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スペクティでは、2020年9月29日に第4回目となるWebセミナーを開催させて頂きました。自治体や民間企業、非営利団体、防災に個人で携わる方に至るまで、多数のご参加ありがとうございました。本レポートでは当セミナーでお話した内容の要約をお伝えいたします。


スマートフォンを持っている方々、その全てが現場からの情報発信者になる ― SNSが社会に与えるインパクトの核心はこの点にあります。スペクティで今年、自治体および民間企業を対象に行ったアンケートの結果を見ても、防災・危機管理においてSNSは必須の情報源になりつつあると言うことができます。下記グラフにあるように、自治体の防災担当者の8割以上が災害時におけるSNSの情報に有用性を感じており、また、民間企業のBCP担当者の6割以上が今後もBCP対策にSNSの情報を利用する意向を示しています。現場の状況を、リアルタイムに、画像や音声をともなって把握できるという意味でSNSは革新的ツールと言えるでしょう。

本セミナーでは、具体的な災害を例に挙げて、SNSの分析から何がわかるのかについて解説をしたいと思います。 (上記グラフの詳細についてはそれぞれ下記のレポートをご参照ください)


自治体の災害対応にSNS情報は有用?8割以上「有用性を感じる」と回答【独自調査】
https://spectee.co.jp/report/sns_effectiveness_for_disaster_management/

民間企業BCP担当者1,114名に訊いたSNS情報の活用 – その可能性と課題とは?【独自調査】
https://spectee.co.jp/report/sns_effectiveness_for_disaster_management_corporate/

令和元年 台風19号

最初の例は、昨年10月に発生し、同月12日に日本列島に上陸した令和元年 台風19号です。関東地方や甲信地方、東北地方などで記録的な大雨となり、死者91人の甚大な被害をもたらしました。

この台風19号が襲った際のSNS投稿を分析してみると、何がわかるでしょうか。まず、下図の左にある棒グラフは、スペクティが配信した台風に関連するSNS投稿の数が、時間の経過とともにどう変化したかを示すものです。右は、10月12日の19時に台風が上陸して北方に移動していくのを、大雨警報の推移で追ったものです。こうして見ると、やはり降水量とSNS配信数はリンクして動いていることがわかります。



次のグラフは、より詳しく降水量とSNS配信数の関係を見ようとしたものです。

線グラフの紺色は東京におけるSNS配信数、緑色は東京都の特定地点(青梅市)の降水量を示しています。リンクして動いているのがわかりますが、さらに細部に注目してみると、降水量は下がっているのにSNS配信が増加している(下降している青線と上昇している緑線がクロスしている)箇所があるのがわかります。これにより、雨は落ち着いてきているのにかかわらず、人々をSNS投稿に駆り立てる何かが起きていることが推察できます。例えば、窓から川を見てみたら異常に増水している、とか、家の周りがすっかり冠水してしまっているなどのケースが考えられます。つまり、こうしたクロスが発生している時点で、現場では何かが起きていることを示しているのです。これは気象データの推移だけを見ていてはわからない事が、SNS配信を同時に見ることでわかるという一例になるかと思います。


令和2年7月豪雨

次に、まだ記憶に新しい、今年7月に発生して熊本県を中心に広い範囲で大きな被害をもたらした令和2年7月豪雨を例にとります。

下図は、被害の大きかった熊本県の球磨川周辺地域(特に人吉市)における降水量と、SNS配信数を重ね合わせたグラフになります。ここでは東京での例とは状況が異なる事がわかります。降水量が激増している7月3日の深夜から7月4日未明にかけて、降水量が激増しているにもかかわらず、SNSの投稿数はそれほど多くありません。そして降水量が一旦落ち着いたタイミングで、一気にSNS配信が増えているのです。



この背景を考えます。熊本県の人吉市は過疎が進んでいる地域であり、普段はSNSの投稿が東京に比べると極めて少ない地域になります。よって、東京のように人口が密な地域ではある人のSNSの投稿が別の方の投稿を呼び、降水量の増加とともに配信数が増加していく一方、人吉市では実は危険な状況になっているのにもかかわらず人々は気づいておらず、警戒レベルが4に上がった時点でようやく気付いてSNSの投稿が増加した、ということが考えられます。このように、人口が密な地域と疎な地域では動態が変わるということは、興味深いとともに注意を払わなければならない点だと言えるでしょう。

平成28年 熊本地震

最後に2016年に発生した熊本地震における例です。

熊本県を震源として震度7を2回、震度6強を2回、震度6弱を3回記録したこの一連の地震は熊本県及びその近隣に大きな被害をもたらしました。下記のグラフは、熊本県及び福岡県の地震関連のSNS配信数の推移をあらわしたものになります。地震による揺れや被害は熊本県における方がずっと大きかったのですが、少し離れた福岡県の方がSNS配信数は熊本県の1.5倍ほど多かったことがわかります。



一つは当然、人口や年齢層の違いなどによるSNS利用率の濃淡が原因だと思われますが、震源地に近いとSNSに投稿をしている余裕がないということも考えられます。下記は今年9月に発生した福井県坂井市を震源とする地震の際のデータですが、震度の大きかった福井県より、震度1~2程度であった愛知県の方がまずSNSに地震の投稿をしたことがわかります。

災害におけるSNSの可能性

これまでの分析から浮かび上がってきたことを下記にまとめました。

SNSは災害現場の情報をリアルタイムで把握するために大変強力なツールですが、こうした傾向を踏まえることで正しい分析結果を導きだすことができそうです。また、SNSとその他の情報を組み合わせることで初めて知ることができることも多くありそうです。令和2年7月豪雨の際には、国土地理院様が持つ標高データとスペクティの持つSNSのデータをかけ合わせることで、迅速に浸水範囲を推定することに貢献することができました。今後もこうした「SNS情報+α」の可能性を探り、防災・減災に役立つサービスを提供していきたいと考えています。


2020年9月29日開催のWebセミナーの内容抜粋をお伝えいたしました。今後もスペクティは定期的にWebセミナーを開催いたしますので、お時間のご都合がつきましたら是非ご参加いただきたく、よろしくお願い申し上げます。


信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!

スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.biz/)は、国内350社以上、40以上の自治体で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

官公庁・自治体採用数 No.1 、また交通機関、電力、ガスなどの公共インフラ企業、テレビや新聞などの報道機関をはじめ、多くの民間企業でも続々採用されています。

(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)



October 14, 2020

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