コラム

SNS・ドローン・ 3Dマップ、熱海土石流を多角的に捉えるテクノロジー


7月3日に静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流は、多数の死者を出すとともに依然100名を超す安否不明者がおり、建物の被害も約130棟にのぼる大惨事となってしまいました。救助と復旧が一刻も早く進むことを祈念しております。土石流の起点となったであろう箇所の近くに、開発行為に伴う盛り土があり、その崩落がきっかけとなった可能性も指摘されており、詳細な検証が待たれるところです。


下記は、伊豆山地区の地図に、国土交通省の発表している土砂災害警戒区域(土石流)を黄色で重ね、そこにリアルタイム防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」で覚知・配信したSNS投稿の位置と撮影の向きを赤色で表したものです。まさに要警戒であったエリアで土石流が発生したことがわかります。

(地図データ:Google©2021)
東海道線社内から撮影された鉄道線路への被害
人や車の往来も多い国道135号での被害の様子
②と同じ逢初橋付近を逆方向から撮影したもの
福祉施設の窓から撮影された風景
大きな被害を受けた「丸越酒店」付近
国道135号線の伊豆山郵便局付近
新幹線にもほど近い箇所で土石流が細い坂道を流れ落ちてくる
⑤と同じ地点を反対側からとらえた様子
海岸沿いの「熱海ビーチライン」の様子

災害時には、自治体担当者や報道機関も、二次被害の危険から被災地に直接アクセスすることは難しく、現場の状況が具体的にどうなっているのかを確認するために、SNSはいまや欠かせない情報源だと言うことができると思います。

一方で、土石流の発生には前兆現象があることが知られています。土石流が発生する前のタイミング、7月3日の朝や前日に、何か前兆をとらえたSNS投稿があったかについて調査しましたが、特に見つけることができませんでした。土石流の前兆を捉えるというアプローチを実行するには、SNSを通じた覚知以外の方策が必要であると言えるでしょう。

(出典:内閣府「防災情報のページ」)

SNSの可能性と限界が同時に見えるわけですが、近年の技術の進化によって、災害を捉える方法はSNSを含んでどんどん多様化しています。その代表的なものはドローンでしょう。暴風雨などひどい天候下では運用が難しいですが、人や車が入っていく事が難しい地域であっても、被災地域を上から撮影することで、どこにどのような被害があるのか、どこが崩落の起点となったのかを迅速に把握することができるのは大きな利点で、今回も活躍したことがわかります。

テレビ朝日取材班が撮影した土石流の爪あと

静岡県が撮影、公開した土石流の起点付近の映像

一方、自治体や災害の研究機関などに属しておらずとも、素晴らしい仕事をしてSNSで共有されている方々も散見されました。ソフトウェア技術などはツールとして公開・販売されていいれば誰でもすぐに使うことができること(テクノロジーの民主化)、そして、成果をすぐに社会に向けて発信できること(SNSによる情報発信の民主化)がこうした動きに拍車をかけていることは明白です。


これは現地の様子をフォトグラメトリという技術を使って3D化したものです。フォトグラメトリとは、対象物を様々な角度・方向から撮影した写真をコンピュータで解析し、3Dモデルにする技術です。特に今回のように勾配がある地域の場合、救助や復旧の行動計画を立案するのに、2Dの地図よりも役に立ちそうです。


この方は、静岡県が撮影したドローン映像から崩壊したエリアの3Dモデルを作成した上で、誰でも簡単に利用できる形で公開されています。また、専門家向けのDEM(数値標高モデル)データやオルソフォト(地理情報システムなどに正確に重ね合わせられる形式)についても提供いただけるようです。


どこか専門的な研究機関が行うのではなく、いわばボトムアップで知が蓄積され、誰でも利用ができるようになってきている様子を見ると、今後の防災テクノロジーの発展の方向性もおぼろげながらに見えてきます。各所に散らばった沢山の「知」を「集合知」として現場に適用するには、それを統合するプラットフォームが必要になるでしょう。土石流についていえば、SNSでの情報や3Dモデルだけでなく、地面の動きや斜面崩壊を検知するセンサーや、地表の動きを感知する衛星から撮影した画像などもプラットフォーム上で組み合わさることによって、より効率的な防災や減災、そして災害の発生予測につなげていくことができるのではないでしょうか。

(SN)
July 05, 2021

参考情報

防災情報のページ:土砂災害に備える(内閣府)
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h27/79/special_02.html

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