【速報】SNSに見る、令和5年6月豪雨

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6月2日から台風2号の接近や梅雨前線の影響を受けて、西日本から東日本の太平洋側を中心に、全国的に記録的な大雨となりました。堤防の決壊や家屋への浸水・道路の冠水、土砂崩れ、それに伴う通行止めや交通機関の乱れなどにより、各地で大きな混乱が生じました。消防庁によると6月3日16時時点で死者1名・重傷者6名と人的被害も発生してしまいました。 今回の大雨の特徴は、なんと言っても非常に広域に渡って豪雨に見舞われた点でしょう。下記は6月2日22時ごろの雨雲レーダーの様子ですが、四国から千葉のはるか東の沖まで約1,000kmに渡って激しい雨が降っていたことがわかります。

(出典:気象庁ホームページ)

線状降水帯とは、発達した雨雲が線状に次々と発生し、ほぼ同じ場所を通過・停滞することで作り出される、強い雨が降るエリアのことを言いますが、今回は高知県・和歌山県・奈良県・三重県・愛知県・静岡県の6県でこの線状降水帯が発生しました。5月25日13時から、線状降水帯の発生を予測段階で発表することが開始されたばかりですが、気象庁は6月1日に四国と中国地方での線状降水帯発生予測を発表、その後、近畿、東海、関東甲信も加えられました。

今後も気を付けなければならないこの線状降水帯ですが、気象庁気象研究所がこれも直近の5月20日に、線状降水帯がもたらしたと見られる集中豪雨の発生頻度は45年間で2.2倍に増えているとする報告書を発表しています。気象研究所が、3時間で130ミリ以上の降雨量を記録した地域を全国1,178の観測地点から抽出して分析したところ、2020年の発生頻度は約68回となり、1976年と比べて約2.2倍に増えているとのことです。特に増加が顕著だった7月については、実に2.8倍となる15回を数えています。下記図は、左が3時間積算降水量130ミリ以上(赤)と1時間積算降水量68ミリ以上(黒)の年単位での発生回数の推移、右が7月のみの発生回数の推移となっています。この増加の原因は、地球温暖化による日本近海の海面温度上昇で大気中の水蒸気量が増大していることと説明されており、今後も多くの線状降水帯の発生が続くことは間違いがないと思われます。

(出典:気象庁気象研究所「集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加している~特に梅雨期で増加傾向が顕著~」)

弊社スペクティがSNSで確認した被害の状況のうち、いくつかを地図上にプロットしてみました。末尾となりますが、被災された方々に心からお見舞い申し上げるとともに、復旧が円滑に進むことを祈念いたします。


❶高知県・大月町にある研究所の駐車場で車が完全に水没

❷徳島県・阿南市でホームセンターの駐車場が冠水

❸岡山県・早島町で土砂崩れが発生

❹大阪で外環状線に水が猛烈な勢いで流れ込んでいる様子

❺和歌山県・海南市を流れる日方川が激流に

❻和歌山県のJR海南駅に浸水

❼奈良県の大和西大寺駅近くのアンダーパスが通行止めに

❽三重県・鳥羽市で大規模な土砂崩れ

❾三重県の伊勢神宮近くが冠水

❿愛知県・豊川市の交差点付近で複数の車が水没

⓫愛知県・岡崎市の県道37号で土砂崩れが発生

⓬愛知県の工場が浸水被害に

⓭長野県・大鹿村を流れる塩川が激流に

⓮静岡県・修善寺の桂川が荒れている様子

⓯神奈川県・川崎市の住宅街でがけ崩れが発生

⓰東京都の八王子バイパスで大規模ながけ崩れが発生

⓱東京都・杉並区を流れる善福寺川が氾濫

⓲千葉県のJR本八幡駅付近が冠水

⓳茨城県・取手市の中学校とその周囲が広範囲に冠水

(根来 諭)
June 04, 2023

 

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