レポート

デジタル化の行方:データがつながることによる新たな価値の創出

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日本におけるデジタル化の現状

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めなければならない」。既に言い古されている感もありますが、企業が今後国際市場で戦っていくにも、少子高齢化で労働人口が減少する中で発展していくためにも、デジタル化によってビジネスモデルや社会全体を刷新していくことが求められています。

しかし、「デジタル化」と一口に言っても、それで何を実現したいかによって、主に以下の3つの態様に分類できます。

◆デジタイゼーション
物理的な情報をデジタルに変換することで、アナログで行ってきた業務をデジタル化すること
目的:生産性・作業効率の向上
◆デジタライゼーション
ビジネスモデルやワークフロー全体をデジタル化することでより良い製品・サービスを提供すること
目的:ビジネスモデルの変革
◆DX(デジタル・トランスフォーメーション)
デジタル技術を基盤として、製品・サービス、組織や企業文化そのものを大きく革新すること
目的:全く新たな価値の創出

しかし、日本企業の場合は、DXという掛け声があっても、多くのケースで「デジタイゼーション」にとどまり、ペーパレス化やRPAツールの導入といった生産性向上以上のことができていない現状があります。

下記は総務省の調査から引用したグラフですが、日本・米国・ドイツ・中国を比較した際、日本の場合はデジタル化の目的として一番多いのが「生産性向上」となっており、一方で中国では「データ分析・活用」、「新規ビジネス創出」、「顧客体験の創造・向上」といった項目の数値も大きくなっているのとは対照的です。


データがつながることによる新たな価値の創出

企業や行政の、ひいては社会全体のDXを真に推進するのに最も必要なことは何でしょうか。

それは、分析・活用できる形で様々な事象がデジタルデータ化され、データの利活用の環境やルールが整備され、またそれらが有機的につながることによってビジネス・医療・防災など様々な用途に展開できることです。

デジタル庁は2021年に打ち立てた「包括的データ戦略」において、下記図のアーキテクチャを示しています。①デジタル社会を支えるインフラが整っている、②必要なデータが適切なフォーマットで整備される、③それらデータを連携させるための連携ツール(APIなど)が整っている、④公正なルールでデータが取引されるデータ取引市場など、データを多様な主体が利活用できる環境が整っている、⑤データの品質の標準化や使用方法のルールが整備され、確立している。これらのデータ環境があってこそ、行政や民間によるデータを利活用したサービスが花開き、新たな価値が創出できるようになります。

(出典:デジタル庁「包括的データ戦略」)

防災・危機管理のDX

防災・危機管理の分野で活用ができるデータは非常に多岐に渡ります。行政が持っているデータとしては、ハザードマップや河川の水位情報、地盤に関する情報や避難所の設置情報など。民間企業が持っているデータとしては、自動車から取得できるプローブデータや人流のデータ、人工衛星からレーダーを使って取得したデータなどが挙げられます。

これらのデータが適切なフォーマットで開示され、整備されたルールのもとに有償/無償で利活用できるようになれば、防災・危機管理に携わる各種主体が創意をこらし、様々なソリューションが開発されることは間違いありません。

例えば東京都によるデータ整備・公開の試みは進展目覚ましく、現在では都が持つデータがオープンデータカタログサイトにおいて公開されています。例えば防災・災害計画に使えるデータセットや、避難所・避難場所一覧データなどは既に公開されており、今後拡充されていくでしょう。

こうした動きが他の自治体や中央省庁でも進み、民間企業によるデータの取引市場が整備されれば、デジタル技術を使った社会変革が飛躍的に進展するはずです。社会課題は医療、教育、農業など多岐に渡りますが、人々の安全を守る防災・危機管理の分野においてもDXが実現していくことが期待されます。

(根来 諭)
December 14, 2022

参考情報

令和4年版 情報通信白書(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/index.html

包括的データ戦略(デジタル庁・令和3年6月18日)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/576be222-e4f3-494c-bf05-8a79ab17ef4d/210618_01_doc03.pdf



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