東日本大震災から12年、最新のテクノロジーで挑む防災・危機管理の最前線【2023年2月21日開催】
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月次で様々なトピックをお届けしているスペクティによるWebセミナーですが、2月21日には『東日本大震災から12年、最新のテクノロジーで挑む防災・危機管理の最前線』というテーマで開催いたしました。ゲストには都市向けのデジタルツイン構築を手掛けるSymmetry Dimensions Inc.(以下、シンメトリー)のCEO沼倉正吾様をお迎えしています。
日本人にとって忘れられない東日本大震災から12年、テクノロジーが進化し、従来難しかったことがどんどんできるようになってきています。デジタルツインはその中でも今後の活用に期待がかかる技術と言えるでしょう。本レポートでは沼倉様の講演部分の要約をお届けします。
【内容】
14:00~ ご挨拶
14:05~14:25 Symmetry Dimensions Inc.CEO 沼倉 正吾
『防災分野におけるデジタルツイン活用』
14:25~14:45 株式会社Spectee 代表取締役 CEO 村上 建治郎
『企業・自治体で採用が進む「Spectee Pro」を活用した災害対応~AIによる予測と未来の防災』
14:45~15:00 Q&A/トークセッション
『防災分野におけるデジタルツイン活用』シンメトリー 沼倉正吾氏
シンメトリーは、都市のデジタルツインに関連する要素技術の開発や、それを使いやすくするためのプラットフォームの開発を行っている企業です。都市のデジタルツインとは、都市の中にある様々なデータ(建物・人流・気象など)を集めて都市のコピーをデジタル上に作り、そこにどんな問題があるのか、また、災害の際には何が起きていて、どのような対応をすればいいのかを知るための技術です。
デジタルツインは近年に注目を浴びており、2021年には国土交通省が「Project PLATEAU」を発表。日本全国の都市の3Dモデルを国が作って提供する取り組みが始まりました。建物の形だけでなくそこに紐づいた情報も含まれており、シミュレーションや都市計画に活用できるものです。
また、地方自治体でも取り組みが進んでいます。同2021年、東京都では「デジタルツイン実現プロジェクト」が立ち上がり、東京都が独自に集めている交通データや河川カメラ画像などとの連携も始まりました。東京都は、2023年からこのデジタルツインを運用し、2030年に実現することを目指しています。
一方、静岡県では、「VIRTUAL SHIZUOKA点群データ」という、3D座標で特定のエリアの地形や建物などをあらわすデータを公開しました。これは、商業利用含めて誰でも使えるオープンデータで、実際に災害発生時に活用されました。令和3年7月3日、静岡県の伊豆山で大規模な土砂災害が発生しましたが、発災の直後に静岡県の担当者から、今回の被災地の点群データも利用可能である旨の連絡があり、被災状況の解析をすぐにスタートさせたのです。
当日は、静岡県の担当者や、現地の土木関係の企業様などとともにサポートチームが結成され、オンラインで打ち合わせを実行し、被災状況の可視化を進めました。下記画面の赤い線は、火山学者が土砂の流れを書き、それをチームで確認しているところです。さらに翌日にはドローンでのレーザー測量も加わり、災害の発生前後を比べてどれくらいの被害状況なのかを把握したり、二次被害を防ぎながらどう避難させるかなどの打ち合わせを行いました。
やはり3Dの良い点は、現場の様子が手に取るようにわかるというところです。また、従来の状況把握では、現地調査に行って報告書作るまで、長い時には1~2か月かかっていたのに対し、今回は発災していから数時間後で状況をつかめました。これは非常に大きなインパクトとして受け止められ、メディアにも多数取り上げらました。これまでも3Dを防災に活用しようということは言われていましたが、どこまで使えるのかがわかりませんでした。伊豆山土砂災害では実際に大きな効果を発揮し、3Dデータは使えるんだ、役に立つんだということを知っていただけたと思います。
静岡での取り組みは続いており、2022年9月の台風15号の際には、土砂災害の状況把握を行いました。また今年度は、国土交通省のユースケース実証と呼ばれる実証実験プロジェクトとして、被災した住居を自動的に割り出し、そこに住民基本台帳のデータを紐づけて、どういう住民が住んでいるのかをわかるような取り組みを行っています。ここで得られた情報は、救助活動を行う消防本部の方が使うスマートフォンの上で、AR(拡張現実)技術を使って実際の風景に重ねて見られるようになっており、救助活動の迅速化につながります。
このように、デジタルツインのベースとなるような情報が国や自治体から公開されることによって、災害現場の把握や救助活動の迅速化という課題に多くの企業が次々に取り組み始めています。
東京都渋谷区では、スマートポールで冠水を検知し、浸水被害を目視ではなく遠隔からリアルタイムで把握するよう取り組みが進んでいます。また、高さの情報と人流データを組み合わせることで、建物のどの階にどれくらいの人がいるのかを把握し、避難活動・救助活動に活かすような仕組みも、色々な事業者がデータを持ち寄り、連携させることで試行しています。
そして、人工衛星を使った取り組みも盛んになっており、衛星から取得できる情報やデータを使って広範囲での被害状況を把握する試みも進んでいます。 このように多種多様な情報やデータが使えるようになっていますが、それをさらにAIで解析し、これからどうなっていくのかという「予測」を行うことも、今後デジタルツインに期待されていると言えます。
(要約:根来 諭)
April 5, 2023
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