【SFX 】宇宙×サプライチェーン ~衛星データを活用したサプライチェーン・マネジメントの革新~ 【2023年12月8日開催】

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人・船舶・車両の位置や港、プラントなど様々なデータが取得可能な人工衛星。それらを活用することで、効率よく安全なサプライチェーンの実現が期待されています。 本セッションでは、実業家の成毛眞氏、SAR衛星「StriX(ストリクス)」の開発や衛星データを活用した事業を展開するSynspective代表の新井元行氏、最新テクノロジーを活用して「危機」の可視化に取り組むスペクティ代表村上が、「宇宙 x サプライチェーン」と題して、衛星データの活用などをテーマに議論しました。

【登壇者プロフィール】

・成毛 眞  実業家
1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。書評サイトHONZ代表。 「amazon 世界最先端の戦略がわかる」「2040年の未来予測」など著書多数。

・新井 元行  株式会社Synspective代表取締役CEO
米系コンサルティングファームにて、 5年間で15を超えるグローバル企業の新事業/技術戦略策定、企業統治および内部統制強化などに従事。その後、東京大学での開発途上国の経済成⻑に寄与するエネルギーシステム構築の研究を経て、サウジアラビア、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、ケニア、タンザニア、そして日本の被災地等のエネルギー・水・衛生・農業・リサイクルにおける社会課題を解決するプロジェクトに参画。衛星からの新たな情報によるイノベーションで持続可能な未来を作ることを目指し、2018 年に株式会社Synspective を創業。

・村上 建治郎  株式会社Spectee代表取締役 CEO
ソニー子会社にてデジタルコンテンツの事業開発を担当。その後、米バイオテック企業にて日本向けマーケティングに従事、2007年から米IT企業シスコシステムズにてパートナー・ビジネス・ディベロップメントなどを経験。 2011年に発生した東日本大震災で災害ボランティアを続ける中、被災地からの情報共有の脆弱性を実感し、被災地の情報をリアルタイムに伝える情報解析サービスの開発を目指し株式会社Specteeを創業。著書に「AI防災革命」(幻冬舎)

◆IT革命のような発展を遂げる、宇宙ビジネス

成毛氏
マイクロソフトを辞めたのが2000年で、そのときITに匹敵するくらいの産業として、間違いなく次に来るのが宇宙だと思っていました。今の宇宙業界は90年代のIT業界のような匂いを感じています。
村上
衛星インターネットなども非常に話題になっていて、KDDIがスターリンクと組んだり、先日NTTがアマゾンと組んで衛星インターネット事業を日本で展開するというニュースも出ていました。衛星インターネットもこれからどんどん広がっていくビジネスだと思いますね。
新井氏
通信はインフラとしてどんなビジネスでも重要なので、とてもわかりやすい入口だったと思います。パラダイムシフトのように一気に状況が変わったのは、その出口が見えたからだと思っています。これから更に通信が整って、様々な情報が衛星の軌道上から得られるようになるので、それをどうアプリケーションに落とし込むかが重要になってきますね。
村上
やっぱり出口が大事ですね。「どうマネタイズするのか」ここを困っている人は多いと思うのですが、何かアイディアはありますか。
新井氏
ウクライナやガザの情勢などのニュースで、衛星写真が使われるようになってきています。なかなかその場に行くことができない場所の情報も安全保障の観点で重要になってきていますね。Synspectiveとして注目している分野は、社会や経済に大ダメージを与えてしまうような大規模な災害が発生した時に即時対応するための衛星の活用や、予兆把握としても使えると良いと思っています。
成毛氏
90年代初期はインターネットが未発達で、ITを使ってやれること自体がはっきりしていなかったので、アマゾンのようなWorld Wide Webの世界でのブラウザを使ったビジネスは未開発でした。先程もITの匂いがすると言ったように、宇宙に関しても、アマゾンや楽天といった新しいサービスを提供する会社がこれから出てくるだろうという期待があります。
村上
ITの時もインフラができてから様々なアプリケーションができました。衛星に関しても同様で、これからインフラが整って自由に使ってくださいとなったら、それを使う人がたくさん出てきて、そこに新しいビジネスが生まれますね。
成毛氏
90年代のパソコンのCPUは今の1000万分の1くらいの能力しかなかったですが、毎年精度が上がってきた。同じようなことが宇宙でもこれから起こると思います。テクノロジーの変化が非常に面白い。コストも下がるので大量生産が可能になり、精度も上がってくる。それによって起こるアプリケーションを見つけた人が勝つんですね。
村上
10年後に宇宙のインフラが整備され、今の若い人たちが衛星インターネットや宇宙からのデータを使って色々なことをやり始めると思います。未来はすごく明るいと思います。
新井氏
地球全体のリアルタイムで高精度データは、人類がいまだかつて手に入れたことが無く 、サプライチェーンにおいてもそうかもしれませんが、今データが取れずに諦めてしまうようなことが、これからは当たり前のようにそれらを使っていく世の中になっていくと思います。色々なチャンスがありそうですね。

◆衛星データを活用したサプライチェーン・マネジメントとは

成毛氏
サプライチェーンのラストワンマイル問題を考えても、SAR衛星の精度が上がりコンステレーションが飛んでほぼリアルタイムで取れるとなると、どのルートで行くかをあっと言う間にAIが解決し、結果ドライバーの数が半分になる、といったことも可能になります。そんなアプリケーションを開発出来たら、売上規模は5兆円規模になりますよ。
村上
まさに今物流業界で2024年問題があって、ドライバーの数が足りなくなるんですよね。製造業や物流のサプライチェーンもそうですが、Eコマースもどんどん広がっているので、ラストワンマイルを届ける人も足りていない状態。このあたりをテクノロジーで変えて行くことができれば、すごいビジネスになりますね。
新井氏
たとえば、アフリカにはマップ情報が整備されていなかったりするのですが、衛星を使うと、どこに村があって、どの道で行けますといったルートマップがすぐに作れたりします。もっと規模の大きい話だと、僕らの衛星で海上輸送上の港のコンテナ数など、ハブになるポイントの出入りが分かるので、サプライチェーン全体の経済活動を定量的に把握することが可能です。最近では、温暖化の影響で北極海の氷が解けたことにより、新しい航路ができはじめているので、それを衛星を使って把握するというニーズもあったりします。
成毛氏
広い意味でコモディティマーケット、つまり石油が高ければ買わない、安ければ買うという、そのプライスはサプライチェーンの根幹ですよね。たとえばアメリカ東海岸のコロニアルパイプラインの中継地には大きなタンクがあり、その中の石油量をこれまでは光学衛星で上から人間が見ていました。影が出来ると石油が減っているから、売れたというように。それで石油の金額が結構変わっていたのですが、SAR衛星が出た瞬間に人の目がいらなくなり、全自動で石油のWTIに関してのディールができるようになった。素早いディールはサプライチェーンの効率を上げるんですね。
村上
アメリカのウォルマートの駐車場に何台車が停まっているかを衛星で監視して、車が多い・少ないというデータから、消費動向などを分析するケースもありますね。衛星データの活用という点で面白さがあります。

◆多様化する宇宙ビジネスの未来展望

村上
衛星ビジネスについては各国が競争していますが、日本の現状はどうですか。
新井氏
実はSAR衛星ではわりと日本がトップランナーなんですよ。ただ、今後は解像度が非常に高いとか、広域を撮れるとか、衛星自体のハードウェアとしての様々な特色が出てきて、そこが重要な競争要因になってくると思います。自然にすみ分けもされてきますので、これからは色々なタイプのデータが出てくるように変わっていくんじゃないでしょうか。
村上
衛星データを使う側のスペクティでは、人工衛星を使った災害状況やサプライチェーンの見える化に取り組んでいます。衛星データは災害の範囲を特定するのにすごく相性が良いんです。スペクティの主なデータソースであるSNSは、一般の方が写真を撮ってアップする地上のデータであるため、見える範囲は自分のいる周辺。一方で衛星であればもっと広い範囲を俯瞰的に見ることができる。被害範囲を特定するにはうってつけの情報です。しかし課題は多く、衛星データはリアルタイム性が低く、災害の初動対応には使いにくいことですね。これを解決するにはもっと多くの衛星を打ち上げないといけない。
新井氏
僕らは今衛星を30機上げることをターゲットに置いているんですが、それが実現すると1時間以内にデータを取って自動解析した情報を届けることができるので、2020年代の間にはそのシステムを作り上げたいと思っています。仰るとおり、まずは数を多く上げることですね。
成毛氏
イーロン・マスクやジェフ・ベゾスは2000年から四半世紀宇宙ビジネスをやっているんですよね。それでお金が動くようになった。ですから、日本も今から20年後が楽しみと言えます。その間にいかに彼らと差別化をするかが大事ですし、差別化に最も効果的な方法は若い人にやってもらうこと。是非皆で若い人たちを発掘しましょう。

(要約:井垣 麻美子)
May 10, 2024

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