レポート

札幌市東区の住宅街に出没した熊の動きをSNSで追う

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本日未明から、北海道札幌市の住宅街で熊の目撃情報が相次ぎ、住民の間に緊張が走りました。結局、4人を襲って怪我をさせたのち、猟友会のハンターによって駆除されました。怪我をされた方々の一刻も早い回復をお祈りします。

北海道で住宅地に熊が出没することは決して珍しいことではありませんが、今回は市街地の中心部、人口が密集しているエリアに出没したことは衝撃的でした。中学校のグラウンドに入り込んだこともあり、札幌市の小中学校では10校が臨時休校となり、また、最後に熊が逃げ込んだ丘珠空港では合計8便のフライトが欠航になったと報じられています。

下記の図は今回の熊の動きを地図上にプロットしたものです。最も早かった目撃情報は本日未明の3:30頃、それまでは目撃されることなく、住宅地にまで入り込んできたものと思われます。5~7月は熊にとっての繁殖期。オスがメスを求めて広い範囲を動き回ることや、オスを避けた子連れのメスも広く動くことから、市街地への出没が多くなる時期にあたります。最後、発砲が容易な空港に逃げ込んでくれたことは不幸中の幸いと言えるでしょう。

(地図データ © OpenStreetMap contributors)

次に札幌市のヒグマ出没情報をもとに、今年の5月と6月の熊の出没地点を地図上にプロットしてみました。

圧倒的に多かったのは、自然が多く残り、ほとんど市街地化されていない南区でした。特に南区豊滝のエリアに集中しており、自然歩道を歩くハイカーなどから目撃されています。市街地付近に出没したケースもあり、例えば、5月10日の南区真駒内、5月23日の西区山の手399番地、6月8日の西区平和313番地などは、付近に病院や学校もある市街地または市街地に近い場所です。しかしそれらも自然豊かなエリアに隣接した場所と言え、こうして見てみると、東区に熊が出没することが驚くべきことだということがわかります。

(地図データ © OpenStreetMap contributors)

では熊はどの方向からやってきたのでしょうか。ヒグマは1日に最長10km移動できると言われていますが、西や南にある自然豊かなエリアから東区まではそれ以上の距離があり、夜中の間に市街地を抜けて移動してくることは不可能だと思われます。上図を見てみると5月29日に波連湖の付近で目撃情報があります。波連湖から今回出没したエリアの間の距離も10km以上あるのですが、その途中は比較的人口密度の低いエリアが広がっていることから、北側からアプローチしたと考えるのが自然ではないでしょうか。

最後に、SNSの投稿から現場の様子がよくわかるものをピックアップしてご紹介します。



イオン札幌元町店の入り口付近に。一帯は警察によって封鎖されました。


イオン札幌元町店に近い路上で、自動車から撮影された様子。


栄南中学校のグランドを歩いている。


最後、駆除されることになる丘珠空港で。


(根来 諭)
June 18, 2021

参考情報

ヒグマの生態・習性(札幌市)
https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/seitai/index.html

ヒグマ出没情報(札幌市)
https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/syutsubotsu/index.html


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