5Gとは?そして防災/危機管理分野への活用について

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5Gとは、携帯電話などに用いられる通信規格の第5世代目を指します。国内では2020年3月下旬からKDDI、ドコモ、ソフトバンクによる5Gの通信サービスが提供開始となりましたが、現時点ではまだ利用できるエリアは狭く、本格的な運用にはしばらく時間がかかる予定です(総務省の計画によると2024年4月時点でほぼ全国がカバーされる)。海外ではすでに2019年中に19か国で商用サービスが提供開始されており、アメリカ・韓国では2019年4月より、中国では2019年10月末よりスタートしています。

この5G、現在主流である4Gと何が異なるのでしょうか?「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」の3つが大きな特徴と言えます。

5Gとは

これら特徴により、下記のような用途が想定されています。

◆車の自動運転
自動車がネットワークに接続されることにより、互いに、または街中に設置されたセンサーと通信を行うことで人の手を介さない安全で効率的な走行が実現できます。
◆遠隔医療
遠く離れていても診療を受けられるため、地方の医師不足の解消が期待されます。また、低遅延という特徴を活かして、医師は離れたところにいたまま、カメラとロボットアームを使って遠隔手術を行うようなことも考えられます。
◆エンターテインメント
超高画質の動画をスムーズに配信することができ、遠隔地からもその場にいるような臨場感をともなってスポーツイベントやライブなどを楽しむことができるようになります。また、ディスプレイやゴーグルを使ったVR(Virtual Reality=仮想現実)のエンターテインメントも飛躍的に発達することが見込まれます。
◆スマートシティ
街中に設置された無数のセンサーによって、道路や公共交通機関などインフラの状況を可視化、混雑の解消や電力の使用量を最適化するといった、効率的な都市の運営が期待されます。

また、4Gの時代と言える2010年代は、広く人口に膾炙したスマートフォンによって個人の生活に大きな変化が生まれました。人々はLINEやFacebookといったSNSによって広くつながり、それまでテキストがメインだったコミュニケーションは画像・動画のやりとりへとリッチ化、また、Amazonや楽天、ZOZOTOWNをはじめとするオンラインショッピング、ネットバンキングやオンライン証券といった金融サービス、Uberに代表されるライドシェアなど、「4G×スマートフォン」が人々のライフスタイルに革命を起こしたと言って過言ではありません。

では、5Gの時代は何が大きくかわるのでしょうか?5Gの時代には、”企業”を主役に社会が大きく変わるという考えが一般的になりつつあります。これは基盤技術である5Gの浸透によって企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進行することを意味します。世界規模の展示会であるCESの主催者Consumer Technology Associationのリサーチ責任者は、報道機関向けプレゼンテーションにおいて、「5G will be led by enterprise applications(5Gは企業による活用によって牽引される)」という明確なメッセージを発しました。

4Gと5G

防災/危機管理ではどのような変化が期待されるでしょうか?

例えば、5Gを活用すれば、河川を監視するカメラの高画質な映像や、各地点に設置した水位計のデータなどをリアルタイムで収集することができるようになります。収集したデータに、人工知能による解析やシミュレーションを加えることで、被災エリアの予測やそれに基づく避難指示の発出、または効率的な復旧活動に役立てることができます。特に映像については、これまではデータ転送量の大きい高画質な動画を転送・解析することは現実的に難しいものでしたが、5G環境においては可能になります。また、ドローンの活用にも大きな期待がかかります。2次災害のリスクを減じつつ、多数のドローンで被災地の状況が確認することができれば、復旧作業を大幅に効率化することができると思われます。

5Gを活用した実証実験は既に活発に行われております。例えば、2020年3月、北九州市においては、ソフトバンク、WCP、エフ・イー・ヴイ・ジャパンが5Gを活用した「車両の遠隔運転」に関するフィールド実証実験を実施。災害発生後の二次災害発生の抑制を目的とした「遠隔運転による放置車両の撤去」のデモが行われました。

また、「IBMとRed Hatが5GエッジとAIへ全力投球」と題した記事が5月7日、TechCrunchに掲載されましたが、5GとAIを活用したソリューションが今後限りない可能性を秘めていることが伺えます。

スペクティも、2019年に神戸市で災害時にドローンから避難呼びかけを行う実証実験を実施したことを皮切りに、5G時代を見据えて複数の自治体や企業と共同開発を進めています。スペクティの持つ画像解析や自然言語分析の技術を活用し、5G時代の防災/危機管理をテクノロジーでリードするべく努力を続けていきます。

Spectee Pro
(Spectee Pro)

(根来 諭)
May 10, 2020

参考情報

防災分野における5Gの利活用について(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000672983.pdf

次世代モバイル通信”5G”とは? DXのビジネス基盤として期待高まる5G(FUJITSU JOURNAL)
https://blog.global.fujitsu.com/jp/2020-04-02/01/

CES reveals a surge in AI, 5G and edge computing – especially in the enterprise (siliconANGLE)
https://siliconangle.com/2020/01/07/ces-reveals-surge-ai-5g-edge-computing-especially-enterprise/


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