ESGデータ把握とAI 危機管理で築く次世代サプライチェーン~災害・ 地政学・人権リスクを可視化し、どう備えるか~【2025年7月29日開催】
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防災・危機管理に関するソリューションを提供するスペクティでは、毎月様々なトピックを取り上げてWebセミナーを開催しています。2025年7月29日には「ESG データ把握とAI危機管理で築く次世代サプライチェーン~災害・地政学・人権リスクを可視化し、どう備えるか~」と題し、アスエネ株式会社様(以下、アスエネ)とセミナーを共催いたしました。
近年のサプライチェーンは、複雑性・不確実性が増しており、そのリスクマネジメントの重要性はかつてないほど高まっています。こうした背景から、災害時の迅速な対応を可能にするBCP(事業継続計画)の観点と、企業活動の持続可能性を追求するESGの観点が、双方ともに注目されています。セミナーでは、Specteeの村上と、アスエネの萩原氏がそれぞれの視点から次世代のサプライチェーンリスク管理について解説しました。本レポートでは、内容を一部抜粋してご紹介します。
■アスエネ株式会社 登壇者プロフィール萩原 康仁 アスエネ株式会社 事業開発本部 アスエネ ESG 事業部 General Manager 兼 経営企画部
キーエンス に新卒入社。担当領域における四半期での営業成績日本一を獲得。リブ・コンサルティングに転職後、ベンチャー企業の営業・マーケティング戦略の立案に従事。現在、アスエネ株式会社にて経営企画部責任者およびアスエネESGの責任者として事業KPI管理、事業開発、営業、プロダクト開発、コンサルティングサービスなど幅広く携わる。
会社HP:https://corp.asuene.com/
■サプライチェーンのリスクを可視化する、Spectee SCR
セミナー前半には、Spectee 村上より、Specteeの会社紹介と、サプライチェーン・リスクマネジメントに特化したソリューションであるSpectee SCR(Spectee Supply Chain Resilience)についてお話させていただきました。ご興味ありましたら是非お問い合わせください。
サービスHP:https://spectee.co.jp/service/specteescr/
お問合せ窓口:pro@spectee.com
❶厳格化するESG 規制とサプライチェーンへの影響
アスエネ萩原氏:昨今、国内外でESG 情報開示への視線が強まり、規制対応は企業の重要課題となっています。特に「欧州バッテリー規則」や「CSDDD(企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令)」といったサプライチェーンにまで及ぶ規制は、企業に具体的な開示や改善を求めています。
日本国内でも、時価総額の高い企業は「SSBJ(サステナビリティ基準委員会)」への対応が進められており、サプライチェーンにおけるESG 開示の準備が求められています。
❷課題を解決するアスエネのソリューション
アスエネ萩原氏:こうしたことから、大手上場企業を中心に、サプライチェーンのESG リスク調査・エンゲージメントが進められていますが、サプライチェーンのESG 調査には多くの課題が存在します。私たちアスエネの提供するソリューション「ASUENE ESG」は、これらの課題を解決するプラットフォームです。
❸リスクへの備えが成長のカギ、次世代のサプライチェーン管理とは
セミナーの最後のパートでは、それぞれの専門領域から見たサプライチェーンリスク管理について対談し、多くの企業が直面するサプライチェーンの課題や対策を、具体例を交えてご紹介しました。
・ESG 評価に際しての課題は法的対応とレピュテーションリスク
Spectee 村上:アスエネのサービスを導入するきっかけは何が多いのでしょうか?
アスエネ萩原氏:ESG 評価のニーズが高まる中、お客様が最初に課題として感じているのは、法令対応とレピュテーションリスクです。特に、児童労働や強制労働といった人権デュー・デリジェンスへの対応は、海外取引がある大企業だけでなく、中小企業にとっても他人事ではありません。
Spectee 村上: 導入前はお客様はどのようにサプライヤーを管理されていましたか?
アスエネ萩原氏: 大きく分けて2つのケースがありました。
【既存の方法で実施していたケース】 取引額が大きい上位80%のサプライヤーに限定して、Excelなどで管理していました。しかし、リスクの高い下位20%を網羅的に調査したいという課題がありました。
【これから始めたいと考えていたケース】 何をどのように調査すればよいか分からないという状況で、アンケートの設計や取り組みの進め方についてのご相談からスタートしました。
・サプライチェーンBCP リスクの高まりと事前対策の重要性
アスエネ萩原氏:サプライチェーンBCPにおけるリスクの現状と対策はどのようなものが挙げられますか?
Spectee 村上:地震などの自然災害リスクや地政学リスクの増加により、サプライチェーンの事業継続リスクは非常に高まっています。特に南海トラフ地震の影響範囲に多くの企業が設備を抱えており、大地震への対応は喫緊の課題です。また、海外からの調達では、戦争や政治的な動き、トランプ関税などのリスクも考慮する必要があります。
これらのリスクへの対策として重要なのは、以下の2点です。
【リスクの早期検知】 災害や事象の発生をできるだけ早く知り、行動することで被害を最小限に抑える。
【サプライチェーン全体の可視化】 自分たちが見えている範囲だけでなく、今見えていない部分まで可視化して日常的に状況を把握しておく。
アスエネ萩原氏:事前対策による被害軽減の事例はありますか?
Spectee 村上:能登半島地震の際の、自動車メーカー向け部品を作るサプライヤー企業様の事例があります。能登の工場が被災した際、我々のサービスを導入していたことで早期に状況を把握でき、すぐに代替品の調達先に切り替え、被害をほぼゼロに抑えることができました。もし対応が遅れていれば、他の企業との代替品争奪戦に巻き込まれ、調達遅延による大きな損失が発生していた可能性があります。このように、我々のサービスは初動を早め、被害を軽減する「保険」として活用できます。
アスエネ萩原氏: Specteeのサービスで、サプライチェーンの規制モニタリングはできますか?
Spectee 村上: 全世界のローカルニュースや公的機関の発表情報を取得しているため、規制やサプライヤーに影響が出そうな情報を把握することが可能です。ただし、その情報が自社のサプライチェーンにどう影響するかは、やはりサプライチェーン全体を可視化しておく必要があります。
両社の対話から見えてきたのは、単なる危機管理に留まらない、サプライチェーンを起点とした新たな企業価値創造の可能性です。
災害や人権問題といったリスクをいち早く捉え、対応することで、企業はレジリエンスを高めるだけでなく、市場での信頼と競争力を向上させることができます。BCPとESGを統合したサプライチェーン管理が、これからのビジネスを成長させる鍵となるでしょう。
(要約:井垣麻美子)
Sep 11, 2025
信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!
スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性・正確性・網羅性で、危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握することが可能です。
また、『Spectee SCR』(https://spectee.co.jp/service/specteescr/)はサプライチェーンに影響を与える危機を瞬時に可視化し、SNS・気象データ・地政学リスク情報など様々な情報をもとに、インシデント発生による危機をリアルタイムで覚知し、生産への影響や納期の遅れ等を迅速に把握することができます。

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