【イベントレポート】物流テックスタートアップカンファレンス【2022年6月9日開催】

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LOGISTICS TODAYは、6月9日に「物流テックスタートアップカンファレンス2022 supported by Spectee」を開催。スペクティはこれを後援させていただきました。セミナーには定員を超える申し込みがあり、また物流企業だけではなく荷主企業からも申し込みが多くあったことから、物流テックは広く注目を集めていることがわかります。本レポートでは、その内容を抜粋してお伝えします。

対談セッション

IDATEN VENTURESベンチャーキャピタリスト 坂本晋悟様
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Logistics Today編集長 赤澤裕介様

物流の世界では現在、4つの変化が起きています。
①Demand、②Supply、③Sustainability、④Speed

まず、ECが広く普及して需要が高まる一方、ドライバーは十分に増えておらず、需給のギャップはこれからも広がっていくでしょう。そして、持続可能なやり方でモノを運ぶ要請が高まります。トラック・船舶の電動化や航空機のSAF化などは物流コストにも影響を与えるでしょう。さらに求められるのはスピードです。当日配送・翌日配送はいまや当たり前になり、数時間での配送が求められるなど、消費者の要求水準は高まっています。

こうした中、物流テックの世界には様々な新しいプレイヤーが登場してきています。アメリカでは既に色々なスタートアップが成長し、物流業界における存在感を増しています。日本でも同様な動きがこれから盛り上がっていくと思われますが、日本とアメリカの前提条件は違います。国土は狭く、すでに配送網は整備されており、そして災害の多さが日本の特徴ではないでしょうか。日本では日本独自のソリューションが求められます。

コロナウイルスの流行や2024年問題(ドライバー不足の加速)、多発する自然災害などの逆風の中、物流業界のテクノロジーによる変革は待ったなしと思われます。


セッション1 物流被害をAIで可視化! SNS分析や道路カメラ解析で災害時にリアルタイムで被害を予測、物流を止めない次世代の危機管理ソリューション(株式会社Spectee)

https://spectee.co.jp/

株式会社Specteeは、「危機を可視化する」をミッションとして事業を推進しています。その主力サービスである「Spectee Pro」は、SNSや道路・河川カメラの画像、気象データなど様々なソースから情報を集め、解析し、リスク情報を顧客に提供しています。

また、水害が発生した際に浸水がどこまで広がるかを瞬時にシミュレーションしたり、画像解析技術を使って路面の状況を自動判定したうえで、他のデータを組み合わせて今後スタックが発生するリスクを予測したりといった形で、「未来の可視化」にも積極的に取り組んでいます。

現在製造業からの引き合いが非常に強く、今後物流業界にも導入を進めていきます。既に導入している物流会社からいただいた声としては、大手物流倉庫で火事が発生した際、マスメディアによる情報よりはるかに早く覚知することができた、というものがありました。サプライチェーンの中で起きるリスク事象は、迅速かつ正確に覚知することが勝負を分けます。例えば代替品を確保しなければいけない場合、早い者勝ちになることが多いからです。

物流会社はこれまで個別にリスク事象に関する情報を監視する文化はなかったため、「このような情報が取れるようになるのであれば、こうやってリスクを覚知して、意思決定をしていこう」など、体制自体を作り変えて、自然災害など物流の中で起きるリスク事象を乗り越えられるようにするべきだと考えます。


セッション2 複雑な制約にも対応するAI配車計画システム(株式会社Logpose Technologies)

https://logpose.co.jp/

株式会社Lagpose Technologiesは、「共同配送」をキーワードに事業を行っています。日本のトラックの平均積載率はたった38%。これを変えていかないと物流危機は乗り越えられないという課題感のもと、エンジニア・技術・プロダクトにリソースを集中投下し、運送業界のこれからを支える自動配車計画のシステムを開発しています。

自動配車は、色々な制約がある中で最適解を導かなければならず、これまでの数理モデルでは難しいためにAI技術活用しています。最適な自動配車が実現したら、次は自動配車と動態管理を組み合わせ、その次は物流版のマーケットプレイスを創る、という三段構想で物流業界全体の最適化を支えようとしています。


セッション3 価格競争力と航続距離に優れた商用車EV(フォロフライ株式会社)

https://folofly.com/

フォロフライ株式会社は、昨年8月に設立されたばかりの京都大学発ベンチャーで、EV(電気自動車)のファブレスメーカーです。日本で設計・開発したEVを中国で生産して日本に導入するビジネスモデルです。

フォロフライでは顧客のペインがどこにあるかを把握してから商品企画を開始。既存メーカーによる開発情報を集め、それを基に車体の設計・開発を進めます。開発済みのモデルを活かすことで、開発スピードと販売までの時間を大幅に縮小しています。

フォロフライ株式会社はこのビジネスモデルで、物流のラストワンマイルを担う商用車の市場を押さえにいっています。この市場は、現在大手による限られた数のモデルしかなく、大手にとって旨味がうすい一方でベンチャーが参入しやすい市場になっています。ここに、普通免許で運転が可能で最大積載量も十分、そしてガソリン車と同等の低価格のEVを投入したことで、ラストワンマイルの荷主から支持を受けているとのことです。


セッション4 本船動静・納期調整工数を大幅削減するデジタルフォワーダー(株式会社Shippio)

https://www.shippio.io/

株式会社Shippioは、デジタルフォワーダーとして貿易業務効率化に取り組んでいます。

貿易業務担当者は常に忙殺されています。海上輸送量は増加している一方、国境を越えたサプライチェーンは多くのステークホルダーと長時間調整しなければなりませんが、貿易業務のDXはほとんど進んでいません。ケースによってはいまだにファックスでコミュニケーションをとっており、国境を越えて壮大な伝言ゲームをやっているような状況です。

非効率な伝言ゲームをやめるには、情報を一元管理して最新情報を関係者が常に共有できるようにする必要があります。株式会社Shippioは、そのためのプラットフォームとしての役割を果たそうとしています。コミュニケーションコストや事務処理にかかる時間を削減できれば、より価値の高い分析・企画・交渉といった仕事に工数を振り向けることができます。


セッション5 スマートホンで読み取れる「入力可能な可変識別コード」(株式会社LOZI)

https://www.lozi.jp/

株式会社LOZIは、スマートバーコードを通じて「見える化」と「効率化」を進める会社です。現在、ECの急伸、グローバルチェーンの分断、2024年労働規制問題によってサプライチェーンのオペレーションは変革を迫られており、この分野にどう貢献できるかを考えているとのことです。

スマートバーコードを導入することによって、「シームレスなトレーサビリティ(モノの動きの見える化)」を実現することができます。サプライチェーンは様々なプレイヤーによって構成されますが、事業者の垣根を超えたトレーサビリティが実現されることによって、物流だけでなく、製造のスマート化や、生活者に向けた価値ある情報(トレースの履歴)の提供を行うことができるようになります。また、センサーデバイスとの連携で、輸送中のデータ(例えば輸送中にどう温度が推移したかなど)を可視化することができます。


セッション6 異なる伝票や発注書類を統合管理(株式会社SImount)

http://simount.com/

株式会社SImountは、データベースの技術を活用して様々なソリューションを提供しています。特に現在注力しているのが、「サプライチェーンにおけるモノとデータの流れ」とのこと。サプライチェーンに関する業務は複雑性が高く、従来からデジタル化が遅れています。

その大きな理由として、在庫管理・配送管理・受発注管理・商品データ管理など、データがバラバラに存在していて繋がっていないことが挙げられます。こうしたデータを連携・統合し、データ加工の自動化をすることによって、株式会社SImountはレガシーとして残る業務フローと情報システムをつなぎ、B2B物流に残るアナログ業務のDXにつなげていくとのことです。


セッション7 RFIDでモノの位置を可視化する在庫・物品管理システム(RFルーカス株式会社)

https://rflocus.com/

RFルーカス株式会社は、電波を用いてタグのデータを非接触で読み書きするRFIDと、他の先進テクノロジーを組み合わせて、在庫管理・物品管理のシステムを提供しています。

IoT(モノのインターネット)は発展してきていますが、安くて小さいモノ、例えば商品在庫や固定資産・備品の管理についてはデジタル化が進んでいません。その要因として、この領域のモノを管理する技術が不在であることがあります。

これを解決するため、RFルーカス株式会社では、RFIDでモノの位置を可視化する管理システムを開発しました。RFIDはバーコードやQRコードと異なり、①一括で認識できる、②遠くから認識できる、③箱を閉じたままでも認識できる、という特徴があり、棚卸や入出庫を大幅に効率化できます。一方デメリットとして、位置精度が低いという問題があります。この点についてRFルーカス株式会社は、独自の電波位相解析の技術によってRFIDタグの正確な位置の特定を実現しているとのことです。RFIDタグの価格の低廉化に後押しされ、今後普及が進むと思われます。

(根来 諭)
July 13, 2022


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スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

(AI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』)
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