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スペクティ・レポート2021年人気ランキングと2022年の展望

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新年おけましておめでとうございます。本年もスペクティは一丸となって、テクノロジーで防災/危機管理を進化させていきたいと思います。引き続きご指導のほど、よろしくお願い致します。

我々は昨年1年間で53本のレポートを発表しました。そこからお問い合わせをいただいたり、取材をして頂いたりと、新しくご縁をいただけたことを感謝しております。それらの中でも、どのレポートが最もよく読まれたでしょうか。本稿ではアクセス数5位から1位までのランキングをご紹介させていただくとともに、2022年のリスクトレンドについてお伝えしたいと思います。

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5位は、10年ぶりに首都圏で震度5強を記録した10月の地震についてでした。マグニチュード5.9と、30年以内に70%の確率で起きるとされる首都直下地震の想定マグニチュード7をはるかに下回る規模とは言え、交通の混乱による帰宅困難者が多く出る事態となりました。特に今回目立ったのが、水道管の破損による水の噴出で、SNSに多くの投稿が見られました。

一方、東京水道局の復旧アクションは大変迅速で、寝ずの復旧作業で翌6時にはすべての漏水がストップしたとのことです。こうした人的な対応とともに、水道管の多重化など、災害時にライフラインが途絶しないように様々な対応がとられていますが、水道に限らず、日本の社会インフラは老朽化が進むとともにそれを保守するための予算も限られています。ハード・ソフトを合わせて考えた上での、費用対効果の高い災害対策が求められます。



4位はディープフェイクの仕組みと社会へのインパクトについてのレポートでした。ディープフェイクとは、人工知能によって合成技術を用いて作られた、本物と見分けることが難しい偽の動画のことです。昨今は「GAN(敵対的生成ネットワーク)」という技術の発達によって、ますます精巧なフェイク画像を作れるようになってきています。ディープフェイクは、ポルノや個人を貶めるために使われたり、詐欺や脅迫などの犯罪行為にも利用できるでしょう。

なかでも恐ろしいのは、偽の情報を流して人々の間にパニックを起こしたり、国と国を仲たがいさせたり、選挙において投票者の判断を捻じ曲げてしまうような使い方で、我々の社会にとって大きなリスクになります。画像の作成自体を禁じることは、特に西側諸国では表現の自由とからみ難しいと思われますが、選挙や外交に影響するような政治的意図のある偽画像は取り締まれるよう法制度を整えるとともに、報道機関による検証能力の向上や、受け手である個人のリテラシー向上など多面的に対応していくことが必要となるでしょう。



3位は火山の噴火が3月・4月で急増した件についてでした。日本列島が属する環太平洋火山帯にあるグアテマラ、メキシコ、インドネシアの火山だけでなくアイスランドやイタリアでも大規模な噴火が発生しました。また、カリブ海南部に浮かぶセントビンセント及びグレナディーン諸島のスフリエール火山は42年ぶりに噴火し、11万人の国民中2万人が避難する事態となりました。

日本は世界の活火山の7%を有しており、世界有数の火山国と言えます。その日本でやはり心配なのは、富士山の噴火リスクです。1707年にマグニチュード8クラスの宝永地震が発生し、その49日後に富士山が噴火しました(宝永大噴火)が、それから300年以上の時間が経っています。2021年3月には富士山ハザードマップが改定され、噴火に備えた動きは取られていますが、影響を受ける可能性のある人々が我が事としてとらえ、噴火時にどのような行動をすべきか十分に準備しておく必要があります。



2位は、都道府県別の「自然災害損害額」と「災害への関心度」をグラフィック化したコンテンツでした。日本の都道府県はそれぞれ個性豊かな地形や気候を持ち、自然災害から受ける影響も様々です。今回は、平成29年・平成30年・令和1年の3年分という短い期間の統計データから作成したため、やはり「その期間に大きな災害が起きたか」に強く影響を受け、損害額の大きかった平成29年の7月豪雨、平成30年の7月豪雨、令和元年の台風19号によって被災した都道府県が上位に入りました。

一方、ダイヤモンド・オンラインによる自然災害に関心の高い都道府県ランキングも紹介しましたが、東日本大震災の主な被災地である宮城県と福島県と、2016年に大地震があった熊本県において意識が高いことが印象的でした。文字や数字の羅列ではなく、こうしてグラフィック化することで見えてくることも多いと思いますので、「危機を可視化する」をミッションとするスペクティとして、引き続き取り組んでいきたいと思います。



もっともアクセスされたレポートは、静岡県熱海市で発生した土石流災害について、色々なテクノロジーが活用され、多角的に状況がとらえられていることを紹介したものでした。スペクティは、AIの力を使ってSNSへの投稿というビッグデータから必要な情報を抽出・配信するところから事業を始め、そこに他の様々な情報を重ね合わせることで被害状況の可視化を進めています。また、ドローンやそこに搭載するカメラの性能も飛躍的に向上しており、ほぼリアルタイムに現場の状況を把握するのに有効なツールになっています。

一方、インターネットを介して災害に関する情報やデータに誰でもアクセスできるようになり、専門的な研究機関だけでなく在野の人々が、それぞれのアプローチで災害の分析に取り組んでいることも注目すべきことです。災害や防災に関心を持ち、プライベートの時間を使って分析をする人はこれからも増えるのではないでしょうか。そうした「集合知」は今後の防災において非常に大きな力を持つのではないかと考えています。


2022年のリスクトレンドは

2022年も、新型コロナウイルスの動向に大きな影響を受けることは間違いないでしょう。弱毒化の傾向が見えるとは言え、新たな変異株であるオミクロン株は依然猛威を振るっており、再度のロックダウンに入る国も出ています。今後、「コロナとの共生」のステージに進むと、消費が爆発的に戻ってくることが予想されます。そのこと自体は経済にとって良いことと言えますが、需給のバランスが大きく不安定化することで、恐らくサプライチェーンの各所における在庫の枯渇や滞留、海運や空輸などの輸送能力の逼迫、エネルギー価格のさらなる高騰が起きるかもしれず、企業は注意深く複数のシナリオを練っておく必要があるでしょう。これを期にサプライチェーン・リスク・マネジメントのやり方を考え直す企業も出始めています。

◆参考
サプライチェーン混乱の原因、そしていつまで続くのか

一方、米中対立も大きなリスク要因です。習近平政権は大幅な規制強化を進めており、各国の中国との経済関係は大きな転換点にあります。いわゆるデカップリングが進行することで、生産拠点の移転や見直しが進み、これも既存のサプライチェーンに負担をかける要素になりそうです。台湾情勢については、2月に開催される北京冬季五輪のあとのタイミングは注意が必要と思われます。

危機は必ずそこにあり、我々は備えることしかできません。スペクティは現在起きている危機を覚知することだけでなく、過去のデータの分析やそれに基づく未来の危機の予測まで含め、「危機を可視化する」ことに取り組んでいきます。本年もよろしくお願い致します。

(SN)
January 05, 2022


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スペクティが提供するリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro』(https://spectee.co.jp/feature/)は、多くの官公庁・自治体、民間企業、報道機関で活用されており、抜群の速報性、正確性、網羅性で、「危機発生時の被害状況などをどこよりも速く、正確に把握すること」が可能です。AIを活用して情報解析、TwitterやFacebookなどのSNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報、感染症に関する情報など、100以上の事象を、市区町村、空港や駅、商業施設、観光地周辺といった対象と組み合わせて「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認でき、さらに気象情報・交通情報・道路や河川に設置されたカメラ映像などと組み合わせることで、事象をより立体的にとらえることが可能です。

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