コラム

地震予測テクノロジーの現在と未来

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2021年2月13日午後11時過ぎ、福島県・宮城県で最大震度6強を観測する地震が発生し、東日本大震災から10周年を迎える直前に、改めて我々に地震の恐ろしさを認識させました。言うまでもなく、地震は水害や雪害と異なり、事前に予測して備えることが難しい災害です。ゆえに、何とか地震を予知・予測することはできないか、多くの研究機関や企業が取り組んできましたが、発生周期などから期間的に幅をとった予測(例:南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70%~80%)をすることは可能であるものの、地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測することは困難であると考えられています。


地震予測の現在

しかし、現在も様々な企業や研究機関が、予測手法の確立に向け不断の努力を続けられています。いくつかの例をご紹介します。

①JESEA(株式会社地震科学探査機構)
JESEAは、測量工学の権威である村井俊治・東京大学名誉教授らによって、東日本大震災を契機に設立された組織です。JESEAのアプローチは、地殻変動に着目します。地震は、地球を構成しているプレートが、地下深いところで動くことによって発生します。JESEAの提供するサービス「MEGA地震予測」では、国土地理院が全国に約1,300点設置している「電子観測点」が、人工衛星から発射される信号を利用して測定している地表データを解析することで、地震の前兆現象である地表の異常変動を捉えて地震を予測します。
②地震解析ラボ
地震解析ラボは、地震の脅威にさらされている国が減災を実現し、持続可能な社会の発展を行えるようにと、地震予測情報を個人及び法人に向けて配信している企業です。地震解析ラボによる地震予測は、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)が運用している地震観測網、Hi-net(高感度地震観測網)およびF-net(広帯域地震観測網)の地震計のデータをベースにしており、そこに加えて、地震に伴う電磁波現象としての、①VLF/LF電離層擾乱、②ULF電磁放射、③GPS電離圏モニタリングを解析するというアプローチです。

地震予測の未来

近年、地震予測に関する研究は飛躍的に進歩しました。地球物理学など学問分野での研究進展とともにその背景に挙げられるのがICT(情報通信技術)の急速な進化です。地震計、GPS、宇宙観測技術などが発達し、地殻変動や海面変動のデータなど、これまで収集できなかった膨大なデータが集められるようになりました。地震とは、非常に多くの要素が絡み合った複雑な事象です。よって、とにかく多くのデータを収集し、そのデータをコンピュータに放り込んで計算し、シミュレートすることが必要です。膨大なデータをやりとりする無線通信の技術についても、現在普及が進む5Gに加え、2030年頃の実用化に向けて6Gの開発も始まっています。今後、コンピューティングパワーや人工知能技術も進化を続けていくでしょう。データの質・量およびデータ解析能力の向上によって、地震予測技術も新たな局面に突入していくことが期待されています。


また、今後の進化を見据える上で興味深いのは、防災科研が昨年7月に発表した「地震の揺れを予測する新たな手法を開発~人工知能と物理モデルのハイブリッドで更なる精度向上へ~」です。

これは地震発生の予測ではなく、地震の揺れの予測に関するものではありますが、地球物理学の知見に基づいたモデルに基づき、「地震動予測式」と呼ばれる方程式を使って計算する従来手法と、要素が複雑に影響しあう事象についてデータによる予測を精度高く行える人工知能による機械学習を掛け合わせた手法です。従来手法では計算は簡便なものの柔軟性がない、機械学習では発生頻度がまれな事象を予測することが苦手、とそれぞれに苦手な部分があったのですが、従来手法と新しい手法をハイブリッドにしたことでその苦手を克服したものです。これまで熟成を重ねてきた従来技術と、全く新しい技術をかけ合わせることによって新たな局面に進む・・・この点に多大な可能性を感じます。


いまできること

予測技術の進歩に期待を寄せつつも、日本では南海トラフ地震や首都直下型地震など、今日・明日にも大きな地震が起きるかもしれないという状況に変わりはありません。今時点では精緻な予測は難しい。その認識に立ったうえでスペクティが提唱しているのが「リアルタイム防災」という考え方です。

事前に備えることが大切だということは言うまでもありませんが、想定外の事象が発生するのが発災時の常です。いま、どこで、何が起きているのか、現場の状況はどうなっているのかを迅速に把握し、アクションをとっていく。そのために人工知能によるSNSの解析や自治体が設置したカメラの画像解析、ドローンを活用した被害判定と避難誘導など、スペクティは技術開発を進めています。

(SN)
February 16, 2021

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