レポート

防災/危機管理の「生産性向上」、その重点ポイントは?

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2020年5月、コロナウイルス流行後の「ニューノーマル(新しい日常)」を見据え、世界的なコンサルティング会社であるマッキンゼーが“The future of work in Japan ポスト・コロナにおける「New Normal」の加速とその意味合い”と題するレポートを発表しました。

このレポートを要約すると・・・

  • 日本の生産人口は今後も減少し続け、2030年にかけてのGDP(国内総生産)はほぼゼロ成長が見込まれている。
  • 技術の進化により、日本においては2030年までに既存業務の27%が自動化される見込みであるものの、それでも2030年の労働力需要は供給を150万人分上回り、人手が不足する。
  • 2030年まで、現在の実質GDP成長率である1.1%を維持するためには、生産性を2.5倍と飛躍的に向上させる必要がある。

日本社会全体が生産性の向上に取り組むことの必要性が強調されています。生産性の向上に結び付くものは、自動化、公的機関の業務効率性の改善、インフラ投資、教育などが挙げられますが、ひとつ希望が持てる点は、下記のグラフを見てもわかるように、日本における「自動化」による改善余地は世界各国と比べても大きいという事です。


(出典:The future of work in Japan ポスト・コロナにおける「New Normal」の加速とその意味合い – McKinsey & Company)

それでは、防災/危機管理の分野で「自動化」、ひいては「生産性の向上」が見込める余地が大きいのはどの部分でしょうか。

下記は、災害や危機が発生した際に、自治体や企業が取るべきアクションとフェーズを図示したものです。この中で「情報収集フェーズ」が最も「生産性の向上」の余地が大きい部分ではないでしょうか。現在、災害や危機発生時の情報収集は、担当者やそのチームが人海戦術でマスメディアの報道に張りついたり、電話・Eメール・ファックスといった手段で支部や支社から送られてくる情報をかき集めて共有しているのが現状だと思われます。

このフェーズが土台となり、次いで、事前に決めておいた対応プランを粛々と進めていく「初動対応フェーズ」と「復旧/事業継続活動フェーズ」に移っていきます。よって、この「情報収集フェーズ」でいかに迅速に、正確な情報をつかむかが、その災害・危機対応全体のクオリティを決定づけると言えるでしょう。そして、この部分にイノベーションを起こそうとしているのが、我々スペクティの取り組みです。


具体的に自治体が導入し、生産性を向上させた事例をご紹介します。

福井県の例

「災害発生時に、ビジュアルデータで現場の状況を迅速に把握」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000016808.html

◆課題

県内で災害が発生した際、被害があるかどうかの把握が大変重要だが、これまで現場の状況確認は、県庁から職員が現場へ行って写真や映像を撮り、それをメールで送るという方法を取っていた。これでは時間がかかってしまう。2018年2月の豪雪被害では140cmを超える積雪を観測し、交通の要である国道8号で最大1,500台がスタック。しかし、現場の情報を入手するのに5時間を要した。

◆スペクティ導入後

PCモニターでのダッシュボード監視とメール通知を利用して、情報の覚知と収集に取り組んでいる。SNSから素早く情報が得られ、地図表示機能で場所も特定可能、またビジュアルデータが入手できるため、現場に行く頻度が減り、幹部職員への報告や職員間での情報共有がスムーズにできるようになった。事象の発生を素早く覚知し、そこからすぐに情報収集する体制に移れるようになった。

豊田市の例

「SNS投稿の活用に対する意識が変わった。今では災害対応に欠かせない情報」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000016808.html

◆課題

災害発生時の市民からの通報は電話によるものがメイン。現場の状況については、職員が直接現場に行ってビデオやスマホで撮影し、撮った動画を市役所で見て確認している。しかしこのやり方だと職員への負担が大きく、また必要な情報を拾いきれないケースが多い。

◆スペクティ導入後

豊田市の山間部で土砂崩れが発生し、道路が一時通行止めになるほどの被害があった際、それを最初に覚知したのはスペクティで、道路管理者からの情報より早かった。写真や動画などとともに地点特定も可能であり、災害の初動期の特に情報収集が困難な時に、必要な情報を迅速に集めることができている。




6月17日、政府の第32次地方制度調査会の総会が開かれ、人口減少が深刻化する2040年ごろを見据えた地方行政の在り方に関する答申案が了承されました。人手不足や感染症に備えるため、自治体のデジタル推進を求める内容も盛り込まれています。民間企業についても、「働き方改革」は新型コロナウイルス流行によって単なるトレンドではなく、目の前の取り組むべき課題となりました。スペクティは今後も防災/危機管理の分野で自治体や企業の生産性向上に資するべく新しいテクノロジーの実装を進めていきます。

(リアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』)

(根来 諭)
June 5, 2020

参考情報

The future of work in Japan ポスト・コロナにおける「New Normal」の加速とその意味合い (McKinsey & Company)
https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Insights/Future%20of%20work%20in%20Japan/Future%20of%20work%20in%20Japan_v3_jp.pdf


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