レポート

SNSと衛星から見るパキスタン大洪水

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パキスタンが記録的な洪水に襲われました。

パキスタンという国は、北部にカラコルム山脈やヒマラヤ山脈などが連なり、西部は高地でアフガニスタンに接し、東部にインダス川が流れる平野という地形となっていますが、実にその1/3が冠水し、全人口の15%にあたる3,300万人が被災しました。例年モンスーン期には多くの雨が降りますが、6月~8月の降雨量が30年平均の約2倍弱にのぼったことがその原因です。

(画像出典:Google)

上図の点線で囲われた部分を捉えた人工衛星の画像が下記になります。8月4日と8月28日を比較していみると、インダス川沿いの平野がほとんど水びたしになっている様子がよくわかります。

(画像出典:Earth Observatory, NASA)

パキスタンのNDMA (国家防災管理庁)の発表によると、160を超える橋が損害を受け、約3,200キロメートル以上の道路が洪水によって流されてしまったということで、復興にどれだけの時間がかかるのか想像がつきません。また、感染症の蔓延も心配されるところです。

しかし、パキスタンの国情は現在揺れています。ここ数年、巨額のインフラ投資などに伴う歳出増や対外債務の膨張が懸念される、いわゆる「債務の罠」にはまり、一方で新型コロナウイルスの影響を受けたことから経済は低迷。クリケットのスター選手から首相にのぼりつめたイムラン・カーン氏が今年4月に不信任投票によって辞任に追い込まれました。しかし辞任後もカーン氏は現政権や軍を厳しく批判、依然多くの支持者を抱えることから政治的に不安定な状況にあります。食糧価格の高騰もあり、国民生活は窮乏を極めることが予想されます。

今回の大洪水のどの程度が気候変動を原因とするものかどうかを科学的に明らかにするのは難しいと思いますが、現実として世界は洪水と激しい干ばつ、異常な高温といった、極端な気象に悩まされています。特にパキスタンやインド、バングラデシュといった南アジアは社会的なインフラが整っておらず、気候変動に対して非常に脆弱であると言われています。ジェトロ・カラチ事務所によると2022年6月時点の時点でパキスタンに進出している日系企業は80社。豊富な人口を抱えて成長余地のあるパキスタンは日本にとっても大切な国です。気候変動に対する国際的な取り組みは喫緊のものと言えるでしょう。

ここからは、SNSで捉えた被災の状況をお伝えします。番号は冒頭の地図と対応しています。パキスタンの一刻も早い復興をお祈りします。


①カイバル・パクトゥンクワ州バフライン渓谷の「Liberty Hotel Bahrain」が鉄砲水によって完全に崩壊


②バルチスタン州クエッタとシビを結ぶ鉄道橋の一部が崩落


③シンド州ハイルプルではモスクの天井が崩落


④パンジャーブ州タウンザでの道路の崩落の様子とドローン映像


⑤人口2千万人を超える最大都市カラチの様子

(根来 諭)
September 02, 2022

参考情報

Devastating Floods in Pakistan (Earth Observatory, NASA)
https://earthobservatory.nasa.gov/images/150279/devastating-floods-in-pakistan


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