デジタル庁が進めるデジタル社会の実現・・・防災はどう変わる?
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昨年9月1日、日本のデジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する、デジタル庁が発足しました。続く12月24日には、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、今後デジタル庁はこの計画に沿って様々な施策に取り組んでいくことになります。その中で、「防災」は一体どのように位置づけられ、デジタル化による進化が計画されているのでしょうか。
デジタル社会の実現に向けた重点計画(デジタル庁)
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/digital/20211224_policies_priority_package.pdf
「デジタル化」とはデータ駆動社会の実現
これは文書の冒頭、重点計画の目的について述べたパートにある記述です。
昨今は米国や中国に圧倒されているとは言え、高い技術力を持つ日本においては、ハードウェアを中心としたデジタル・インフラは整っているものの、データ活用について大きく遅れを取っている。この強い危機感と課題感がデジタル庁設立の背景にあります。これを克服することを目的に、デジタル庁は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」の実現を目指して動き出しました。
IoT(あらゆるものがネットワークに接続)やAI技術の進化(大量のデータを解析)、5Gの普及(高速・大容量のデータ伝送)によって、現実世界のありようをデータ化して収集し、解析することが今後どんどんできるようになっていきます。そうしたデータをフルに活用して経済発展や社会課題の解決を行う「データ駆動社会」・・・この言葉が、デジタル庁が目指す姿を端的に表しているのではないでしょうか。
◆参考「IoT x 5G x AIが変える社会・・・防災/危機管理の未来は」
https://spectee.co.jp/report/iot_5g_ai/
重点計画に盛り込まれた理念や戦略を筆者なりに整理するとこうなります。
防災はどう変わる?
281ページの重点計画の中で、「防災」という言葉は実に70回も登場し、デジタル社会の実現にあたって重要な領域ととらえられていることがわかります。「防災」はまず、「準公共分野」であると整理されています。準公共分野とは、「生活に密接に関連しているため国民から期待が高く、国と民間が協働して支えている準公共サービスのうち、国による関与(予算措置等)が大きく他の民間分野への波及効果が大きいもの」とされます。
「準公共分野は、国民生活に密着している分野であるにもかかわらず、現状では、サービスの提供を受ける利用者の側から見れば、様々な切り口から断片的・画一的なサービスが提供されている状況にあり、『デジタルの活用により、人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会』(目指す姿)になっていない」という課題意識のもと、サービスを受ける個人がニーズに合わせて自由に組み合わせ、最適なサービスが提供される社会の実現を目指すとしています。その際に大切なのは「官民間やサービス主体間での分野を越えたデータの提供・共有をデジタル化によって更に進め、地域ごとに設定されたデータの取扱いルールを見直してスケールメリットを発揮できるよう、民間がデータを提供・利活用する際に遵守すべきルールを明確に設定する」こととしています。
そうした認識のもと、防災分野については具体的に下記のようなアクションが計画されています。
災害の発生時には、被害情報の収集を収集し、適切な避難指示・勧告が住民に伝達されなくてはなりません。復旧フェーズに入れば、避難所を運営し、必要な物資を届け、医療関係者やボランティアとも情報を共有しなければ効率のいい活動はできません。その際に必要なデータを集め、解析するには官だけ、民だけではなく、組織を超えたデータの連携と活用が欠かせません。そのために必要な情報プラットフォームが強く望まれるところです。
データのフォーマットや使い方のルールが整理され、そのルールに則った形で情報プラットフォームにあらゆるところからデータが集まり、防災・減災に関わるステークホルダーが適切かつ迅速な意思決定を下せるようなインテリジェンス(データから導かれた意味のある情報)を生み出す・・・これがデジタル社会における防災のあるべき姿ではないでしょうか。
スペクティは「Spectee Pro」というサービスを通じて、官庁や地方自治体による災害発生時の情報収集をお手伝いさせていただいています。またAIを利用した災害シミュレーションや、ドローンやIoTを活用したデータ収集方法などの研究開発にも既に取り組んでいます。デジタル庁が推し進めようとしている防災DXの方向性とベクトルを合わせ、引き続き尽力していきます。
(根来 諭)
January 26, 2022
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