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兵庫県神戸市様
防災無線や様々なシステムとの連携でより効率化、迅速かつスムーズな災害対応を実現
『Spectee Pro』を導入したきっかけ
神戸市では、1995年の阪神・淡路大震災や2018年の西日本豪雨、さらに同年の台風21号による被害など、近年激甚化する災害に対応するため、多角的な情報収集が必要となっていました。
そうした中で、スマートフォンの普及に伴い、市民からSNSに投稿される情報は、被害状況を早期に把握するのに有効なものとなってきていました。そこで、2019年にSNSからリアルタイムに被害状況を覚知できる『Spectee Pro』の試験運用を開始しました。
SNSには発生場所の特定が困難な場合や、デマ・誤情報などの問題もあり、試験運用開始前は心配している点もたくさんありました。しかし、『Spectee Pro』は、AIを活用することで、情報の真偽や場所を迅速に特定し、発生している事象や場所ごとに表示できるなど、市が抱えていた懸念が払拭され、災害対応に十分有用であることが実証されました。そこで翌年の2020年に導入にいたりました。
Spectee Pro 活用例(シーン)
誤情報への対応や関係機関との連携もスムーズに
2023年に関西に台風がきた際、大きな土砂崩れが発生したと連携機関から共有がありました。しかし、『Spectee Pro』で確認したところ、そのような投稿は見当たらず、消防にも確認をした結果「該当する情報はない」と返事があり、最終的に、この情報は誤報であったことがわかりました。焦らずに情報の真偽を落ち着いて確認できたと思います。
また、メディアの方から、SNSに投稿されている被害・事故などについて連絡があった際にも、『Spectee Pro』を確認することでスムーズに対応できています。
Spectee Pro 導入後の効果
情報源として活用できるようにマニュアルにも記載
神戸市の危機管理センターは複数のチームで構成されており、そのうちの一つに「情報収集班」があります。名前の通り、災害時の情報収集を専門に行うチームで、そこで『Spectee Pro』を有益な情報源として利用しています。担当者向けのマニュアルにはメディアや各機関に加え、『Spectee Pro』の配信情報も確認することを記載しています。また、いつでも有事のスムーズな初動対応ができるよう、新しく配属する職員にはレクチャーや訓練なども行っています。
総合防災情報システムとの連携で防災無線を遠隔操作
2023年に、以前から活用していた総合防災情報システムとSpecteeの連携を開始し、『Spectee Pro』で配信しているリスク情報を総合防災情報システム上でも確認することができるようになりました。
さらに、Specteeが提供している、情報を自動で読み上げるAIアナウンサーのサービスとの連携も進め、遠隔操作による避難放送を実現しました。総合防災情報システムの地図上で避難を促したいエリア付近の防災無線のアイコンを選択し、原稿をテキストで打ち込むだけで、避難誘導を行うことができます。もちろん、従来の無線室も残していますが、現在は遠隔での避難放送が基本となっています。また、同市のサイトにて、過去の放送履歴をテキスト・音声両方で確認いただける様になっており、放送内容が聞き取れなかったなどの場合に活用いただいています。
今後の展望
迅速な災害対応に継続的に活用したい
2025年で阪神・淡路大震災から30年が経ちます。われわれを取り巻く環境は震災当時からは大きく変化しているので、それに合わせた対応をしていかなければなりません。AIやドローンなどの最新技術の導入はもちろんですが、職員一人一人が「何をするべきか」を考え、技術やサービスをしっかり活用できるようにレベルアップしていくことが重要だと思います。職員の訓練や操作研修などにもしっかり取り組み、より迅速な災害対応を目指していきます。