拡大する山火事、カナダでは史上最悪のシーズンに
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2021年にも同じようなレポートを発信しましたが、今年も世界中で大規模な山火事が頻発しています。住宅地を襲い多くの死傷者を出したハワイ・マウイ島での山火事は大きく報道されましたが、その他にもアメリカ本土やスペイン領カナリア諸島、チリ、ギリシャ、ポルトガル、トルコ、アルジェリア、フランスなどでも大規模な火災が人々を脅かしています。
なかでも異常事態が進行しているのがカナダです。日本人が多くいるバンクーバーを含むブリティッシュコロンビア州では、8月18日に非常事態宣言が発令され、19日には約3万人に避難命令が出されました。また、北西部のノースウェスト準州ではこれまでに東京ドーム3万個分を超える森林が焼失し、美しいオーロラがよく見えることで有名なイエローナイフにも炎が迫ったため、夏休みでオーロラ観光に訪れた方々の中にも避難を強いられた方が多数いたようです。
カナダの山火事の現状は、CIFFC(カナダ森林火災センター)のホームページで確認することができます。本日(8月21日)時点で、1,037件もの火災が現在進行形で発生中。そのうち657件が制御不能(Out of Control)の状態にあり、しかもそれらが全土に広がっていることが地図を見るとわかります。
また、下記のグラフは、焼失した面積を年ごとに集計したものですが、2023年は1,400万ヘクタール(よく使われる東京ドームに換算すると実に3百万個分)を超えており、近年最も多かった1995年の710万ヘクタールの既に2倍の面積が8月時点で焼失してしまっています。いかに異常な状態かがこのグラフを見るとよくわかります。
スペクティでは、住宅地に迫ったり、サプライチェーンを阻害する可能性のある危険な山火事を『Spectee Pro』を通じて顧客に伝えるとともに、報道機関向けに対してニュース向け動画の配信サービスを行っていますが、空が真っ赤に染まったり、観光地のすぐそばに火が迫ったりするなどの衝撃的な動画が多数SNSに投稿されています。
この山火事の増加も、近年世界中で頻発している異常気象と同じく、気候変動の影響によるものと見られています。北極の温暖化とそれによる偏西風の蛇行が高気圧を生じさせて空気が乾燥し、山火事の発生を促します。また暑さと干ばつによって火の広がりが速くなり、かつ燃え続ける時間が長くなることで事態が大きく悪化してしまいます。気候変動の影響下において、山火事は世界にとって大きな頭痛の種となり続ける可能性が高いと思われます。
スペクティは広く危機や災害を可視化するソリューションを提供するスタートアップですが、北米では山火事への対応に特化したスタートアップが多く立ち上がっているのが興味深いところです。 例えばPano AIは、カメラやセンサーなどのハードウェアとAI技術を組み合わせ、火災の兆候・位置・規模などをリアルタイムに検出して消防隊を助けるソリューションを開発しています。また、Rainという企業は、自律飛行するヘリコプターを使った迅速な消火を目指しています。Delosという企業は、最新テクノロジーを活用し、山火事に特化した保険サービスを開発・提供しています。さらにはこれらに投資するベンチャーキャピタルConvective Capitalは、山火事に関するテクノロジーを持つスタートアップのみを対象としており、この領域のみに特化したベンチャーキャピタルが存在するという事実に、米国のベンチャー・エコシステムの豊かさを感じます。
気候変動を我々が乗り越えるには、「緩和」と「適応」の2つのアプローチがあります。気候変動を緩和するには、革命的なテクノロジーの開発や大きな社会変革が必要で、どうしても時間がかかります。よって、緩和のための努力を続けつつも、目の前に迫る危機に対して我々は適応のアプローチをとらざるを得ません。スペクティもテクノロジーを活用し、山火事を含む様々な危機を乗り越えるためのソリューションを開発していきます。
(根来 諭)
August 21, 2023
信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!
スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。
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