「AI防災革命」AIによるレジリエントな企業づくりと未来の危機管理【2022年1月27日開催】
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スペクティでは2022年1月27日、『「AI防災革命」AIによるレジリエントな企業づくりと未来の危機管理』というテーマでオンラインセミナーを開催致しました。2022年初めてのセミナー開催となります。今年も皆様が防災や危機管理を考える一助になる内容をお届けして参りたいと思いますので、よろしくお願い致します。本レポートでは内容を抜粋してお伝えいたします。
本日のセミナーでは、AI(人工知能)テクノロジーが防災・危機管理においてどのように活用されているのか、それが必要とされる背景などを含めて解説した上で、昨今キーワードとして取り上げられることが多い「レジリエンス」を企業がどう体現していくかについて説明したいと思います。
冒頭のご紹介となりますが、この度Sectee代表取締役の村上が書籍を出版いたしました。本日の内容を含み、防災の世界を刷新しようとしているAIベンチャーの内側をご紹介しています。ご興味がある方は是非お手にとっていただけると幸いです。
テクノロジーの変化と防災
東日本大震災からまもなく11年が経とうとしていますが、その間にテクノロジーの環境が様々な面で変化してきました。スマートフォンは2011年1月の時点では10人に1人しか持っていませんでしたが、2020年には83.4%の人が保有。2021年は新型コロナウイルス流行の影響で調査が行われていませんが、おそらく今は9割を超えているのではないでしょうか。若者だけではなく、中高年も含めてみながスマートフォンを持っているという時代になっています。
また、SNSの利用者も急増し、TwitterやFacebookを介した情報発信やコミュニケーションが一般的になりました。今では当たり前に使われているLINE、Instagram、TikTokなどは2011年3月時点では日本語でのサービスが存在しませんでした。一方、インターネット上のデータ通信量も大幅に増大、2020年の通信量は2010年の約60倍の59,000EB(1エクサバイト=10億ギガバイト)に及んでいます。スマートフォンの普及とともに、通信量が爆発的に増え、コミュニケーションのルートが大きく変わった・・・そういう10年だったと言えるのではないでしょうか。
その他にも、ドローンが災害対応の場面に利用されるようになってきたことも、大きな変化と言えます。被害状況を上空から確認する、食料や医療品などの物資を運搬する、人が近づけない場所に入っていく、こうしたことは東日本大震災当時にはできないことでした。
そうした様々な進化の中で、最も大きなインパクトを与えたのはAI(人工知能)の台頭と言えるのではないでしょうか。すでに様々な形で我々の生活にも入り込んでいるAIですが、人間と同じように学習をし、大量のデータを解析した上で、瞬時にアウトプットを出す。そういうことができるようになってきました。
AI防災革命
進化したAI技術が、どのように防災に活用されているのでしょうか。事例ベースでご紹介します。
現在、多くの会社が「AIを活用して災害による被害を予測する」ことに取り組んでいます。米国・シリコンバレーの会社であるOneConcernは、色々なデータを組み合わせて、地震や津波の発災時にどのような被害が出るかをシミュレーションしています。3vGeomaticsという会社は、カナダのベンチャー企業で、人工衛星からの映像を活用してどこに脆弱性があるか、どこに被害が集中するか、を解析する技術を開発しています。
また、スーパーコンピュータを活用した解析も行われています。富士通研究所はスーパーコンピュータ「富岳」を使って津波の予測シミュレーションをしており、東北大学発のベンチャー企業であるRti-castという会社は津波の予測モデルを開発しています。南海トラフ地震など、津波の危険性は高まっており、こうしたソリューションを活用することで、どう避難すべきかという計画を的確に立てることができるようになります。
他にも、災害時には我々のライフラインを支えるインフラに被害が及ぶリスクがあります。ウェザーニューズ社が災害時の停電リスクを予測したり、NTTが台風時の通信インフラ被害を予測するなどの取り組みも行われており、事前対策や発災時の対応における意思決定に活かされることが期待されます。
スペクティでもAI技術を活用した技術開発・サービス開発に取り組んでいますが、今回はスタック、つまり大雪によって多くの車が立ち往生してしまう現象を予測・感知するプロジェクトについてご紹介します。
ちょうど1年ほど前の福井県において、大雪で数千台が40時間以上立ち往生するような大規模なスタックが発生しました。毎年各地で、大きなものから小さなものまで多くのスタックが発生しており、その度に交通が麻痺してしまいます。物流が止まることで、スーパーに食料品が届かない、工場に部材が届かないなど、生活や経済に大きな影響を及ぼし、またその救助や復旧には自衛隊が投入されるなど行政側の負担も非常に大きいものになっています。
いまスペクティで開発しているのが、このスタックを事前に覚知する仕組みです。具体的には、道路カメラ・車載カメラから得られる画像と気象のデータを組み合わせて、AI解析を行い、スタックの危険性が高まった際にアラートがあがるというシステムになります。現在、福井県において実証実験を行っており、精度は順調に高まってきていますが、スペクティが従来行っているSNSからの災害覚知も組み合わせ、さらに精度やカバレッジを高めていく予定です。さらに、今年からは車両の走行データも取り込み、走行中の圧雪状況や道路の通過にかかる時間などを割り出し、道路スタックの予兆を判定するような技術開発も進めています。
レジリエントな企業とは
現在、防災・危機管理の世界では、「レジリエンス」「レジリエント」が非常に重要なキーワードになっています。レジリエンスは「弾力性・回復力」などと訳されますが、たった今人間社会が見舞われているコロナ禍や政治的な混乱、情報セキュリティの脆弱性など、現在は不確実性の高い時代であり、ビジネスリーダーの意思決定においてレジリエンスを重視することは不可欠だと考えています。危機は必ず発生します。その際にいかに迅速に立ち上がり、平常時に戻れるか、危機に対する強靭性や対応力を持った企業になることが求められていると言えます。
では、レジリエントな企業はどのような特性を備えているべきなのでしょうか。Harvard Business Reviewの記事によると、これら6つの要素を持っている企業がレジリエントな企業であると言えます。
これらの要素を体現するためには、具体的にどのような行動がとれることが必要でしょうか。世界的なコンサルティング企業であるマッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートによると下記のような能力が必要になります。
レジリエントな企業に必要な能力に挙げられた「危機をいかに察知し、影響を推測する能力」は、まさにスペクティの提供するソリューション「Sectee Pro」がお手伝いできる部分になります。現在、導入する企業や自治体が急速に増えている状況ですが、強みとするAI技術の開発をさらに加速させ、発生した災害や事故の覚知だけでなく今後起こる「危機」を予測する領域に踏み込んでいきたいと考えています。
(根来 諭)
February 24, 2022
信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!
スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。
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