世界の玄関を支える国際空港の危機管理~世界中の人が利用する成田国際空港での危機管理とは?Spectee Proの活用方法は?~【2024年11月7日開催】
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防災・危機管理に関するソリューションを提供するスペクティでは、毎月様々なトピックを取り上げてWebセミナーを開催しています。2024年11月7日のセミナーでは、「世界の玄関を支える国際空港の危機管理~世界中の人が利用する成田国際空港での危機管理とは?Spectee Proの活用方法は?~」と題して、成田国際空港株式会社 オペレーションセンター部長の菅井理博様をゲストにお迎えし、成田国際空港の危機管理への考え方や取り組み、『Spectee Pro』の活用方法などをご紹介いただきました。本レポートでは、その内容を抜粋してお届けいたします。
❶安全とお客様満足を追求する、世界へのゲートウェイ
成田国際空港は、2本の滑走路と3つのターミナルを保有する国際空港で、2024年現在、109の航空会社が乗り入れ、世界の119都市へ就航しています。
東日本大震災などの自然災害やリーマンショックなどの経済不況で一時的に需要が落ち込むことはあったものの、開港以来、発着回数と旅客数は右肩上がりで伸びていましたが、コロナ禍では大きな落ち込みを経験しました。しかし、2024年は、ほぼコロナ禍前の水準に戻り、発着回数が約25万回、年間利用者が約4000万人に回復する見通しです。
近年では利用者の外国人比率が増加しており、多言語対応など外国の方の安全・安心への配慮も強化しています。また、滑走路の増設等により年間発着容量を50万回に拡大する「更なる機能強化」に取り組んでいます。私たちは第一に「安全を徹底して追求し、信頼される空港」、そして「お客様の満足を追求し、期待を超えるサービスの提供」を目指すことなどを経営ビジョンに掲げ、各種施策に取り組んでいるところです。
❷成田国際空港のトータルエアポートマネジメントとは
成田国際空港の運営主体は私たち成田国際空港株式会社ですが、実際の運用は様々な機関が連携し合うことで成り立っています。お客様が空港を利用する際、飛行機に搭乗するまでには数々の手続きが存在しますが、空港全体の航空機の流れと人の流れをスムーズにするためには、各機関の情報連携と協調体制が重要です。私たちは「トータルエアポートマネジメント(Total Airport Management :TAM)」をコンセプトとし、「円滑かつ効率的な空港運用(運航・旅客流動)の実現 」を目指しています。
その一環として、情報管理の一元化に取り組んでいます。情報のリアルタイム性と予見性を高め、関係機関間の連携を強化することで、発生している事案や予見されている状況を把握し、プロアクティブに対応することが可能になります。 この効果は、リソースの有効活用や効率的な人員配置にも及びます。限られた人的リソースをピーク時間に合わせて最適配置することで、お客様の流れがスムーズになり、空港全体の効率運用にも結びつくものと考えています。 私たちオペレーションセンターでは「空港運用情報システム」を使い、さまざまなトラブルや気象情報等を24時間体制で関係各所に伝え、TAMを支えています。
❸課題から学び、強化へ – 緊急事案対応の進化
緊急事案対応としては、成田国際空港全体の業務継続計画(BCP)を策定しており、大規模な自然災害が発生した際に、空港関連事業者が連携して迅速かつ適切な対応を行える体制を構築しています。具体的には空港関連の48事業者で構成する総合対策本部で情報共有を行い、意思決定をすることとしています。特に地震発生時は初動が非常に重要になりますので、行動計画タイムラインを備えチェックリストとしても活用しています。
これまでに成田国際空港は、地震だけでなく大雪や台風など様々な災害に見舞われてきました。その中で、情報不足や情報共有体制不足という課題が明らかになり、それが現在の体制強化につながる大きな教訓となりました。こうしたことを経て、2024年の台風7号の際は、情報連携がスムーズに行われ、大きな混乱なく対応することができました。
❹『Spectee Pro』の導入とその効果
2019年の台風15号と19号が上陸した時は、成田国際空港周辺でも様々な影響がでましたが、空港外で起こっていることの情報がなく非常に困りました。その時、SNSに投稿された1枚の写真で発生していた被害の状況を把握できたということがありました。その写真は鉄道の線路に屋根が崩落している様子を映した写真で、写真を見る前は「鉄道に飛散物あり」という情報は聞いていて、すぐに復旧するだろうと考えていたのですが、写真を見たことで鉄道の復旧には時間を要するであろうことを知ることができたのです。空港内であればカメラや警備員などから情報を集めることができるのですが、空港外での事象については把握するのが困難です。
そのような経験からSNSの有用性を感じ『Spectee Pro』を導入、現在リスク情報の収集に活用しています。私たちが気づかない情報についても、『Spectee Pro』で覚知することが出来ており、空港内のシステムだけでは収集できなかった情報の取得や原因の特定、今後の予測などにも活用できると期待しています。
(要約:井垣 麻美子)
Dec 19, 2024
信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!
スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性・正確性・網羅性で、危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握することが可能です。
また、『Spectee SCR』(https://spectee.co.jp/service/specteescr/)はサプライチェーンに影響を与える危機を瞬時に可視化し、SNS・気象データ・地政学リスク情報など様々な情報をもとに、インシデント発生による危機をリアルタイムで覚知し、生産への影響や納期の遅れ等を迅速に把握することができます。
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