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新しい自然災害?2025年ごろ活発になる「太陽フレア」の影響は

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太陽フレアとは

太陽フレアという現象をご存じでしょうか?太陽の表面に見える黒点周辺で起こる大規模な爆発を言います。大きいものでは吹き上がる炎が地球の直径を超えるようなケースもあり、まさに「天文学的」な規模の現象と言えます。黒点の磁場が変化する時、そのエネルギーが周囲のガスに伝わって発生すると考えられており、爆発に伴い、電波やX線のほかに、電子や陽子などの電気をおびた素粒子が飛び出し、そうしたエネルギーが「太陽嵐」となって地球に到達します。

4月26日、総務省が太陽活動の観測や影響の予報を強化するために立ち上げた有識者組織「宇宙天気の高度化のあり方に関する検討会」が、100年に1回程度の頻度で発生する極端な宇宙天気現象が起きた場合、具体的には2週間にわたって大規模な太陽フレアが発生した場合にどのような被害が想定されるのかについての報告書を発表しました。

それによると、太陽フレアの影響によって、人工衛星に不具合が生じて、天気予報の精度が低下したり、GPSが狂って位置情報にずれが発生することで、カーナビゲーションが使えなくなったり、航空機運航における衛星測位ができなくなることが予想されます。 また、通信に障害が発生して携帯電話や防災無線などが昼間に断続的に使えなくなるほか、磁気嵐の発生で変圧器が故障、電力供給にトラブルが発生するなど、我々の生活インフラの広範囲において様々な問題が発生することが見込まれます。

実際、過去には下記のような事例がありました。

  • 1989年、カナダで電力会社の設備が磁気嵐の影響で故障し、約9時間にわたり停電が発生、約600万人に影響が出た。
  • 1994年、世界各国の人工衛星で内部帯電が発生し、通信衛星・放送衛星に障害が発生した。
  • 2003年、スウェーデンで送電システムが磁気嵐の影響で障害を起こし、約1時間の停電が発生、約5万人に影響が出た。
  • 2003年、JAXAのものを含む数十の人工衛星や惑星探査機が機能障害を起こした。
  • 2022年、スペースX社が2月頭に打ち上げた通信衛星49機のうち、40機が磁気嵐の影響によって喪失された。

対応策は

太陽の活動は約11年周期で活発化を繰り返しており、次のピークは2025年ごろに到来すると見られています。こうした差し迫ったリスクに対し、政府は2つの対策を掲げています。

ひとつには「警報の強化」です。総務省は今年度中に正式な制度として太陽フレアに関する警報制度を創設するとしており、通信・電力・放送など各分野における基準を設け、「通常」「注意報」「警報」といった情報を発信する予定です。

もうひとつは、上記と対を成すものではありますが、「宇宙天気予報の精度向上」です。現時点では太陽フレアの規模など、物理現象の観測に留まっており、それが我々の社会にどのような影響を及ぼすかの予測はまだ不十分と言わざるを得ません。例えば台風であれば、過去の経験からどれくらいの影響が出るかのおおよその見当がつき、対策を考えることができます。太陽フレアについては、今後時間をかけてデータを取り、影響度・影響範囲の予測精度を高めていく必要があるでしょう。

ちなみに、現在でも国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が宇宙天気予報をインターネットで公開しています。直近では5月3日の昼間に大きなフレアが発生していたことが見て取れます。

宇宙天気予報 太陽フレア (NICT)
https://swc.nict.go.jp/trend/flare.html



人間が宇宙に進出して人工衛星を使った通信システムを構築したり、地上で放送や電力のネットワークを形成したり、そうして社会が高度化したことによって新たに問題化した自然災害。太陽フレアとはそういうものではないでしょうか。

スマートシティや自動運転など、新たな技術やコンセプトで人間社会がより効率的になっていく一方、それまでにないリスクが表面化してくることは避けられません。新しいシステムの構築は、新しいリスクのマネジメントとセットにして推進すべきことを思い知らされます。

(SN)
May 11, 2022


参考情報

宇宙天気の警報基準に関するWG報告:最悪シナリオ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000811921.pdf


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