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サプライチェーンを強靭化する:能登半島地震における企業の対応実例

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スペクティでは今年4月3日、製造業における「サプライチェーン強靭化」について行った調査結果を発表しました。多くのメディアに取り上げていただき、激甚化する自然災害や異常気象、戦争やクーデターなどの地政学的リスクが顕在化する中で、いかに強いサプライチェーンを築き上げるべきかについて、多くの方が課題感を持っていることがよくわかりました。本稿では、調査結果を少し掘り下げるとともに、能登半島地震に対応したスペクティの顧客企業の実例をご紹介したいと思います。


1問目・2問目の調査項目は、「この1年で、サプライチェーンを強靭化することの重要度は変化しましたか?」・「過去にどのようなリスク事象でサプライチェーンを阻害されましたか?」というものでした。重要度については実に48.5%の方が1年前より上がったと感じておられるところが印象的です。大きな自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行、ロシア・ウクライナそしてイスラエルを舞台とした戦争など、サプライチェーンを脅かす事象が頻発しており、体感としての危機感が上がっていることは間違いありません。また、サプライチェーンを阻害したリスク事象としては、事故や地政学リスクを挙げた方は20%台にとどまった一方で、地震や風水害といった自然災害を挙げた方が半数に迫りました。

次に、「実際にサプライチェーンが阻害された際、どのようなことに困りましたか?」という設問に対しては、『リスク事象の影響範囲を把握するのに時間がかかった(43.3%)』と回答した⽅が圧倒的に多いという結果になりました。サプライチェーンが阻害された場合に、では実際に現地がどうなっているのか、そして自社やサプライヤーの工場にどのようなダメージが出ているのか、生産ラインの再開にどれくらいの時間がかかるのか。そうした情報を把握したうえではじめて、サプライチェーンの復旧に対するアクションを取ることが可能になります。このプロセスに大きなペインが潜んでいることがわかります。

それに続くのは『リスク事象の発⽣の覚知が遅れた(25%)』、『情報連絡 ⼿段が整備されておらず、仕⼊先・取引先との連絡がスムーズにいかなかった(24.4%)』といった回答ですが、これは『リスク事象の影響範囲を把握するのに時間がかかった(43.3%)』という課題を構成する要素と考えることもできます。影響範囲を把握するには、前段としてリスク事象の発生を覚知しなければいけませんし、仕入先・取引先と連絡をとって情報収集を行うことが必要です。いずれにしても、「発災」→「アクション」の間に大きな溝があり、スムースにつなげていくことができていない、と言えるのではないでしょうか。


ここで、スペクティのサービスを活用することで、1月1日に発生した能登半島地震の際に効率的に動くことができた顧客企業の事例を紹介いたします。

この大手企業A社は、1次サプライヤーだけで数百社に及ぶ企業規模で、2次サプライヤー以降も含めると広く複雑なサプライチェーンが構成されています。地震が発生した際、システムによって被災可能性のある地域に自社の取引先が8社含まれることが瞬時にわかりました。そして、拠点ステータスファインダー機能によって、それら取引先に自動的にメールが送信され、被害の有無・生産ラインへの影響・出荷の遅延といった情報を数時間で把握することができました。1月1日で出勤している社員もほとんどいない中でです。また、津波浸水ハザードマップや河川カメラを活用して、津波に襲われる可能性のあるエリアにサプライヤー工場があるか、どの道路が通行不可能かなどの情報も同時に集めることで今後発生しえる影響についても分析。結果、翌日には影響がないことが確認でき、担当役員へ報告書を上げることができました。以前はこのプロセスに約1週間から10日の時間がかかっていたとのことです。

上図は、スペクティのサービスを活用することで、「発災」→「アクション」の間に横たわる溝(リスク事象の影響範囲を把握するのに時間がかかる)を埋められることを表しています。いかに影響を迅速に把握して意思決定を行えるだけの材料を集め、アクションにつなげていけるかどうか。これは自社のサプライチェーンを強靭化するために決定的に重要な要素になります。

(根来 諭)
September 4, 2024


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