ビッグデータから読み取るウイズコロナ時代の行動変化【2020年11月25日開催】
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スペクティは11月25日、住宅地図メーカー最大手ゼンリンの持つ地図データ・位置情報データを使ったサービスを展開するゼンリンデータコム様と共催で、「ビッグデータから読み取るウイズコロナ時代の行動変化」と題するWebセミナーを開催させていただきました。スペクティにとっては6月から毎月開催しているセミナーの第6回目、ゼンリンデータコム様としては3週連続セミナーの第1回目となる、スペシャル共催イベントとなりました。
ゼンリンデータコム 混雑統計®とは
https://www.zenrin-datacom.net/business/congestion/
本レポートでは、「位置情報で読み解くウィズコロナ時代の人流傾向」というテーマでお話しいただいたゼンリンデータコム様のパートについて、抜粋したものをご紹介したいと思います。
株式会社ゼンリンデータコムは、ゼンリングループの中で地図・情報サービスを提供する役割を担っており、モバイル地図サービス、ナビゲーションサービス、IoT事業などを展開していますが、今回はビジネス用途に多様な地図活用ソリューションを提供するネットサービス事業における事例の紹介となります。
携帯GPSの位置情報ビッグデータ「混雑統計®」にて、コロナ前後で実際の人の移動がどのように変化したのか、様々な切り口で「人の移動実態」を分析致しました。
都心部の休日の人出はどのように変化したでしょうか? このグラフは、15分以上滞在したものをカウントしていますが、新宿・渋谷・銀座ともにコロナ前(2019年6月)とコロナ後(2020年6月)を比較すると、人出は半分以下に減っていることがわかります。
さらに、コロナ本格化後の2020年6月と、一旦少し落ち着きを見せた2020年9月を比較したものがこちらになります。かなり戻ってきていることがわかります。
次に、下図は平日の渋谷エリアにいる方々の居住地を表しています(つまり「どこから渋谷にやってきたか」)。コロナ前後を比較すると、例えば平塚や藤沢など比較的遠いところから出かけてきている人は明らかに減っており、遠方に住む人々の方が、リモートワークをより積極的に取り入れたのかもしれません。
コロナ禍での比較(2020年の6月と9月)を見てみると、ほぼ傾向はかわっていないことがわかります。
次に観光地の状況はどうなっているでしょうか。下記グラフはお台場・鎌倉・横浜中華街の3エリアについて、コロナ前後の人出を示したものです。いずれも7割以上の減少となっており、行楽客を見込んで商売をされている方々にとっては壊滅的な状況であることがわかります。
それでは、コロナ禍での比較はどうでしょうか。2020年6月に比べますと、やはりGoToキャンペーンの影響でしょうか、2020年9月は2倍以上に盛り返していることがわかります。
観光地についても、滞在している方の居住地(つまりどこから出かけて来たか)を見てみます。コロナ前後で見てみると、人数が減っていることはもちろん、特に遠方から来ている方の減少が著しいと言えます。
コロナ禍での比較では、前述したように全体的な人数は戻ってきています。
しかし、コロナ前の2019年6月と、GoToキャンペーンの影響や恐らく心理的な慣れもあって人出が戻ってきた2020年9月を比較してみると、遠方からの人出は戻っておらず、出かけるにしても遠出はせず、近場で済まそうという傾向が見られます。
このように、人流データを収集・分析することによって様々なことが見えてきます。ここでは絶対数は伏せていますが、より細かく分析することで、自治体の業務や民間企業のマーケティング活動にも大いに活用できるのではないでしょうか。
「データの世紀」と言われる21世紀は、データが20世紀における石油と同じような資源としての価値を持つと言われています。しかし、原油も精製しなければ使えないことと同じように、データもそれを収集し、整え、解析しなければ意味がありません。
スペクティはSNSや気象データなどのビッグデータを解析して、防災・危機管理のサービスに活用しており、一方でゼンリンデータコムは位置情報や人流データというビッグデータを解析して、主にマーケティングに活用しています。目的は違えど、同じビッグデータ解析企業として、将来的な協業も予感させるセミナーとなりました。
(根来 諭)
December 15, 2020