都道府県別に見る「自然災害損害額」と「災害への関心度」
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「災害大国」と称されることの多い日本ですが、都道府県によって、海に面しているか、高い山を抱えているかなど、地形を含めた自然環境は実に多様です。 今回のコラムでは、都道府県ごとの災害の損害額や災害に対する関心をビジュアル化してご紹介いたします。
まず最初の図は、データが利用可能な直近の3年間(平成29年~令和元年)における自然災害損害額の年間平均をもとに日本列島を色分けしたものになります。損害額の出典は、総務省消防庁発行の「地方防災行政の現況」です。 長野県・広島県・福岡県・福島県については年間あたり700億円を超える莫大な損害が発生しています。また、それに次ぐ北海道・宮城県についても年間損害額平均は500億円を超えています。ちなみに最も少なかったのは青森県の約8億円でした。
次に、上記に求めた「年間自然災害損害額」を、令和元年の各都道府県の人口で割ったものが下記グラフとなります。つまり、一人あたりの年間損害額を計算したものです。最も大きかったのが長野県で、一人あたり損害額が49,945円。他方、人口が多く、対象の3年間には大きな災害のなかった東京都では57円にとどまりました。
ただし、これはあくまで平成29年~令和元年の3年間を取り出して比較をしたもので、この順位がそのまま都道府県別の災害の多さの順位であるわけではありません。甚大な被害を及ぼす大きな自然災害は、毎年コンスタントに起きるわけではないからです。次のグラフは、最初の図で最も損害額が大きかった5県+北海道について、対象の3年間にどのような災害があったかを示すものです。どの自治体も、毎年大きな災害が発生したわけではなく、長野県・福島県・宮城県については令和元年の台風19号による被害が非常に大きく、また、福岡県と広島県は夏の豪雨、北海道については胆振東部地震が大きな割合を占めていることがわかります。
最後に、上記の「都道府県別 年間自然災害損害額」と、ダイヤモンド・オンラインの調査による「自然災害に関心の高い都道府県ランキング」を並べてみることで、損害規模と災害への関心のギャップを可視化してみました。青い線で結ばれているのは関心の順位の方が損害額の順位より高い都道府県で、逆に赤い線で結ばれているのは損害額の順位の方が関心の順位より高い都道府県となります。こうして見てるみると、ギャップが大きいのは、熊本県、徳島県、東京都、秋田県などでしょうか。
熊本県は、損害額の対象期間の前年に震度7の「平成28年熊本地震」が発生しており、その後県民の関心が高まったことからこのギャップが生まれているものと考えられます。徳島県と東京都は、対象期間では損害額は大きくありませんが、災害への関心は高いようです。徳島県については、南海トラフ地震への備えを自治体が盛んに呼びかけることによって意識が高まっていると思われます。また東京については、政治・経済の中枢であることもあり、東京都による災害に関する積極的な注意喚起が効果を発揮しているのではないでしょうか。逆に、この3年間に損害額が大きかったのに、関心のランキングが低いのは秋田県でした。秋田県では平成29年、豪雨災害を中心に387億円もの損害が出ています。
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(根来 諭)
September 22, 2021
参考情報
地方防災行政の現況(総務省消防庁)
https://www.fdma.go.jp/publication/bousai/
人口推計(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/
「自然災害に関心の高い」都道府県ランキング【2021完全版】(ダイヤモンド・オンライン)
https://diamond.jp/articles/-/280514