サプライチェーン強靭化のための海外リスク情報の取得と活用【2024年12月13日開催】
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防災・危機管理に関するソリューションを提供するスペクティでは、毎月様々なトピックを取り上げてWebセミナーを開催しています。2024年12月13日のセミナーでは、「サプライチェーン強靭化のための海外リスク情報の取得と活用~自然災害から地政学リスクまで世界のリスクに如何に対応するか~」と題して、現在大きなテーマとなっている「サプライチェーン強靭化」を実現するために海外リスク情報をどのように活用するべきかについてお話ししました。本レポートでは、その内容を抜粋してお届けいたします。
❶なぜ今サプライチェーン強靭化が求められるのか
サプライチェーンの強靭化が求められる背景には、近年サプライチェーンの混乱や途絶の事例が増加していることがあります。2011年の東日本大震災や同年のタイの洪水、相次ぐ地震や豪雨被害、COVID-19のパンデミック、ミャンマーのクーデター、ロシアのウクライナ侵攻など、多様な危機がビジネスに深刻な影響を与えています。また、サイバー攻撃や工場火災、スエズ運河の船舶座礁のような事象も発生し、サプライチェーンの脆弱性が顕在化しています。
サプライチェーンの構造自体にも課題があります。産業革命以降、効率化やコスト削減を重視する発展が続いてきましたが、現代では多品種少量生産が求められる一方で、サプライチェーンは長距離化・複雑化が進んでいるため、危機事象に対して弱くなってしまっているのです。
東日本大震災では、被害状況の把握や影響範囲の確認に時間がかかる課題が浮き彫りになりました。特に原材料や部品の調達先が被災した場合、その影響がどこまで及ぶかが把握しづらいことが指摘されています。この背景には、前述の通りサプライチェーンの構造が長距離化・複雑化したことや、下請け構造が集約化したことがあります。2024年にスペクティが行った調査でも、サプライチェーンが阻害された際、危機事象の影響範囲を把握するのに時間がかかることや、リスク発生を迅速に感知できないことが主要な課題となっていることが判明しました。
以上の状況を踏まえ、自然災害や地政学リスク、物流危機など多様なリスクに対応するため、従来の効率化やコスト削減に加え、サプライチェーンの強靭性を高めることが必要とされています。そのためのカギは、危機事象の迅速な把握と影響範囲の即時確認が重要であり、これが強靭化の鍵となると考えられます。
❷リスク情報の取得と活用の重要性
サプライチェーンにおけるリスクは、実に多岐に渡ります。大きく①自社起因のリスク(例:工場火災、不正行為)、②サプライヤーや流通業者など他社に起因するリスク(例:サプライヤー倒産、輸送中の事故)、③自然災害や地政学的要因など環境起因のリスクの3つに分類されますが、サプライチェーンは多くのステークホルダーによって成り立っていることから、自社の事だけ把握していたのではまったく十分ではありません。
サプライチェーン強靭化のためには、以下のステップが必要です。まず、経営層のコミットメントの下で基本方針を策定し、体制を整えることが重要です。次に、サプライチェーンを可視化し、自社に影響を及ぼすリスクを分析・評価します。これに基づいて優先順位をつけて強靭化策(冗長性の確保、サプライヤーの多様化など)を実行し、さらにリスクモニタリング体制を構築します。サプライチェーン全体のリスクをモニタリングすることは非常に重要ですが、やはりその中で特に課題となるのが①サプライチェーン全体での危機事象発生のリアルタイム把握、②その事象が自社製品に与える影響の特定です。
具体的な事例として、半導体工場火災やスエズ運河座礁事故では、早期の情報把握により競合他社に先駆けて対応策を講じ、影響を最小限に抑えたケースが紹介されました。また、昨今課題となっている地政学的リスクについては、起きた事象から自社への影響が直接的につながっていないため工夫が必要です。シナリオを作成し、自社への影響が決定的となる事前にトリガー事象を設定することでモニタリングの対象を明確化しておくことが重要です。
❸AIを活用したサプライチェーン・リスク管理サービス「Spectee SCR」
Specteeは、2011年の東日本大震災を契機として創業した、防災・危機管理ソリューションを提供する会社で、”危機を可視化”し、データ駆動型のレジリエンス社会を構築することを目指しています。
スペクティの新しいソリューション「Spectee SCR」は、SNSから得られる情報や、気象データ・交通データ・衛星データなど多様な情報を解析し、リアルタイムで危機情報を提供します。テキストや画像などをAIで解析して危機事象に関する情報をリアルタイムで収集することが特徴ですが、AIだけではなく24時間体制の人間のチームがチェックすることで、デマや誤情報を排し、高い情報精度を保っています。
Spectee SCRを活用することで、数多くのサプライヤーを含む自社のサプライチェーンに影響を与えるような危機事象の発生をリアルタイムで覚知し、影響範囲を特定することができます。また、アンケート機能を通じて被害状況を自動で収集することもできます。2024年1月に発生した能登半島地震では、スペクティの顧客である医療機器・ヘルスケア製品を製造している大手のメーカーでは、被災地にサプライヤーがいくつ工場を構えており、そこに被害があったのかどうかを瞬時に把握できたという事例もありました。
このように、Spectee SCRは、サプライチェーンの強靭化にあたって大きな課題となっている①サプライチェーン全体での危機事象発生のリアルタイム把握、②その事象が自社製品に与える影響の特定を実現することができるソリューションとなっています。ご関心がおありの方には詳細をご説明さしあげますので、是非お問い合わせいただけると幸いです。
(要約:根来諭)
Jan 15, 2025
信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!
スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性・正確性・網羅性で、危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握することが可能です。
また、『Spectee SCR』(https://spectee.co.jp/service/specteescr/)はサプライチェーンに影響を与える危機を瞬時に可視化し、SNS・気象データ・地政学リスク情報など様々な情報をもとに、インシデント発生による危機をリアルタイムで覚知し、生産への影響や納期の遅れ等を迅速に把握することができます。
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