SNSのデマ情報と戦う~SNSのデマの危険性と見分け方~【2020年8月26日開催】

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スペクティでは、2020年8月26日に3回目のWebセミナー、「SNSのデマ情報と戦う ~SNSのデマの危険性と見分け方~」を開催させて頂きました。自治体や民間企業、非営利団体、防災に個人で携わる方に至るまで、多数のご参加ありがとうございました。本レポートではそのエッセンスをお伝えいたします。


コロナ禍でWebセミナーを始めて3回目、今回のテーマはSNSにおけるデマです。デマにはどういうタイプがあるのか、どういうメカニズムで拡散していくのか、そしてスペクティではどのようにそれらを見抜いているのか等について説明させて頂きます。

まず、SNSの情報は防災・危機管理を担当する方にどのようにとらえられているのでしょうか。下図はスペクティが2020年5月に自治体を対象に行ったアンケートの結果になります。災害発生時の情報について、関係省庁からの連絡が最も活用されていることがわかりますが、2番目にはSNSを含むインターネット上の情報が入っており、約半数の方が使用していることがわかります。

そして、SNS情報の有用性については「非常に感じる」「ある程度感じる」を合わせると84%に達しており、その価値は認められている一方、「誤った情報で困った経験はありますか?」という質問に対しては半数の方が「はい」と回答されています。“情報伝達スピードの速さなど有用性は高いものの、一般の方からの情報なので誤った情報やデマが混ざっていることが問題である”。他の設問も含めてこのアンケートを要約すると、そのような声が聞こえてきました。

具体的にどんなデマが?

SNSで流れるデマ、一体どのようなものがあったのでしょうか?

全く違った場所や過去の写真を貼りつけて災害の脅威を煽る、ライオンやシマウマなどの動物が逃げ出したという完全に虚偽の情報を流す、断水が迫っている旨を注意喚起する・・・防災や危機管理に関連するものではこのようなデマが流されたことがあります。上記のアメリカの写真を使い回した例では、実に3.2万リツイートがなされ、信じたか信じなかったに関わらず、大変多くの人に共有されたことがわかります。

当然、嘘をつくこと、真実でない情報を流すこと自体が責められるべきものですが、そのようなデマによって人々の行動が変わってしまうとなると、社会に大きなマイナスのインパクトを与えます。上記に例示した北海道胆振東部地震の際の断水情報は、これによって人々がスーパーやコンビニに殺到し、水が売り切れるという事態につながってしまいました。記憶に新しい新型コロナウイルス流行下でのマスク不足と同様のケースと言えます。


SNSにおけるデマのタイプ

デマには当然ながら様々な内容がありますが、よく見られるものについて下記の6つに分類できると考えています。

◆オオカミ少年

世の中を騒がしてやろうという愉快犯タイプ。「猛獣が逃げ出してうろついている」

◆ヘイト

特定の個人やグループを攻撃することを意図したタイプ。

◆勘違い

悪意はないものの、純粋に勘違いをしてしまっているタイプ。

◆トンデモ科学

科学的に検証されていない情報を信じて拡散してしまうタイプ。「26℃のお湯を飲めば新型コロナウイルスは死ぬ」

◆伝言ゲーム型

人づてに伝わっていく内に、内容が書きかわったり、尾ひれはひれがついて拡散されていくタイプ。2020年3月に宮古島で新型コロナウイルス感染者が出たというデマは、当初は「感染者が出たという噂を聞いた」というツイートから始まり、いつの間にか「感染者が出た」にすり替わって、4月に行政が正式に感染者がいない旨を発表するまで拡散され続けました。

◆犯人捜し型

注目度が高い事件について、犯人を特定しようという動きから、色々な推測や誤認識が混ざって拡散されるタイプ。2019年8月の常磐道でのあおり運転の事件では、容疑者をSNSでフォローしており、見た目が少し似ていた女性が、容疑者のパートナーである「ガラケー女」だとされ、個人が特定されるような情報が拡散されました。


SNS上での情報拡散のメカニズム

一方、そうしたデマを含む情報がSNSはどうやって拡散していくののかについても、最新のデータから分析してみます。下記の4つのメカニズムが拡散の過程で顕著に見られます。

◇インパクト投稿による拡散

いわゆる衝撃映像や面白い投稿など、写真や動画の内容自体に大きなインパクトがあるものは、人々に拡散を促すことになります。

◇インフルエンサーによる拡散

2020年4月26日のアニメ「サザエさん」の内容がGWで旅行に出かけるというもので、新型コロナの緊急事態宣言中にかかわらず不謹慎だと炎上しました。スペクティで分析したところ、放送開始後から非難する内容の投稿は見られたもののごく少数でしたが、ある有名人がツイートをした瞬間から爆発的に拡散されました。多くのフォロワーをもち、発言に影響力のあるいわゆる「インフルエンサー」が介在することで拡散されるものです。

◇メディア増幅による拡散

SNSでの情報拡散にテレビや新聞などのマスメディアが加担しているケースも実は多くあります。4月に入り、「#東京脱出」というハッシュタグついた投稿が出始めましたが、4月1日から4月7日午後7時まではわずか28件でした。しかしある新聞に4月7日午前7時に「#東京脱出、という投稿が広がっている」という記事で報じたところ、4月7日午前7時から4月までで実に15,242件にまで増加しました。

◇対立型拡散

SNS上ではあるテーマに沿って、肯定派・否定派が対立し、議論がエスカレートしていくことはよくあります。こうした対立する意見の投稿は、お互いに感情的になって投稿を繰り返し、結果拡散されやすくなるケースが多いと考えられます。記憶に新しい新型コロナウイルス流行によるトイレットペーパーの買い占めですが、「中国での製造が止まりトイレットペーパーが不足する」という情報を出回った後、「トイレットペーパーは国産だから不足しません」というそれを否定する投稿が出始めてから、情報の拡散が加速されたことを確認しています。

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ここまで説明したようなデマのタイプや情報拡散の仕方を把握しておくことで、受け取った情報をシェアする前に一歩立ち止まり、真偽の確認を行うことが大切であると考えます。


デマを見抜く ―Specteeの取り組み―

最近では「ディープフェイク」と呼ばれるような、人工知能のディープラーニング(深層学習)技術を使用して創り出すフェイク動画も多く見られ、「ニセモノを作り出す技術」もどんどん進化してしまっています。

Specteeでは、そうした技術の進化に対応し、AIでデマを見抜くような仕組みを構築することで、配信する情報の正確性を担保しています。過去の膨大なデマ情報を分析し、よくあるパターンや文章の書き方、使われる単語を見出したり、画像を過去の事象のものとマッチングさせたり、投稿者のの信用度を確認したりといった手段でデマの疑いのある投稿をピックアップします。しかし、現在のAI技術では正確に100%の精度でデマを見抜くことは難しいのも事実です。そこでスペクティでは専門チームを24時間配備し、ピックアップされた投稿を様々な角度から検証することでさらに精度を高める取り組みをしています。




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September 3, 2020

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