レポート

関東大震災から100年 待ったなしの防災DX推進

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2023年9月1日、関東大震災から100年目の節目となる防災の日を迎えました。関東大震災において発生した損害額はGDP比率で35.5%(東日本大震災では3.5%)。まさに国家存亡の危機と言っても大げさではなかった大災害を振り返るとともに、現代を生きる我々が防災についていかに取り組むかを考える良いきっかけとなっています。これに合わせスペクティでは、自治体で防災に従事する方1,012名を対象として、「自治体の災害対応とデジタル化」についてのアンケート調査を実施しましたので内容をご紹介します。

【関東大震災100年 自治体防災DXアンケート】デジタル活用が災害発生時の初動対応のカギに
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000154.000016808.html



災害対応において、初動対応が被害を拡大させないために非常に重要な意味を持つことは明白です。適切な初動対応をとるための対策ができているか否かについて質問をしましたが、スペクティでは2020年にも同様の調査を行っているため、3年間でどのような変化があったのかを見ることができました。

右の円グラフが今回の回答、左が2020年調査時の回答です。「災害発生時の初動対応への対策はできていますか?」という設問に対し、今回は『あまりできていない』『全くできていない』という回答が合わせて28.7%となりました。2020年の調査時には38.6%であったことと比較すると、改善する傾向が見られることは好ましいと考えられますが、依然として3割が「対策が十分でない」と考えていることがわかります。

次に左の円グラフにあるように、「大規模災害においてデジタルを活用した対策は必要だと思いますか?」という設問に対しては、『必要だと思う(49.2%)』『どちらかといえば必要だと思う(40.1%)』89.3%の方が防災DXの取り組みが必要だと回答しています。そして、右の棒グラフは「デジタル活用の成果として期待しているものは何か」という設問への回答ですが、『迅速な情報収集』『被災状況の迅速な把握』という「現場で何が起きているかを把握する」部分に最も大きな期待がかかっており、次いで『災害リスクの予測』『情報伝達手段の構築・最適化』が続いています。 これはやはり、災害時に情報を収集して状況を把握することは大切ながらも、実際には非常に困難な作業であると言う事実を反映しているものと思われます。現状では、慌ただしく状況が変化していく中で、多くの人手をかけて電話をかけたり現場に赴いたりという形で、何とか情報をかき集められているのではないでしょうか。

このように防災DXが切実に求められる背景は、ひとつには今夏の異常な暑さや頻発する水害で実感されるように、自然災害の多発化・激甚化が挙げられます。我々は気候変動による影響を乗り越えるために、対応策を一段も二段もレベルアップさせなければなりません。もうひとつ挙げられるのが、自治体職員の人手不足です。地方公共団体の総職員数は、ピーク時の1994年から2020年までに約16%(52万人)減少している一方、職員の業務範囲は拡大しているという現状があります。下記のグラフは地方公務員がいかに不足するかの将来推計ですが、2030年にはまだ91.8%という充足率が見込めるところ、その15年後の2045年には78.0%まで落ち込んでしまうことが見込まれており、より少ない人数で防災関連業務に当たらなければなりません。

(出典:地方公務員は足りているか─地方自治体の人手不足の現状把握と課題─ JR Iレビュー 2021 Vol.4, No.88)

こうした中、2022年12月にはデジタル庁の呼びかけに基づいて、防災DXを推進する官民連携の協議会である「防災DX官民共創協議会」が発足しました。スペクティももちろん参画しており、推進に貢献していきたいと考えています。この協議会が作成した「防災DXサービスマップ」を見ると、どういった場面においてどのようなDXソリューションが求められているかの全景をつかむことができます。平時には防災学習や災害リスクの評価、切迫時には予測や通知、応急対応では情報収集や被災者支援、そして復旧・復興支援という形で局面に分けられ、それに対応するサービスやソリューションを見ることができます。

(出典:防災DX官民共創協議会HP)

スペクティが提供するサービスSpectee Proは、「被害情報の収集・共有」という防災の現場が最も大きなペインを抱える局面で活用できるソリューションで、官公庁・地方自治体に急速に広がっており、防災情報インフラの一翼を担うところまで成長してきていると自負しています。また、浸水推定技術を通じて未来の予測の領域にも踏み込んで参ります。今後も開発を進めて自社サービスを拡充するとともに、他社との連携も通じて、「防災DXサービスマップ」で期待されている多くのソリューションを提供する存在になっていく計画です。

また、防災DX官民共創協議会はその活動方針のひとつとして「防災DXの海外市場への展開の検討」を挙げています。災害大国であり、技術大国でもある日本はその防災の知見やソリューションを通じて世界に貢献していくべき責務があると考えています。スペクティは現在JICAの支援を受けながらフィリピンへの展開を実際に進めており、この面でも防災DXの推進に貢献していけると考えています。

(根来 諭)
September 20, 2023


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スペクティが提供するAI防災危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

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