なぜいま「防災×テクノロジー」なのか

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今年2月、多発化・激甚化する災害に対応していくためには、新しいテクノロジーを積極活用していくことが必要があるという課題意識のもと、内閣府が『「防災×テクノロジー」タスクフォース』を設置しました。そのタスクフォースでの議論の踏まえたとりまとめが2021年6月5日に発表されています。

「防災×テクノロジー」タスクフォースのとりまとめについて(内閣府・防災担当)
http://www.bousai.go.jp/pdf/0605taskforce.pdf

その中から、災害対応におけるテクノロジー活用の将来像と、実現するための今後の取り組みについて下記にまとめました。


(出典:『「防災×テクノロジー」タスクフォースのとりまとめについて』から筆者再構成)

注目すべきは、「今後の取り組み」のうち、青い字で表したものは自助・共助の活用を内容としたものだということです。

自助とは「自らの避難や家族の助け合いなど自分で自分を守ること」、共助とは「地域コミュニティや周囲の人々が協力して助け合うこと」、公助とは「役所や消防・警察による救助活動や支援物資の提供などの公的支援」を言います。この3つの要素が互いに連携し、一体となることが災害対応では重要ですが、行政がすべての被災者を迅速に支援することは現実的に難しく、また東日本大震災であったように行政自身が被災をして機能が麻痺してしまう事があり、「公助」に限界があることも明らかです。地方公務員の人員も、長期的に大きく減少しています。

(出典:総務省「令和2年 地方公共団体定員管理調査結果」)

また、国民の意識としても、公助に頼ってばかりいるわけにはいかず、よって自助・公助により比重を置くべきという方向に変化してきていることが、防災白書に掲載された調査結果からも伺うことができます。

(出典:内閣府「平成30年 防災白書」)

こうした中で、テクノロジーを使って自助・共助の効果を最大化する試みは理に適った動きだと考えられます。チャットボットによって住民から情報を収集し、さらに状況に応じた避難行動を促す。シェアリングエコノミーの仕組みを使って、住民同士が災害支援を行える仕組みを構築する。また、支援制度のデジタル化によって住民による公助の活用をスムースにすることも大切です。大きなコストや人員をかけずに、災害対応をより効果的に行うには、テクノロジーの活用が必須と言うことができるでしょう。


もうひとつの背景はテクノロジー自体の進化です。

チャットボットとは、機械ながらあたかも人間と会話をしているようにコミュニケーションができるソフトウェアを言います。「学習」「推論」「判断」などを行う人工知能(AI)技術の進化が、高性能なチャットボットの実現に大きく寄与しています。住民が知りたい情報、例えば避難所がどこにあるのか、または避難物資がどこにあるのかなどを、住民からの問いかけに応じる形で伝えることができます。防災無線によるマスに向けた一方通行の情報提供ではなく、住民個々人のニーズや置かれた状況に応じた情報提供を、人手をかけずにきめ細やかに行えることの意味は大きいでしょう。

また、人工衛星を取り巻く状況も大きく進化しています。以前は国家プロジェクトとして打ち上げることが主流だった人工衛星ですが、現在は多くの民間企業・ベンチャー企業が競って打ち上げ、様々な情報を、高い頻度で取得することが可能になってきています。


そして、このとりまとめに基づき、「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」が設置され、動き出しています。

進化した技術を活用し、防災行政に実装するには、民間の力が必要となります。課題を持つ自治体と、先進技術とのマッチング支援や、自治体におけるテクノロジー活用のベストプラクティスを周知することを目的としたこのプラットフォームは、官民連携による「防災×テクノロジー」の動きを加速するものとして注目に値します。

スペクティも、自治体をテクノロジーでサポートすべく、リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』の導入を進めるとともに、複数の実証実験を行っています。災害大国である日本において、官民が力を結集し、「防災×テクノロジー」の動きをリードすることの意義は非常に大きいものと考えています。そうして開発した防災テクノロジーを世界中に輸出し、災害に苦しむ多くの人を助けることができれば、日本の国力という観点でも大きな意味を持つのではないでしょうか。


AIによる「路面状態判別技術」の実証実験を福井県にて開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000016808.html

加賀市とスペクティ、「AIを活用した防災・減災行政の強化に関する連携協定」を締結
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000016808.html

AIによる道路の「路面状態判別技術」の実証実験を新潟県長岡市にて開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000016808.html



信頼できる危機管理情報サービスとして続々導入決定!

スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』(<https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できます。

(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)


(根来 諭)
September 1, 2021

参考情報

「防災×テクノロジー」タスクフォースのとりまとめについて(内閣府・防災担当)
http://www.bousai.go.jp/pdf/0605taskforce.pdf

防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム
https://www.bosaitech-pf.go.jp/


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