【速報】SNSに見る、台風25号の被害
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このたびの台風25号により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
2026年9月21日、大型で強い台風25号(ドゥージェン)が関東に最接近しました。上陸はせず、伊豆諸島から房総半島の沖を北東へ通過しています。21日22時の時点で中心気圧960ヘクトパスカル、中心付近の最大風速40メートル。伊豆大島では24時間降水量が686.5ミリに達し、9月の観測史上1位を大幅に更新しました。9月1か月分の平年値341.3ミリの2倍が、1日で降ったことになります。神奈川県の三浦でも24時間降水量が観測史上最大を更新しました。
上陸していないにもかかわらず、千葉県を中心に土砂崩れと冠水が相次ぎ、佐倉市の高崎川では氾濫が発生。伊豆大島にはレベル5の土砂災害特別警報が発表され、千葉県内の6市町にもレベル5の緊急安全確保が出ました。敬老の日の休日の出来事です。Specteeが21日0時から22日朝までにかけて配信したSNS由来の被害情報は、およそ3分の2が千葉県に集中しました。種類別では浸水・冠水が最も多く、土砂災害がそれに次ぎます。台風による災害としては、土砂災害の比率が際立って高いのが今回の特徴です。
台風25号が関東に最接近したのは9月21日の夕方以降でした。ところが千葉県では、その15時間以上前から避難指示が出はじめています。21日0時5分に大多喜町、0時21分に市原市、2時3分には佐倉市が最高レベルの緊急安全確保。朝9時の時点で、避難指示以上が出ていたのは千葉県の30市町村に対し、神奈川県は2市町、東京都・茨城県・静岡県はゼロでした。
以下のアニメーションで、千葉だけが先行して色づいていく様子が確認できます。再生ボタンを押すと、9月21日9時から22日7時までの動きが順に流れます。
注意事項
・政令指定都市は区の単位で表示しています。
・台風の中心位置は速報値、暴風域は目安です。
・行政区域は国土数値情報(国土交通省)を加工して使用。
発令中の自治体数が最も多かったのは21日18時20分の127自治体でした。千葉県では22日朝7時の時点でも、まだ33市町村で避難指示が続いています。
千葉県が先行した理由は3つあります。台風本体が来る前から秋雨前線と暖かく湿った空気による雨が降り続き、21日正午には降り始めからの雨量が君津市坂畑で300ミリ、大多喜や茂原、船橋、千葉でも200ミリを超えていたこと。8月13日の豪雨で13人が亡くなったばかりで、千葉市は当時設置した災害対策本部を解除しないまま台風25号を迎えていたこと。そして房総半島が台風の進行方向の前面にあたり、南東からの湿った風を丘陵が正面から受ける位置関係にあったことです。
SNSに投稿された被害のうち、番地や丁目まで位置を特定でき、写真または動画がついていたものを地図に落としました。ピンをクリックすると、地図の下にその投稿が表示されます。上のボタンで種類を絞り込めます。
投稿が削除された場合は表示されません。
土砂崩れの投稿は、千葉県と神奈川県でほぼすべてを占めました。市区町村別に多い順に並べると、市原市、横須賀市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、三浦市。並べてみると、東京湾を挟んだ両岸で同時に崩れていることがわかります。東岸は房総丘陵(市原・木更津・君津・袖ケ浦)、西岸は三浦半島(横須賀・三浦)。どちらも起伏のある丘陵地で、海から湿った風が直接吹き上がる斜面です。
都心でも起きました。21日17時49分、目黒区東山。投稿者は「たった今大雨で壁面崩落」と書いています。
注目したいのは、崩れたのが自然の斜面ではなく擁壁、人が造った壁だということです。丘陵を削って造られた住宅地では、斜面を支えているのは擁壁です。土砂災害は山あいの崖だけで起きるものではなく、宅地を支える擁壁もその起点になります。
やっかいなのは、いま建っている擁壁の多くが現在の基準ができる前のものだという点です。宅地造成に関する法令は、擁壁を鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、または間知石などの練積み造と定めていますが、法が整う前の高度成長期に、これに当てはまらない構造で大量に造られました。既存不適格と呼ばれる状態です。関東での代表格が大谷石。栃木県宇都宮市の大谷町で採れる軽石凝灰岩で、柔らかく安価なため戦前から昭和40年代にかけて擁壁や塀に多用されました。横長の石が水平に積み重なった淡い緑灰色の壁で、都内や横浜、鎌倉の古い住宅地にいまも数多く残っています。
大谷石積みは風化しやすく、鉄筋による補強がなく、背面の水を抜く仕組みが不十分なものが多い。前日から雨が降り続いて地中の水位が上がる今回のような状況は、この弱点を突きます。しかも土砂災害警戒区域の指定は自然の斜面が中心で、宅地の擁壁はハザードマップで色がついていない場所にもあります。材質と形を見ればおおよその見当はつき、高さ2メートルを超える擁壁なら検査済証の有無を自治体で確認できます。
危ない擁壁のサイン
- 石の表面がぼろぼろと剥がれている、白い粉が吹いている
- 壁の一部がはらんで、前にふくらんでいる
- 縦方向のひび割れ、目地のずれや開きがある
- 水抜き穴が見当たらない、または詰まっている。壁面3平方メートルにつき1か所以上、内径7.5センチ以上が現行の基準
- 大雨のあとに、壁の上部から土や濁った水が出てくる
台風25号は22日にかけて東北地方の東の海上を北東へ進み、関東からは遠ざかりました。ただし21日の大雨で土壌雨量指数は高い水準にあり、同じ雨量でも災害の危険度は通常より高い状態が続きます。斜面のそばにお住まいの方は、今後の気象情報に十分ご注意ください。
被災された地域の一日も早い復旧をお祈りいたします。
(根来 諭)
September 22, 2026
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