レポート

次世代規格「Wi-Fi6」が普及期へ、社会へのインパクトは?

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自宅で、職場で、または外出先のカフェなどで、日々広く利用されているWi-Fi(ワイファイ)ですが、その新規格が普及期に入りつつあります。新しい規格の名前は「Wi-Fi6」。元々は2019年1月に発表されたものですが、2020年に入ってから法人向けを皮切りに対応する機器(ルーターやスマートフォンなど)が急速に拡大し始めています。では、この次世代無線LAN規格「Wi-Fi6」、これまでのものと比べてどの点が進化しているのでしょうか。もちろん通信速度の向上は大きな変化点ですが、それだけではありません。様々な最新技術が取り入れられ、次世代の社会を根底から支える通信インフラの規格であると言えます。


Wi-Fiの歴史

無線LANの規格であるWi-Fiは、アメリカに本部を持つIEEE(アイ・トリプルイー、米国電子電気学会)という団体が「IEEE 802.11」という規格として策定しています。802.11が「無線LAN」ということを意味していて、802.11の後に続く「a」や「ac」などのアルファベットが規格の世代をあらわしています。Wi-Fiが最初に登場したのは今から23年前の1997年。当時の伝送速度はたったの2Mbpsでしたが、その後1999年に発表された802.11bでは11Mbpsまで速度が向上し、一気にWi-Fiの普及が進みました。そして2003年に登場した802.11gで54Mbpsの伝送速度を達成しました。その後は、それまで利用していなかった周波数帯域を使用したり、送受信の新方式を取り入れることなどで、600Mbps以上の最大転送速度を実現した「802.11n」(Wi-Fi4)、現在最も利用されており転送速度最大6.9Gbpsの「802.11ac」(Wi-Fi5)、と着実に進化してきています。最初の登場から約20年で、Wi-Fiの伝送速度は実に800倍以上の高速化を達成しているのです。


Wi-Fi6の特徴

普及が始まった新規格「Wi-Fi6」はどのような特徴を備えているのでしょうか。転送速度は9.6Gbpsと理論値ベースでWi-Fi5の約1.4倍に向上しますが、実行速度は少なくとも4倍になると言われており、解像度の高い動画のストリーミングも快適にできるようになるでしょう。しかし、メリットはそれだけではありません。まず「混雑に強い」ことが挙げられます。Wi-Fi5以前では接続する機器が増えると速度が遅くなったり、つながりにくくなったものが、「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」という新技術を採用したことにより多台数の機器が同時接続した状態でも快適に利用できるようになります。また、「省エネ」でもあります。スマートフォンやタブレットなど、Wi-Fiにつないで使用する機器の消費電力が抑えられる「Target Wake Time (TWT)」と呼ばれる技術が使われており、信号の待ち受けを必要としない端末の通信機能をスリープ状態にすることで消費電力を抑えられます。これにより端末側のバッテリーを長持ちさせることができます。

5Gとの違いは?

同じく普及が始まっている「5G」とはどう違うのでしょうか?5Gは、モバイル通信向けの最新規格で、第5世代移動体通信システムのことを指します。Wi-Fi6と5Gは、競合するものというよりは、互いに弱点を補完し合う関係にあると言えるでしょう。Wi-Fi6が限定された狭いエリアでの通信に特化しているのに対して、5Gは基地局を経由した広範囲をカバーすることを得意とします。具体的には、Wi-Fi 6は、オフィスやカフェなどの、ある程度の狭い範囲で多くの人が同時に通信する場合に効果的であるのに対して、5Gは屋外や長距離での通信が必要な場合に有効な通信システムです。

一方で「高速大容量」「多数同時接続」「低遅延」「省電力」といった特徴は共通するものであり、この2つのネットワークの相互運用や連携が進めば、Wi-Fi6と5Gの間で接続切り替え(ローミング)によって、ユーザーが特に意識しなくてもその時点で最適なネットワークが選ばれ、利用できるようになると思われます。

社会インフラを支える技術

スペクティは、先週のコラム「IoT x 5G x AIが変える社会・・・防災/危機管理の未来は」で紹介したように、現実空間で起きている事象をIoTを通じてデジタルデータに変換、これをサイバー空間において解析することで、現実空間に対して意味のあるフィードバックを返すような「サイバー・フィジカル・システム」の構想を持ってプロダクト開発・サービス開発に取り組んでいます。このようなシステムを実現するにあたっては、多数の機器やセンサーからの情報や解析結果の情報を高速・低遅延で伝送する、という要素は必要不可欠なものになります。

5Gという言葉はメディアで頻繁に目にする一方、Wi-Fi6はそこまで注目されていないように感じます。しかしWi-Fi6は、5Gと補完し合い、未来の社会インフラを築き上げるのに重要な役割を担うものだと考えています。技術の進展に伴って、スペクティの構想するような未来社会は着々と近づいてきています。


スペクティでは、防災/危機管理のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推し進めるべく、自社のプロダクト・サービス開発と併せて様々なデータホルダーの皆様との連携を始めております。ご興味のある会社様は是非お声がけください。防災/危機管理に全社を挙げてコミットするスペクティは、あらゆる危機から人々を守れるよう一歩一歩進んでまいります。



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(根来 諭)
November 18, 2020


参考情報

「5G」と「Wi-Fi 6」は何が違い、どう使い分けるべきか(TechTargetJapan)
https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2008/20/news06.html

5Gとは?そして防災/危機管理分野への活用について(スペクティ)
https://spectee.co.jp/report/5g_and_disaster_crisis_management/

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