コラム

IPCC第6次報告書:気候危機との戦いが始まる

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地球温暖化や気候変動に関する科学的分析をとりまとめる、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が8月9日、最新となる第6次報告書「Climate Change 2021 The Physical Science Basis」を発表しました。

IPCCは世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在195の国と地域が加盟しています。その目的は各国政府が気候変動に関する政策を検討・決定するにあたって必要となる科学的な裏付けを提供することで、1990年に公表された第1次報告書から始まり、2013年から2014年にかけて第5次報告書を発表、今回は実に7年ぶりの報告書となります。なお経済産業省は、8月下旬を目途に、気象庁のホームページに和訳を公開する予定としています。


人間による影響は

報告書では、気候の現状や将来、そして気候変動を抑制するには何が必要かについて書かれています。第5次報告書から大きく変わった点は、人間の活動が温暖化に与えた影響についての記述です。前回報告書では「原因であった可能性が極めて高い」としていたものが、「疑う余地がない」と断定する形になり、より踏み込んだ表現になっていると言うことができます。

下図の左は、過去2000年間の世界平均気温の変化です。直近100年で急激に上昇しており、前例のない大きな変化になっていることがわかります。また、右は1850年から2020年までの世界平均気温のグラフで、黒い線が観測した数値、茶色い線が人為・自然起源両方の要因を考慮した場合の推定値、緑の線が自然起源の要因のみを考慮した推定値になっています。直近100年の温暖化は、社会の工業化とともに人間の活動に起因して進んでいることを示しています。

(出典:Climate Change 2021 The Physical Science Basis)

気候はどうなるのか

報告書ではいくつかのシナリオに基づいたシミュレーションを行っていますが、どのシナリオに沿ったとしても、少なくとも今世紀半ばまでは世界平均気温は上昇を続けるとしています。今後数十年で二酸化炭素を筆頭とした温室効果ガスの排出が大幅に削減されない限り、21世紀中に2℃を超えて上昇してしまいます。

そして当然、地球温暖化は気候システム全体に大きな変化を及ぼし、極端な高温や熱波、大雨や干ばつなど、自然災害が多発することが予想されます。下図の左は、様々なシナリオにおける海面上昇のシミュレーションです。最悪のケースでは2100年時点で1m弱の上昇が見込まれ、可能性は低いもののさらに氷床の不安定化が合わさると、1.5mを超える上昇幅となります。海抜が低い地域や国に大きな影響を及ぼすでしょう。

右図は、「10年に1度の大雨」がどれだけ増加するかを示しています。2℃気温が上昇した場合には1850年~1900年と比較して1.7倍、4℃上昇した場合には実に2.7倍の発生率になると予測されています。

(出典:Climate Change 2021 The Physical Science Basis)

今後の動き

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、いわゆる「COP26」が今年11月、スコットランドのグラスゴーで開催される予定となっています。そこでの議論や交渉において、今回の報告書が土台となることは間違いありません。

カナダや南欧での熱波、米国やギリシャでの山火事、世界中を襲う水害など、我々人間社会は直近で多くの自然災害を経験し、地球温暖化の危機感を「肌で感じて」いるのが過去との大きな違いだと思います。各国の政策決定者や企業やNPOなどの団体も、この報告書に書かれたことを前提に、色々な取り組みやソリューションを提案、推し進めるものと思われます。

日本でも先週から大雨が続き、水害・土砂災害が多く発生しています。台風や豪雨被害はこれまでもありましたが、これだけ長期間・広範囲に降雨があるのは記憶になく、「気候がおかしい」と感じている方が多いのではないでしょうか。 気候危機との戦いがこれからいよいよ本格化します。スペクティはテクノロジーで防災の世界を変革し、災害の今をとらえ、未来を予測し、世界中の人々を少しでも守れるように努力していきます。


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(SN)
August 16, 2021

参考情報

第6次報告書と第5次報告書の評価の比較(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210809001/20210809001-2.pdf

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