【Webセミナー】データで繋がるサプライチェーン:リスクと国際物流の可視化によるSCM【2023年4月20日開催】

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毎月様々なトピックをお届けしているスペクティのWebセミナーですが、4月20日には『データで繋がるサプライチェーン:リスクと国際物流の可視化によるSCM最適化』というテーマで開催いたしました。共催させていただいたのは、「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ、国際物流のDXを推進する株式会社Shippio。SCM戦略立案の業務のご経験もあるセールスマネージャーの竹原功将氏にご登壇いただくとともに、セールス&マーケティングマネージャーの真畑皓氏にモデレーターを務めていただきました。

【内容】
14:00~ オープニング
14:05~14:20 スペクティよりサービスの紹介(CEO 村上建治郎)
14:20~14:35 Shippioよりサービスの紹介 (セールスマネージャー 竹原功将)
14:35~15:00 パネルディスカッション

スペクティよりサービスの紹介

スペクティは、「危機を可視化する」をミッションに掲げている、防災・危機管理に特化したデータ解析ベンチャー企業です。現在は人工知能(AI)を活用して様々なデータの収集と分析を行い、危機を可視化するためのサービスを提供しています。

世の中には沢山の危機があるなかで、物流・サプライチェーンのリスクマネジメントというものは、非常に多くの関係者がいることから対応するのが難しいという特徴があります。製造業では数多くのサプライヤーから部材を調達しており、そのどこかで災害・事件・事故が起きた時に生産が大きな影響を受けてしまいます。そしてそのインシデントが発生した箇所がサプライチェーンの階層の深いところであればあるほど、何が起きたかを迅速に覚知して状況を把握することは難しくなります。

一方で、現在サプライチェーンを取り巻くリスクが多様化しているという現実があります。自然災害は日本だけでなく世界中で大きな脅威になっており、気候変動の影響などもあって昨年度の自然災害による世界の損害額は30兆円を越えたという試算も出ています。また、自然災害だけではなく、ウクライナ危機による原油高騰・素材・資源の不足や物流の阻害、新型感染症のパンデミックや軍事・テロの動き、サイバーリスクなど・・・対応しなければならないリスクが非常に多様化していると言えます。

現在スペクティが提供している「Spectee Pro」は、地図と連動して国内・海外の様々なリスク事象を覚知し、カメラや気象データなどの情報と重ねて確認をすることができます。コンセプトは「1分で発生場所と被害状況がわかる」。情報を一元管理し、現場の状況を把握することができます。

既に多くのお客様にご利用いただいており、インフラ・通信・エネルギー企業や製造業、店舗を沢山持っている会社などを中心に導入が進んでいるとともに、防災に取り組む官公庁・地方自治体などにも広がっています。物流の業界でも今後ご利用を広げていきたいと考えています。

このソリューションの裏側にはAIの技術があり、SNS上に投稿された画像から危機に関するものを選び出したり、デマや誤情報を抽出したり、カメラ情報などから水害の被害範囲をリアルタイムで予測したりということに活用しています。このように、テクノロジーを駆使して色々なデータを解析し、リスクの可視化と予測を行っているのがスペクティという会社になります。


Shippioよりサービスの紹介

株式会社Shippioは2016年に設立された会社で、現在デジタルフォワーディングのサービスを提供しています。第一種と第二種の貨物利用運送事業者の免許を取得しており、いわゆるフォワーダー/海運貨物取扱業者の会社となります。

デジタルフォワーダーとは、いわゆる物流のサービスとITのサービスをワンストップで提供する企業を指し、ShippioではITのサービスとして見積発注、本船動静を含むスケジュール管理やチャットの機能を提供しています。

提供サービスは大きく二つあり、ITシステムのクラウドサービスとフォワーディングを併せて提供するものと、今年1月に提供開始した「Any Cargo」というプランでは、従来のフォワーダーを使い続けつつ、ShippioのITシステムのみを利用いただくものとなります。

提供できる大きな価値はやはり「貿易実務の業務効率化」です。お客様によっては見積・発注の業務時間を半分に削減できた、というような声をいただいています。

しかし一方で、足元では荷主の皆様のご要望が「業務効率化」から「国際物流の可視化」に変化しつつあります。その背景には何があるのでしょうか。Shippioが荷主がどのように本船動静の確認を行っているかについてアンケートを取ってみたところ、フォワーダー/海運貨物取扱業者への問い合わせたり、船社HPでの確認するなど、荷主が自らアクションを起こさないと情報をとることができない状況が浮き彫りになり、かつそこで取得した情報もエクセル、スプレッドシート、メールで保持されており、管理手法について難点があることがわかりました。

つまり、下図にあるように、生産から前と入庫した後はきちんと見えているものの、調達物流の管理についてはエクセルに頼っており可視化が十分にできていない状況にあることがわかります。調達物流がブラックボックスになると、キャッシュフローの悪化、機会損失による売り上げ減少、想定外コストによる利益の減少などにつながってしまいます。Shippioのサービスはまさにこの部分を可視化できるサービスだと考えています。


パネルディスカッション

【参加者からの質問①】

スペクティによるレジリエンスの高まりはどのように定量評価できるのか?

【スペクティ】

リスク監視となると企業としてコストセンターと捉えてしまう。何かがいつ起きるかわからないことにどこまでコストをかければいいかと悩まれている方が多い。しかし、何らかの事象が自社に影響がない、ということも価値であるし、拠点登録すると周辺で何が発生しているかわかる機能があり、リスク監視についてはかなり業務効率化を行うことができる。

【参加者からの質問②】

Shippioのサービスと、project44のような既存サービスとの差別化ポイントはどこ?

【Shippio】

①本船動静のトラッキングだけではなく、それにまつわる貿易の業務(社内での連携・コミュニケーションや貿易書類の確認など)もカバーしている、②トラッキングの精度や更新頻度。

1.今の企業が直面している地政学・災害など有事の際に、両社のサービスはどのような重要な洞察やアクションを促すことができるか?

【スペクティ】

予想外のことが起きる時代になっており、自然災害も以前より多発化・甚大化している。つまり事前に準備をしておくのが難しくなってきている。よって、何か危機事象が発生し、現場がどのような状況になっているのかを知るまでのスピードが重要である。Spectee Proは圧倒的な速報性を提供できる。

【Shippio】

国際物流においてもいかに情報を早くキャッチするかが大事である。自ら船社に問い合わせをしたりしていると手間がかかってしまうし、時間が経てば経つほど事態は悪くなる。スピード感が強みであるとともに、収集した情報を社内に伝達するチャットツールもあることから、顧客の素早いアクションを促せる。

2.お客様がサプライチェーンの可視化・リスク監視のためにデジタルなソリューションの導入を決める際に、直面する主なハードルは何か?また、これらの課題にどのように対処しているか?

【Shippio】

一般的には「本当にシステムを使いこなせるのか?」というのが大きなポイントだと考えている。貿易はアナログが残る世界であるが、自社のお客様は困っていない。なぜならば、今どんどん新しいITソリューションが生活に浸透しているので、それに近いUIを持っているシステムであれば特に問題ないと思っている。もう一点は、コストセンターとしてとらえられているために、新しいシステムを入れて費用が新たに発生します、となると社内説得に苦労される方は多い。業務効率化での費用対効果だけを考えるのではなく、「リスクに対応できる」という点も含めた費用対効果で考えていただきたい。

【スペクティ】

担当者の方が「このサービスいいよね」となると、トライアル導入→正式導入と進むことになるが、業務プロセスそのものに関わってくるサービスなので、社内の理解を得るところが難しい部分。業務のやり方が大きく変わるので、担当者だけではなく色々な人を巻き込まなければいけない点がハードルとなっている。

3.SpecteeとShippioのサービスを組み合わせた時に、SCMにどのような相乗効果を生むことができるか。

【Spectee】

スぺクティの強みはどこで何が起きているのか覚知することだが、サプライチェーンについては細かいところを把握できているわけではない。リスク情報を覚知し、Shippioのシステムと組み合わせることによって、サプライチェーンマネジメント全体で色々な価値を出せるのではないだろうか。Spectee ProはAPI連携も可能となっている。

【Shippio】

お客様から、リスクの情報をもっと知りたいという声がある。「船が遅れました」という情報は取れているが、その理由についてはわからないことが多い。Spectee Proで理由や背景も把握したうえで、後続の業務や販売先への報告に使うことができる。 —

4.サプライチェーン上における未来の地政学リスクや感染症の予測はできますか?

【Spectee】

いまやっているのは被害がどれくらい広がるかという”近い未来”の予測であるが、さらに先の予測はまだまだ難しい。シナリオ分析は、我々はまだ取り組めていないが、ニーズはあるのでこれから取り組んでいく必要があると考えている。

5.Shippioの本船動静は、船社のHPで見られる本船動静と同じでしょうか?

【Shippio】

船社HPや衛星を含む複数のデータソースからとっており、さらにオペレーターが確認する形をとっている。

6.Spectee Proの災害時に通れるルートを知れるサービスは現在使えるのか?

【Spectee】

すでに実装され、使えるようになっている。



スペクティによる「リスクの可視化」と、Shippioによる「調達物流の可視化」。これまで見えなかった部分が可視化されることでサプライチェーンはより良いものに進化していくものと思われます。様々なリスクによってサプライチェーンが影響を受ける時代ですが、こうしてベンチャー企業がそれぞれの持ち場で奮闘することで、経済活動の強靭化につながっていくものと考えています。

(要約:根来 諭)
May 31, 2023


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スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

(AI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』)
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