとってしまうと、話題となった東京都江戸川区のハザードマップのように、区内のどこにも逃げ場がないようなものにならざるをえません。

こうした背景に立ち、スペクティでは「直前防災」「リアルタイム防災」という概念を提唱しています。災害に備える準備・整備・訓練は当然重要で、今後も引き続き注力すべきではあるものの、事前にすべての状況を予測し、想定することが難しいことを受け入れた上で、発災前後の刻々と変わる状況に対応していくべきという考えです。そのためには、リアルタイムで災害の状況を把握する必要があり、そこで活きてくるのがSNSの解析、IoTデバイスの活用、ドローンの利用といった最新テクノロジーです。

スペクティが過去に行った実証実験では、ドローンとAI画像解析による被災状況の把握を行っており、ネットワーク速度やコンピューティングパワーの向上など、要素技術の進展に応じてより実用化に近づいていけるものと考えています。

また、本日ご一緒させていただいている神戸市様との共同プロジェクトでは、スピーカーを搭載したドローンが、スペクティのAIアナウンサーの技術を活用して多言語で避難を呼びかける実験も行いました。

その他、福井県で行っている路面状態の自動判定や、石川県加賀市で行っている河川水位のリアルタイム判定と被害予測など、次々に新しい取り組みを行い、防災DXとしてテクノロジーを活用した被害の最小化と復興の迅速化に取り組んでいます。


第2部:スタートアップと共に発展する神戸市のDX改革とその取り組み/神戸市 小塚 満幹

神戸市は26年前、死者4,571人を出した阪神・淡路大震災を経験しております。当時はまだテクノロジーの活用はほとんどと言っていいほどできておらず、私自身も被災者がどこにいるのかわからず、情報発信・共有が困難で混乱した状況であったことを覚えています。

その後、平成30年6月の大阪北部地震、同年年7月の豪雨、同年9月の台風21号での高潮などにおいても、災害対応のオペレーションセンターにいながら、現場がどうなっているのか、どこに被災が発生しているかなどの情報を把握することに難儀し、テクノロジーの活用無しでは災害対応は難しいということを実感しました。

神戸市における災害時のICT活用についての考え方として、災害の状況を把握して俯瞰化し、それに基づいて人的資源の再配置をすることが肝であると考えており、平成31年4月から新・危機管理システムを導入し、災害対策本部の風景も様変わりしました。

それと並行して、様々なICTツールを導入しました。スペクティを採用し、AI 機能を活用したSNSからの情報収集を開始、本来業務に集中できる一助にできています。また、LINEのチャットボットを活用した実証実験も行い、これは市民の皆さんに情報を交換していただく、共助・自助の取り組みとして推進しています。但し、公の情報の部分と共助・自助の部分は線引きをすべきだと考えています。例えば、「LINEチャットボットで通報したのに助けてくれない」となってしまうと現場の混乱は避けられません。さらには、ドローンを使った情報収集、スペクティのAIアナウンサー荒木ゆいをつかった多言語呼びかけ、他部局の取り組みとしてはタブレットを使った水門・防潮鉄扉の遠隔操作を取り入れ、職員が危険にさらされることがないようにする取り組みをしています。

その他にも、NTTドコモと組んだセンシングの実証実験、防災行政無線の整備と監視カメラの搭載、放送設備とサイネージを連携させたシステムの実証実験、非常用電源の整備、中央市民病院で医療従事者の負担を軽減するためのAIアナウンサーによる呼びかけや遠隔通信システムの導入など、テクノロジーを活用した多くの取り組みを行いました。

一方、現在私は都市局市街地整備部に所属しており、今後の業務として、神戸市がURから譲り受けた多井畑西地区を里山として有効活用できる場にしていきたいと考えています。こういった広い土地は、防災分野に限らず、技術革新を促すための実証実験のフィールドとしても使っていける可能性があると考え、地権者や地元の方々とお話をしながら具体的に進めていきたいと思っています。


本日のお題でもある、スタートアップと組んでどう技術の導入を進めていくべきかについては、神戸市にはURBAN INNOVATION KOBEという、行政とスタートアップを結ぶ素晴らしい仕組みがあり、参考になると思います。スタートアップ側の態度として難しくなるのは、最初からお金の匂いをさせてしまうこと。行政は公平性を担保しなくてはならず、また予算の策定のサイクルもあるため、あれをやるといくら、これをやるといくらという形だとなかなか前に進めることは難しくなります。ウィンウィンの関係を築いて、お互いに歩み寄ることをしないとスタートアップ新産業は盛り上げられないと考えています。

最後に

小塚様には現場での実体験から得られた知見や、テクノロジーを活用した様々な取り組みについてお話をしていただきました。地方自治体は予算も限られ、また災害が発生している混乱時には人的リソースが圧倒的に不足してしまいます。テクノロジーの活用は避けては通れない道であり、スペクティも現場のお声に耳を傾けつつ、全力でサポートして行きたいと考えています。

(SN)
February 24, 2021

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