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矢崎部品株式会社

“把握する”から“判断する”へ。部品のサプライチェーンを生産工程別に可視化し、初動対応の高度化を実現

自動車の「神経」とも言われるワイヤーハーネスを手がける矢崎グループ。その中核を担う矢崎部品株式会社は、自動車メーカーに対して製品を供給する立場として、高い安定供給責任を担っています。

ワイヤーハーネスは、数万点に及ぶ部品と多層にわたる仕入先で構成される、非常に複雑なサプライチェーンを持つ製品です。そのため、平常時の管理に加え、災害発生時には影響範囲を短時間で把握し、迅速に対応することが求められます。

こうした中、同社が課題として感じていたのが、「いかに迅速かつ正確にサプライチェーンの被害状況を把握するか」でした。10年間運用してきた自社開発システムから「Spectee SCR」へ刷新した背景と、導入によって得られた変化について伺いました。


導入前の課題、導入のきっかけ

従来の自社システムでは限界だった「手作業」と「データ鮮度」の壁

当社調達部門では、これまで自社開発システムを用いてサプライチェーン管理を行ってきました。ただ、開発から十数年が経過し、小回りが利きにくくなったことに加え、近年の災害の多発や事象の複雑化への対応が難しくなり、運用面での限界を感じていました。

課題1 膨大な部品データの登録・更新負荷

まず大きかったのが、部品や仕入先のデータ管理負荷です。当社調達部門が扱う部品点数は数万点、仕入先は数百社にのぼります。従来のシステムでは、各種マスタやサプライチェーン情報の更新を手作業で行う必要があり、更新作業そのものに多くの工数がかかっていました。そのため、情報を常に最新の状態に保つことが難しく、データの鮮度に課題がありました。これは災害時の判断精度にも影響する重要な問題でした。

課題2 手作業では追いつかない、広域サプライチェーンの被害把握

もう一つの課題は、災害発生時の影響調査が人手に依存していた点です。従来は、ニュースや気象情報を確認したうえで対象地域を特定し、該当する仕入先をリストアップして個別に調査するという流れでした。しかし、夜間や休日に災害が発生した場合や、複数の事象が同時に起きた場合には、この方法では対応が追いつかないケースがありました。特に多層にわたるサプライチェーン全体を網羅するのは難しく、初動の遅れや、社内外からの迅速な対応要求へのプレッシャーも大きくなっていました。また、調査依頼の増加に伴い、仕入先側の負担が大きくなっている点も懸念していました。

「Spectee SCR」 導入の決め手

システムの刷新にあたり、複数のサプライチェーンリスク管理ツールを比較検討しました。その中で、部内の実務担当者から強い支持を得たのが「Spectee SCR」でした。決め手となったのは、直感的で分かりやすいUI(操作画面)と、サプライチェーンの深い階層まで把握できる管理機能、さらに災害情報の可視化と速報性でした。

部品の「工程レベル」までを追える管理機能

特に評価したのは、サプライチェーンを生産工程単位で管理・可視化できる点です。仕入先単位での管理を行う製品もある中、「Spectee SCR」では部品ごとの工程単位で、どこで何が行われているかまで把握できました。実際の現場では工程の一部を外部委託しているケースも多く、災害時には委託先(Tier N)を含めた構造の把握が不可欠です。この点において、「Spectee SCR」は製造プロセスまで踏み込んだツリー構造で管理できるため、特定エリアでリスクが発生した際に、どの部品にどのような影響が及ぶのかを迅速に把握でき、当社の実務に合致していました。

災害情報の「質・速報性」と「視認性」

また、災害情報の質と速報性も大きな評価ポイントでした。トライアル期間中には、実際の災害時における検知の速さや位置特定の精度を確認することができました。特に印象に残っているのが、2025年9月に静岡県で発生した竜巻災害でした。発生直後から被害状況を可視化された画像情報として把握することができ、初動判断に必要な情報を早い段階で得られました。こうした実体験から、現場に近い一次情報を自社で保有し、解析されている点に大きな強みを感じました。

加えて、当社の要望に対して機能改善をスピーディーに対応していただけた点も評価しています。我々の実務を理解いただき即座にシステムを進化させてくれる点は、パートナーとして長期的に「Spectee SCR」を活用するうえでも重要だと感じています。

導入後の効果

「Spectee SCR」を導入してから、サプライチェーン管理の進め方に変化が生まれました。これまでの「待ちの対応」から、「先手を打つ対応」へとシフトできたと感じています。

データ管理業務の効率化

まず、データ管理業務の効率が大きく改善しました。CSVによる一括登録・更新機能を活用することで、従来は半日ほどかかっていたメンテナンス作業が大幅に短縮されています。今後は、「サプライヤー連携機能」を活用し、仕入先にも「Spectee SCR」を通じて自社情報の管理に活用いただく運用を進めていきます。そのうえで、双方でデータを維持・更新していく運用体制を整えていきたいと考えています。また、自社ERPの注文情報と連携させることで、流動中の製品に絞った調査への改善も進めていく予定です。これにより、不要な管理作業を減らし、仕入先の回答負担の軽減や、社内外への回答スピード向上につなげていきたいと考えています。

情報の空白時間をなくす、自動検知と即時対応

次に、災害発生時の初動対応スピードも大きく向上しました。「Spectee SCR」は、地震だけでなく、大雨や台風といったさまざまなリスクを24時間365日自動で検知し、影響の可能性がある仕入先へアンケートを自動送信してくれます。そのため、担当者が状況を把握する前から調査が開始される形となり、これまで発生していた「情報の空白時間」が解消されました。

可視化情報が、判断の精度と仕入先への配慮を高める

さらに大きな変化として感じているのが、判断の質の向上です。従来は影響の有無が分からない中で広く確認する必要がありましたが、現在は被害状況の可視化情報と仕入先の位置情報を組み合わせることで、状況に応じた判断ができるようになっています。影響が小さいと考えられる場合には過剰な対応を避けることができ、一方で影響が大きいと判断される場合には、アンケート調査だけでなく電話や訪問といった対応につなげることができます。

実際の災害時には、仕入先やその従業員の方々が被災している可能性もあるため、従来は現場の状況を十分に把握しないままに確認依頼を行うことに心理的な負担を感じる場面もありました。現在は、事前に仕入先住所と被害現場の状況とを、視覚的に把握したうえで連絡ができるため、状況に配慮した対応がしやすくなっています。結果として、当社のためだけの一方的な影響確認ではなく、仕入先と向き合った対応ができるようになってきていると感じています。

災害対応の仕組みを、平時の仕入先連携にも活用

災害時の影響調査にとどまらず、自動車メーカーからの各種問い合わせへの対応や、世界情勢の変化に伴う影響確認についても、「Spectee SCR」で調査を行えています。これにより、従来は個別に対応していた調査業務を一元化でき、調査品質の均一化や担当者負荷の軽減にもつながっています。加えて、仕入先側から見ても、異なる依頼を統一された形式で受け取れるため、回答しやすい仕組みになっていると感じています。

オペレーションの負荷から解放され、サプライチェーン全体の対応力強化へ

今回の「Spectee SCR」導入により、サプライチェーンの可視化、災害情報の即時取得、データ精度の向上といった基盤が整いました。その結果、従来のようなオペレーション中心の業務から、状況を踏まえて判断するマネジメント業務へとシフトできていると感じています。これにより、より実態に即した判断と対応が可能になっています。引き続き、自動車業界のTier1サプライヤーとして安定供給責任を果たすため、サプライチェーンマネジメントの高度化に取り組んでいきます。


※2026年6月16日掲載

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